1.法人税とは
会社が事業活動をする上で負担する必要な税金というと、まず思い浮かぶのが「法人税」です。この「法人税」は、所得税や消費税と並んで、日本における税収の大きな柱の一つですが、その種類や計算方法を説明できる方は少ないのではないでしょうか。
「法人税」とはその名の通り、法人の活動にかかる税金です。そこで、まず前提として法人とは何かを確認します。
法人とは、法律上の人間であり、個人と同じように扱われる存在です。バーチャルな人間ということです。そのため、個人がお金を稼ぐと税金がかかるように、法人という人間に対しても税金がかかる仕組みになっています。
では、具体的にどんな種類の税金があるでしょうか。これも個人との比較で理解することができます。まず、個人が負担している税金を考えると、稼いだ所得に対する「所得税」、住んでいる自治体に納める「住民税」、事業を行う際の「事業税」などがあります。
法人の場合も同じで、「法人所得税」、「法人住民税」、「法人事業税」があります。これらを合わせて「法人税」と呼ばれます。
法人についても所得税以外に、住民税や事業税が発生する点は、押さえておくべきポイントです。
2.法人税の種類
「法人税」を大きく分類すると「法人所得税」、「法人住民税」、「法人事業税」の3つがあります。それぞれ、計算方法も合わせて確認します。
・法人所得税
法人が各事業年度で獲得した所得に対して課される税金であり、国に納める国税です。法人所得税は、法人が獲得した所得に一定の税率を乗じて税額を計算します。
所得 × 法人税率 = 法人所得税
なお、法人税率は基本税率(23.2%)のほか、中小法人の軽減税率(所得が800万円以下の税率)もあり、段階的な税率が設定されています。
ここで、法人所得税の計算について、押さえておくべき重要なポイントがあります。
それは、会計上の利益をベースに税務上の所得を計算して税金計算を行うという点です。これは決算後の株主総会で確定した決算数値に基づき、法人税の計算を行うという「確定決算主義」と呼ばれる税務上の原則です。そして、企業会計に基づき計算した会計上の利益は、税金計算上の所得は異なるため、会計上の利益の調整をして税務上の所得を計算することになります。
会計と税務、それぞれの計算方法は以下の通りです。
会計 → 収益 ‐ 費用 = 利益
税務 → 益金 ‐ 損金 = 所得
収益と益金、費用と損金はその範囲が違います。そのため、会計上の利益から税務上の所得を計算するのに、調整が必要になります。この調整が法人所得税計算のキーであり、業務効率化や節税という観点からも、正確な調整計算を行う体制の構築は、経営上の重要なポイントです。
なお、税務上の調整は売上・仕入・在庫・人件費などの幅広い情報に関連するため、それぞれの状況を把握しておく必要があります。具体的には、システム対応によって販売・購買・営業・会計・労務等の各種システム間の連携をとって、税務調整項目の全体を把握することが重要です。
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・法人住民税
法人に対して課される住民税で、法人が所在する地方自治体に対する公共サービスに対する税金であり、地方税として法人が所在する各地方自治体に納付します。
そして、法人住民税は「法人税割」と「均等割」から構成されます。「法人税割」は法人税額に税率を乗じた金額、「均等割」は法人の資本金や従業員数によって定額で定められています。
法人税割(法人税額 × 住民税率)+ 均等割(定額) = 法人住民税
・法人事業税
事業を行う際に公共サービスを利用することに対して課される税金(地方税)です。法人所得税と同じく所得に税率を乗じて計算されます。
所得 × 法人事業税率 = 法人事業税
なお、資本金が1億円以上の企業は外形標準課税の対象となり、資本割・付加価値割という追加の税負担が生じます。これは参考に抑えておく知識になります。該当する法人の法人税計算を行う場合には注意が必要です。
・まとめ
それぞれの税金をまとめると以下のとおりです。
種類 | 納める先 | 計算方法 |
法人所得税 | 国(国税) | 所得に応じた計算 |
法人住民税 | 地方自治体(地方税) | 所得に応じた計算+定額 |
法人事業税 | 地方自治体(地方税) | 所得に応じた計算 |
3.具体的にどの程度かかるのかを理解しよう
具体的な法人税計算について例示を使って確認してみます。
【ケース】
・資本金500万円の株式会社(中小企業者)、東京23区内に本社のみがある従業員10人の企業
・税務上の所得:3千万円
・法人所得税
法人所得税は、所得に税率を乗じて計算します。
所得 × 法人税率 = 法人所得税
法人税率は23.2%ですが、このケースでは軽減税率が適用できるので法人税額は(3000万円×23.2%)とはなりません。所得800万円までと800万円を超える金額で、段階的に税率が変わります。
所得800万円 × 15% = 120万円
所得2200万円 × 23.2%= 510万円
合計 630万円
資本金1億円以下かつ所得800万円以下の2つの条件が満たされた場合に、軽減措置制度が適用できます。今回のケースでは800万円までの所得とそれ以上の所得に異なる税率を使用する点がポイントです。
・法人住民税
法人住民税は「法人税割」と「均等割」の2つから構成されます。
法人税割(法人税額 × 住民税率)+ 均等割(定額) = 法人住民税
法人税割の税率ですが、これは都道府県や市町村によって異なります。今回のケースは、東京23区内なので、道府県民税相当分3.2+市町村民税相当分9.7=12.9%となり、法人税割=法人税額630万円×12.9%=81万円となります。
次に均等割ですが、これは法人の規模等によって定額で定められています。今回のケースでは、資本金が1億円以下で従業員が50人以下の東京都のケースなので、均等割=18万円となります。
2つを合計して、法人住民税は法人税割:81万円+均等割:18万円=99万円となります。
・法人事業税
法人事業税は、所得に税率を乗じて計算します。
所得 × 法人事業税率 = 法人事業税
事業税の税率は、各地方公共団体によって定められていますが、段階的に税率が異なる点に特徴があります。以下は、今回のケースの東京都の税率と計算結果です。資本金が500万円なので、軽減税率適用法人の税率が適用されます。
所得 | 税率 | 税額 |
所得金額400万円以下の部分 | 3.4% | 400万円×3.4%=13万円 |
所得金額400万円超800万円以下の部分 | 5.1% | (800万円⁻400万円)×5.1%=20万円 |
所得金額800万円超の部分 | 6.7% | (3000万円⁻800万円)×6.7%=147万円 |
合計180万円 |
・法人税負担額まとめ
今回のケースでは、合計909万円の法人税負担額となります。
法人所得税 | 630万円 |
法人住民税 | 99万円 |
法人事業税 | 180万円 |
合計 | 909万円 |
4.まとめ
法人税には3つの種類の税金があり、少し複雑な計算もありますが、いずれにも共通していることは、税務上の所得に基づいた部分があるということです。そのため、正確な会計記録に基づく税務上の所得計算を行うことが、正確な税金計算・支払い、節税のためには不可欠となります。
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