財務会計を行うだけでは経営状態を正確に把握できないと言う場合は少なくありません。企業経営の意思決定を定量的な証拠に基づいて行うためには、財務会計だけではなく管理会計も合わせて行う必要があります。
本記事では管理会計とは何かについて説明し、なぜ企業が管理会計を導入するべきなのかについて説明します。
財務会計と管理会計
財務会計とは?
どの企業でも税務署に税務申告を行う為に決算書を作成しています。このように法的に義務付けられ、ルールが整備されている会計の事を財務会計と言います。しかし、この決算書が必ずしも経営状態を正しく反映しているわけではありません。
例えば、決算書上では在庫が300万円あったとしても、ほとんど売れないような商品であればもしかすると実質的には50万円分位の在庫の価値しかないかもしれません。
また、貸借対照表上には設備がほとんど無いけれども、償却が終わった簿外の資産がたくさん存在していてまだまだ使えるので、実は様々な設備を保有しているという場合もあります。このように決算書には記載されない会社の経営情報の中には実は経営判断を行う上でとても重要な情報が存在しています。
このような情報を明らかにするためには法律によって義務付けられている財務会計とは別に管理会計を行う必要があります。
管理会計とは?
管理会計とは財務会計とは違い、企業が自社の経営の為に行う会計です。
法律によってルールが決まっているわけではなく、誰に見せる必要もないので、各社が工夫して自社が管理するべきKPIに合わせて様々な方法で管理会計を行っています。
管理会計を行うメリット
では、管理会計を行う事によってどのようなメリットがあるのでしょうか。重要なのが経営者が会社の経営状態を定量的に把握できるようになるという事です。
経営者は感覚的に資金繰りが悪化しているような気がしてもいてもその原因が分からなければ対処できません。その際には月次の試算表を見ていたとしても原因を追究する事は困難です。
例えば、広告宣伝費の割合が高くなっている事がわかっても、広告宣伝費に無駄があるのかという事はわかりませんし、売上が下がっていたとしても誰の営業成績であったり、どのカテゴリーの商品の販売が落ちているかということはわかりません。
また、何となく資金繰りが落ちているというレベルではなく、実は2か月先には現金が足りなくなる位のペースで現金が減っているかもしれません。この時に感覚的に対処すると誤った経営判断を行いがちです。
広告宣伝費が上がっているので、広告宣伝費を切り詰めろと指示をして重要な広告宣伝費までカットするかもしれませんし、売上の多い商品を更に売る事によって手元現金を増やそうとしても、その商品の利益率は低いので実は他の商品を売った方が良いのかもしれません。
また、この時に正しい経営判断を行うために時間をかける事はできません。具体的な施策を行わなければならないタイミングで広告の費用対効果を分析したり、商品別の収益性を分析していては遅いのです。
つまり、経営状態を的確に把握し、何か問題が発生した時に適切な経営判断を行うためには日頃から定量的に会社の経営状態をシステムによって管理する事が重要となるのです。
管理会計は経営者にこのようなインフラを整備する為に非常に重要な取り組みだと言えます。
管理会計のソフトを導入する意義とは?
では、どのように管理会計を行えば良いのでしょうか。財務会計もそうですが、会計の仕事は単純な作業の割にとても手間と時間がかかる作業です。
すなわち、財務会計について多くの会社が会計ソフトを導入しているように、管理会計についてもソフトを導入しなければ、手間と時間が掛かりすぎてしまいます。
そのため、経営判断を行うのに時間がかかりすぎてしまったり、管理会計上の数値を算出するのに手間がかかりかえってコスト高になってしまったりする場合もあります。
このような事から管理会計についても財務会計と同様に管理会計もソフトを使って効率的に運用する必要がありますが、一点問題があります。それは財務会計のルールがあらかじめ決められているのに対して、管理会計のルールは特にないという事です。
このような理由から、財務会計は既存のソフトを使っても十分に対応可能ですが、特殊な管理会計がしたい場合は、SIerシステム開発を委託する事が必要となり、膨大なコストが必要となります。
このような事から100%自社が知りたいKPIに基づいて管理会計を行うというのが実は中小企業にはとても困難です。
資金繰りを管理会計にて解決!
ただし、どの規模の会社、どの業種であっても管理会計すべき共通事項は存在します。例えば、その典型的な例が資金繰り表です。財務会計は費用収益対応の原則に基づいて記録されています。
例えば、6月に商品を納品して契約の履行が完了した場合、売上は6月になりますが、売掛として3か月後に入金される場合、実際に手元の現金が増えるのは9月になります。
また、1月に仕入れた商品は2月に売れようが、12月に売れようが売れたタイミングでしか売上原価として計上できません。このように財務会計上の売上や売上原価は実際にお金が入る、出るタイミングとは違うタイミングで計上されます。
このように掛かった費用と収益を対応させるように記録しているので、実際の入金、出金のタイミングとは異なるのです。
しかし、会社経営において最も気を使うべきは資金繰りであり、会社が倒産する原因は唯一手元の現金が無くなって支払いができなくなった時のみなので、実際の入金と出金に基づいて資金繰り表を付けるという事は業種や事業規模を問わずに重要です。
このように、業種や規模を問わずに、財務会計では対応していない会計テーマがあるので、個別のカスタマイズを行わなくても管理会計ソフトを導入するメリットは十分にあると言えます。
管理会計ソフトを導入する際のポイント
では、オリジナルの管理会計ソフトではなく、既存の会計ソフトでも十分に導入のメリットがあるとするならば、導入の際にはどのような点に気を付ければ良いのでしょうか。管理会計ソフトを導入するにあたって重要な事は他のシステムとの連携です。
管理会計はすべての経営活動の結果をまとめる為に行うものです。例えば、在庫状況を把握するためには在庫管理システムと連動する必要もありますし、営業の生産性を検証する際には営業管理や顧客管理システムと連動している必要があります。
このように、色々な経営活動にまつわるシステムと連動していないと、いざ管理会計を行う際に、情報元のシステムからデータを取り出して加工するアナログな工程が発生してしまいます。
このように人力によってデータを加工するのには時間も掛かりますし、ミスの原因ともなります。このような理由から、いかにスムーズに他のシステムから情報を取得して、管理会計ソフトによって定量的なKPIに変換するのかという事を考えた上で管理会計ソフトを導入した方が良いでしょう。
おわりに
以上のように管理会計の意義とソフトを導入するメリットやポイントについて説明してきました。管理会計は経営者が経営状態を的確に把握し、経営判断を適切に行う為に非常に重要な事です。
ルール決まっておらず、各社独自の管理の仕方があるはずなので、こだわればSIerなどに依頼して自社のオリジナルシステムを制作する事になりますが、既製品のソフトでも十分効果を発揮します。
ただし、管理会計という事が諸々の経営活動の集大成として行われる事なので、どのように各種システムと連携させるのかと言う事は重要です。
ALL-INの会計ツールを活用!
ALL-INはこのような企業の悩みに応えるために作られたソフトです。管理会計ソフトとして経営指標を算出するだけではなく、在庫や給与、営業など様々なシステムを統合したソフトなので、情報の連携を気にせずに利用する事ができます。
管理会計を行う事によって、正確な経営判断を行い、事業を成長させたいという経営者の皆様はぜひご検討ください。
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