省力化, 経営コラム

労働生産性の高い【5カ国】その理由を徹底解剖!

(2023/06/22情報更新)

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2021年の日本の労働生産性はOECD加盟38ヵ国中27位という結果でした。主要な先進国と比べると圧倒的に低い日本の労働生産性。

出典:公益財団法人 日本生産性本部「日本の労働生産性の動向2022」

今回は、2021年の労働生産性上位国であるアイルランド、ルクセンブルク、ノルウェー、アメリカ、スイスがなぜ労働生産性が高いのか?その理由を解説していきます。

労働生産性上位国の主力産業や特徴を知ることで、日本の労働生産性が低い理由を紐解いていきましょう。

アイルランド

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  • 外資が進出しやすい環境整備
  • 経済成長に伴う高い教育水準
  • 柔軟な労働市場の形成

元々、ヨーロッパ諸国の中でも生活水準が最低クラスだったアイルランド。1970~80年代までは高い失業率と財政難により“ヨーロッパの病人”とまで言われていました。

しかし、1990年代に突入するとこれまでの状況から一変。1995年を境に一気に成長を遂げました。時間あたりの労働生産性で見ると、アメリカの水準を上回るほどに成長しています。

アイルランドが成長した背景には、外資が進出しやすい環境整備が考えられます。公用語として英語を使用していることなどから、アメリカを始めとする企業が参入しやすい。さらに、外資に対しての法人税が12.5%とヨーロッパ圏の中ではもっとも低い水準であることなどから、外資が進出しやすい優れた環境を実現しています。

さらに、人材育成にも力を入れており、大学等では通信事業の専門分野を重視。その結果、多くの技術者を育成し高い労働力を提供できるようになりました。また、アイルランドは出生率も高く人口構成も若い年齢層が多いため、労働供給に関しても問題のない状況が続いています。

その上、通信事業を始めとした規制緩和が進んでおり、労働市場の柔軟性が高いです。外資系の企業にとって活動しやすい自由度の高さが労働生産性の高さにつながっています。

ルクセンブルク

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  • 第三次産業のGDPが高い水準を維持
  • 労働人口の5分の1が金融関連
  • 税優遇措置で国外企業を誘致

ルクセンブルクはドイツ、フランス、ベルギーに囲まれている小さな国です。国の面積は日本の神奈川県ほどで人口は同県の10分の1以下です。ルクセンブルクに住むおよそ半分が外国人。ほとんどが近隣のヨーロッパ圏の住民で、移民を受け入れる開かれた国でもあります。

そんな、ルクセンブルクは小国にも関わらず、2021年の労働生産性が世界第2位です。その理由として産業構造が挙げられます。元々、貧しい農業国だったルクセンブルクは戦後に多くの国外企業を誘致します。主に、重工業を中心に誘致し経済大国としての土台を作り上げました。

その後、特に力を入れていたのが金融業です。ルクセンブルクでは、労働人口の5分の1が金融関連の職業についており、産業構造の中でも比重が大きいです。ルクセンブルクの産業構造が金融業にシフトした背景には、元々力を入れていた鋼鉄業の不振があります。石油ショック後に鋼鉄業の生産性が下がり、変革を求められた際に外国の金融機関を誘致する方向に決まりました。

税優遇措置預金者の秘密保持規定といった法整備を行い、世界各国の金融機関がルクセンブルクに進出し、現在のような労働生産性上位国となりました。

アメリカ

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  • IT関連への積極的な投資
  • 対等なサービス業の対価
  • 新しいことに挑戦できる労働環境

大国であるアメリカも労働生産性上位国のひとつです。特に、1990年台から驚異的な伸びを見せ、労働生産性上昇率ではEU諸国を超えています。

アメリカの労働生産性上昇の背景にはさまざまな要因が考えられますが、なかでもIT関連への積極的な投資は大きく関与しています。元々、規制が少なく国外から参入しやすい労働市場を形成していたアメリカにとって、IT投資はそれを後押しする形で効果を発揮しました。

