生産性向上のヒント

営業活動の効率をアップさせる6ステップとは(6/7)~BATNA編~

営業は顧客との交渉でもあります。つまり、営業の結果はどの会社でも画一的に決まるのではなく、自社と顧客の交渉過程によって営業結果は変化します。

営業における交渉のテクニックには様々な技法がありますが、今回はBATNAというフレームワークを扱います。BATNAは営業における交渉テクニックの中で最も重要な概念で、交渉における本質的な要素でもあります。本記事ではBATNAから営業における交渉術について説明します。

 

営業交渉における「次善の策」の重要性

巷には営業交渉におけるさまざまなノウハウをまとめた書籍やWEBコンテンツがたくさん存在します。例えば、名刺交換1つにも営業の上手さが表れるとか、営業したあとに担当者に手紙を出すと好感度があがるとか様々な手法が紹介されています。確かに、このような手法には一定の効果がありますが、あくまでも交渉の本質からは離れたテクニックです。

営業交渉における本質とは、相手をどう自分が期待する落としどころに誘導するのかという戦略のことを指します。いくら名刺交換が上手くいったり、手紙を書いたりしたとしても、落としどころを決めていないのでは、交渉を上手く運ぶことはできません。

重要なのは、相手と交渉が決裂したときの選択肢を持っておくことです。戦略がミスすると、選択肢が無くなるのであれば、戦略は戦略として機能しなくなり、どこまでも妥協しなければなりません。戦略が失敗したときに備えて、次善の策を持つことが交渉においては重要なのです。

 

BATNAとは

この交渉の落としどころを考える際に役立つのがBATNAという概念です。BATNAとは「Best Alternative To a Negotiated Agreement」の頭文字を取った略語で、日本語に直すと「交渉が上手くいかなった場合にベストな代替案」のことを指します。つまり、交渉が思惑を外れて上手くいかなかった場合の落とし所のことを指します。

 

BATNAを持つ効果

交渉する際にBATNAを持つことは2つの意味で重要です。1つは交渉の撤退ラインを決めるということです。交渉なので相手に一方的に条件を譲ってしまうと、結果として自社側に不利な条件で交渉締結となりやすいです。もちろん、妥協も必要ですが、交渉撤退のラインもきちんと考えておく必要があります。

BATNAを設定することによって、交渉撤退のラインを明確化し、いたずらに不利な条件で交渉締結することを防止することができます。

もう1つは、交渉する営業に気持ちの余裕が生まれるということです。絶対に締結しなければならない交渉だと、足元を見られて交渉においても不利な立場になりがちです。BATNAを設定することによって交渉が決裂した場合のリスクヘッジを行うことができ、営業の精神的余裕が確保されて、立場を弱めずに交渉することができます。

 

BATNAの使い方

では、BATNAはどのように使えば良いのか、その手順について説明します。

 

選択肢の列挙

BATNAを設定するにあたっては、まず自分が取りえる選択肢を列挙します。選択肢については必ずしも交渉の枠内で考える必要はありません。例えば、何か商品を販売する交渉をしている場合、交渉相手ではなくて他の相手に商品を売ることも可能なはずです。交渉という枠に囚われず、自分が持っている選択肢を列挙してください。

 

選択肢の整理

選択肢を列挙すれば、どの選択肢をどのタイミングで採用するかを整理しなければなりません。その選択肢の実行にかかるリスクとリターン、想定される問題点、今後のビジネスに与える影響など様々なことを加味しながら、自分がどのような選択を持っているのかについて考えてください。

 

BATNAの決定

選択肢の整理を行うと、自社がBATNAとして設定する選択肢を決定します。もちろん、選択肢の中からどれか1つを必ず選ばなければならないわけではありません。このシチュエーションではプランA、あのシチュエーションではプランBというように、発生したシチュエーション別にBATNAを設定しても良いでしょう。

 

決裂時のアクションの決定

BATNAを設定できたら、交渉が決裂した際に実際にどのようなアクションをするのかを決定してください。アクションを設定するということはBATNAを具体的な行動レベルまで落とし込むということです。

例えば、商品の販売交渉で決裂した場合、他の顧客に販売交渉するというBATNAを設定しても、いつ位まで今の顧客からの返事を待って、どのタイミングで誰に提案をするのかなどをきちんと決めておかないと、BATNAを実行することはできません。

 

BATNAは目まぐるしく変化する

以上のように、BATNAの使い方について説明してきましたが、BATNAを巡る環境の変化は激しいです。BATNAと設定していた案が時間の経過によって実は使えなくなっていたということを交渉が決裂したあとに気づくかもしれませんし、よりBATNAを設定した後により魅力的なプランは発生する場合もあります。

 

BATNAの具体例

では、具体的なケースでBATNAの使い方について説明します。

例えば、中古の機械を販売している営業Aが取引先Bに機械Cを売却する場合を考えます。この時にCの値段は600万円以上で販売しなければならないとします。

まず、AはBがCに対して600万円以上支払えないと言った場合にどのような対策を行えるかを考えます。まず、考えられるのが販売の仕方を変えることです。600万円を即金で支払えない場合は売掛金を分割してBに無理のない範囲で支払ってもらう事が考えられます。

もう一方で他の業者に販売するという選択肢も考えられます。国内の業者D、海外の業者Eなど具体的な会社もありますし、オークションFに出品するという選択肢も存在するでしょう。

こうして列挙した選択肢の条件を整理して優先順位を決定します。

例えば、売掛金を分割するにしてもAの与信では厳しい、Dは高い値段で購入してくれる可能性があるけど交渉に時間がかかる、Eは即商品を購入してくれるけど値段はそれほど高くない、Fが開催されるのはまだまだ先だし、値段が読みにくいなど選択肢の条件を整理してください。

選択肢が整理できると、そこからBATNAを選びます。今回は仮にAの会社の資金繰りを円滑にするために、商品が早く売却できるEをBATNAに設定するとします。

ただし、EをBATNAにするというだけでは。Bと交渉が決裂したときにすぐに次の行動に移ることができません。交渉決裂時にアクションについて明確化する必要があります。Bからの返事は何日間待つのか、その後Eにいつまでに交渉、EがOKしたときは、どのような方法で輸出して、社内の誰が輸出業務を担当するのかなどをアクションレベルで決定します。

 

まとめ

以上のように、営業交渉における重要な要素であるBATNAについて説明してきました。BATNAを設定することによって、不利な立場にならずに交渉することができます。ところで、BATNAに限らず、交渉においては自社が客観的にどのような状況に置かれているのかをきちんと分析することが重要です。

そのためには営業案件や顧客の情報などをきちんと整理して、すばやく確認できる体制が必要になります。弊社が開発したALL-INは顧客情報、営業情報など会社に関するありとあらゆる情報が一元管理、すばやく情報を収集することが可能です。営業で成果をあげたいという経営者、幹部層の方はぜひALL-INの導入についてご検討ください。

「ALL-IN」概要資料

生産性をあげる極意 無料小冊子プレゼント!

目次

  1. ALL-IN開発コンセプト
  2. ALL-INの機能紹介
  3. 料金比較
  4. 導入ポイント

Facebookページにぜひ「いいね」をお願いします!

「いいね!」を押すと「経営をアップグレードしよう!」の最新コンテンツが受け取れます

すべての業務がひとつにつながる、クラウド経営システム「ALL-IN」について詳しく知りたい方はこちら!

クラウド経営システム「ALL-IN」の
資料をダウンロードする(無料)