ジョブ理論とは
企業が市場で事業を展開するに当たっては、事業で取り扱う商品やサービスを購入する顧客の支持を得て、顧客から商品・サービスを選択してもらう必要があります。
多くの顧客に選んでもらえれば、必然的にその事業は発展していきます。そして、顧客の支持を得るためには、顧客が求める商品・サービスを提供する必要があり、どういった商品・サービスを提供するのかについて、多くの企業ではマーケティングという形で多くの時間をかけて分析・検討しています。
そんな中、顧客の求める商品・サービス、つまり顧客のニーズを把握するための手法が注目を集めています。その手法は「ジョブ理論」です。
「ジョブ理論」のジョブとは、仕事ということではなく、顧客が達成したいと考えている目的のことです。言い換えるとジョブ理論とは、顧客が達成した目的を理解して、顧客がどういった理由で商品・サービスを選択しているのかを、論理的に把握するための手法と言えます。
マーケティングの世界では、企業が考えるニーズと実際に顧客が求めているニーズは異なると言われます。
このポイントを出発点に、単に顧客がこういった傾向を持つ人だから、こういった商品・サービスを求めているはずというような表層的な分析ではなく、顧客が商品・サービスを選択するその心理的な背景、どういった効果を求めて商品・サービスを選ぶのか?という点も視野に、より根源的なところで顧客の求める価値を検討する手法です。
なぜ今ジョブ理論なのか
現在は、選択に当たっての情報も多くなり、顧客に選択してもらうことが困難になっていると言われています。
少し前であれば、企業が考えた顧客像があってその顧客像に合わせる形で多くの商品・サービスが市場に提供されていましたが、選択肢も少なく得られる情報も限られており、また時代背景として人口も増加傾向にあったため、十分に商品・サービスを販売することができました。市場の環境が、企業主導で設定されていた時代とも言えます。
しかし、現在は顧客の好みも多様化している中、IT技術が発達しスマートフォンや評価サイト、口コミ情報に気軽に触れることが可能となったことで、顧客が商品・サービスを選択する際の情報が劇的に多くなっています。
また人口減少フェーズに入っており、そもそも商品・サービスを購入する層自体が減少傾向にあります。そのため、画一的な商品・サービスでは顧客には響かなくなり、情報が多く選択されにくくなった上に、顧客自体が減少しているという非常に厳しい環境となっています。
こういった環境においても、企業が成長するためにはより顧客のニーズを掴む形での商品・サービスの提供が重要になってきており、顧客ニーズを把握するための手法であるジョブ理論が大きく注目されています。顧客主導での事業展開がより一層求められる時代になっているのです。
ジョブ理論で抑えるべき4つの視点
ジョブ理論では、ジョブを理解するために、以下の4つの視点が重要であると言われています。ジョブ理論で抑えるべき重要な視点を確認します。
顧客が達成したいと思っている目的を「ジョブ」と呼ぶ
ジョブ理論の名前の通り、重要なのは「ジョブ」を理解することです。「ジョブ」とは顧客が達成したい目的のことであり、このジョブを解消(目的を達成)することで快感を得ます。顧客が「ジョブ」を解消したいと思っているという点を十分に理解して、「ジョブ」にポイントを当てて検討することが重要になります。
快感を求めて商品・サービスを購入するということを前提にし、想定している顧客が何を達成・解消することで快感を得るのかを押さえます。言い換えると、商品・サービスの購買という行動を起こすに至った動機とも言える目的を「ジョブ」と呼ぶと捉えることもできます。
例えば、汗拭きシートというのは単純には汗を拭くためのシートです。しかし、暑ければ売れるということではなく、これは「汗を拭きたい」ということは心の中では不快感を解消したい、周りの人に不潔だと思われたくないという目的=ジョブがあり、これを解消したいと思った時に売れる傾向にあると考えられます。
「ジョブ」は、ニーズとは異なりいわゆるストーリーがあり、定型的な指標の分析では把握することは難しいものなのです。
「ジョブ」をクリアにするために、顧客が商品やサービスを雇う
「ジョブ」が目的であり、それを達成・解消する点に顧客は快感を得ます。そして、顧客は「ジョブ」の達成・解消のために商品・サービスを購入します。
ここでジョブ理論では、商品・サービスを買うとは言わず、雇うという言い方をします。商品・サービスを買うというと、企業が顧客に提供をするという前提に立った形になりますが、商品・サービスを雇うというと顧客が自らの意思で、商品・サービスを選ぶという形になります。
つまり、顧客が自らの目的の達成・解消のために、それを実現することができる商品・サービスを自らの意思で選ぶという捉え方をします。重要なポイントは、顧客が自らの意思で選ぶという点です。あくまで、商品・サービスは顧客の目的達成のために利用してもらうツールと捉えるのです。
環境によって人が雇う商品・サービスは異なる
顧客は自ら達成したい目的のために、商品・サービスを雇います。しかし、顧客は置かれている環境によって、選択する商品・サービスが変化します。
例えば、ある父親がミルクシェイクを買うという行動があるとして、単純に子供が好きなミルクシェイクを買っていると結論付けてはいけません。通勤の車の中が退屈という理由や、車の中が汚れず気分が変わるという理由で、自身のためにミルクシェイクを選ぶこともあれば、夕食前のおやつとして、食事に影響が出ない程度のものとして子供にミルクシェイクを買い与えるということもあるのです。
つまり、同じ商品であっても、人は置かれている環境によって、異なる意思決定ルートで商品・サービスを購入するということです。
「ジョブ」は機能的な面だけはなく、感情的、社会的な面がある
「ジョブ」は単純に機能的な面があるだけではないと言われています。分かりやすい例で言うと、食事をとるという行動は、機能的には空腹を解消するということになります。
しかし、お祝いの場での食事であれば嬉しいという気持ちを共有するためであり、また仕事で高級なレストランで食事をするという行動は社会的に自分のセンスや常識をアピールするためという目的を解消するためになります。
このように「ジョブ」は機能的な面だけではなく、感情的・社会的な面があると言われています。
ジョブ理論の具体例
「ジョブ理論」の具体例としては、Uberがあります。Uberとはアプリで自由に車の手配ができるサービスですが、顧客が本当に求めていることを検討することで、生まれたサービスと言われています。
例えば、空港から都心に移動する場合にレンタカーかタクシーしか手段がないケースがあったとします。この場合、レンタカーは手配等に時間がかかり非常に手間であり、タクシーも混雑してなかなかスムーズに乗れないということが起こります。
ここで通常、顧客は移動したいという目的を持っていると捉えてしまいますが、本当の目的は快適にスムーズに移動したいという点にあることが分かります。この本当の目的が分かったことで、より快適にスムーズに移動手段である車を手配できるサービスを作るという視点ができ、Uberが生まれたと言われています。
まとめ
ジョブ理論は、これからの時代のビジネスにおいて必要不可欠な考え方の1つであると言えます。顧客が持つ「ニーズ」ではなく、ストーリーである「ジョブ」を理解することが重要になります。
この点、ALL-INは全てのビジネスの要素をサポートするシステムであり、幅広いデータと通じて、顧客の特性を把握することが可能です。顧客の特性に合わせてアプローチすることができ、事業の推進を強力にバックアップします。ALL-INは、大きな成長を目指す経営者を強力にサポートすることができるオススメのツールです。
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