アイルランドやフィンランドといった労働生産性が高い各国もIT産業の比重が大きいです。IT投資により企業は生産性を増やすことができるため、相対的に労働生産性が上昇します。

また、新しいことに挑戦できる柔軟な労働環境作りも魅力的。ジョブ・ディスクリプション制の導入より、決められた権限の範囲内で仕事ができるため、各人の意思決定が日本よりも素早いです。その結果、高い労働生産性を実現できました。

さらに、日本と顕著に違うのがサービス業に関して。日本のサービス業はサービスの内容に対しての対価が少ない為、一人当たりの労働生産性が低いです。一方、しっかりと対価を受け取るアメリカはサービス業に関しても高い労働生産性を維持しています。こうした背景も労働生産性上位国を維持し続ける理由のひとつです。

ノルウェー

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  • フレックス制の導入で柔軟な労働環境を整備
  • 産油国で国全体が豊かで生活の質が高い
  • 高い出生率で質の良い労働者を育成

日本と同じ国土面積を持つノルウェー。人口は500万人と我が国に比べて圧倒的に少ないです。それでも、労働生産性上位国に位置している理由として柔軟な労働環境の整備が考えられます。

ノルウェーは、そもそも人口が少ないため、サービス関連に割く人員が少ないです。そのため、他国に比べて物価が高いのが特徴的。

その反面、「フレックス制」が主流となっている国ということもあり、労働に関しての自由度が高いです。また、「フレックス制」よりも自由度の高い「フルフレックス制」も導入しており、社員自体が労働時間を決められるほど環境が整っています。

さらに、ノルウェー自体が産油国ということもあり、国の資源が潤沢です。インフラの整備や各施設の建設など物価は高いですが、同時に労働環境を含めた生活の質も高いため、労働生産性が上昇しています。大企業の誘致や金融機関を持っていないノルウェーですが、こうした背景もあり高い労働生産性を維持しています。

また、ノルウェーの出生率は我が国の少子化とは無縁なほど高いです。その上、女性が活躍する社会形成が進められており、女性議員の割合を決めるクオータ制の発祥はノルウェーの首都オスロです。女性の社会進出が推進されている為、独自のプログラムを導入するなど、さまざまな社会背景も高い労働生産性につながっています。

スイス

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  • 雇用主にとって魅力的な労働環境
  • 柔軟性の高い労働市場の形成
  • 実践に基づいたトップクラスの教育システム

充実した社会保証で生活の質が高い国として知られるスイス。雇用主にとって魅力的な労働環境は人材の雇用や解雇を柔軟に行うことが可能です。また、失業率の低さや女性の就業率の高さ、社会保障費の負担額の少なさなど、世界の先進国では整備しきれていない労働環境を実現しています。

さらに、ヨーロッパ諸国と比べてストライキ日数が低く、労働者から不満の声も少ない環境を形成。スイスの労働市場は金融業や保険業、IT業など多くの産業が諸外国に比べて高い労働生産性を維持しています。こういった点でも快適な労働環境が整備されている背景が影響していることが分かります。

また、スイスは教育の質も高い水準を維持。実践に基づいた教育システムで多くの分野でトップクラスの人材を育成しています。こうした各分野での質の高さが高い労働生産性につながっています。

まとめ

労働生産性上位国がなぜ労働生産性が高いの紹介しました。日本と比べると上位国は、歴史、産業構造、法整備など多くの違いがあることが分かります。主力産業の強さが高い労働生産性に繋がっていることが理解できました。

労働生産性は、国の産業構造や企業の働き方などによっても大きく変化します。視点を企業のレベルへ戻すと、中小企業経営者なら、まず自社の分析を進めることをおすすめします。もし、自社の労働生産性の傾向を知りたいなら、弊社が提供している「ALL-IN」がおすすめです。

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