『サイバーエージェントのグループ会社社長インタビュー連載企画』
【第14弾】今回は、サイバーエージェントのグループ会社、株式会社ドットマネー 鈴木社長に、「”事業”を主語に語れる、強い組織のつくりかた」についてお聞きしてきました!
株式会社ドットマネー
代表取締役社長 鈴木 英
<経歴>
2013年に株式会社サイバーエージェントへ新卒入社。
アメーバ事業本部プラットフォーム事業部でプランナーを経験後、ポイントプラットフォーム事業の立ち上げに携わる。2015年に同事業の事業責任者就任。
2016年に株式会社ドットマネー代表取締役社長就任。<企業情報>
株式会社 ドットマネー
https://d-money.jp/
ドットマネーはどんな会社か
———ドットマネーとはどんな会社なのでしょうか?
「ドットマネー」は、ポイントの交換サービスを提供しています。
日本のマーケットには、多種多様な大量のポイントがあります。
それを1つの“ドットマネー”というポイントに変換してまとめて、現金化するというサービスです。
ドットマネーは現在、1,800万人程の会員数で、業界最大級のサービスとなっています。
また、Amebaを基盤に展開しているので、Ameba会員であれば誰でもすぐにポイントを使うことができます。
縦ではなく、横でつながる組織の創り方
———ドットマネーの組織構成を教えてください。
社員数が12名、営業と開発が半々の組織です。
営業も開発も同じフロアで、距離感も近く、コミュニケーション量が多いのが特徴です。
———営業組織と開発組織を融合することにおいて難しい点はどこですか?
営業と開発というそれぞれ違った立場の人を、一つの方向に向かせることです。
そのためには、縦の組織ではなく「横でつながる組織」を創る必要があります。
一般的には、組織が大きくなればなるほど、横のつながりが薄い、縦の組織をつくってしまいがちです。
しかし、 組織の「縦化」が進むと、メンバー全員が同じ方向を向いて仕事をすることが難しくなってきます。
営業部門、開発部門という部署ごとの中ではコミュニケーションが取れていても、他部署とのコミュニケーションがとれていないのが、縦の組織です。
そもそも、営業と開発では違った価値観を持っていることが多く、大切にしているものが違うことも多い。
コミュニケーションを取らずにそれぞれの目的をぶつけたら、相反することがあるのは当たり前のことです。
これは、お互いがお互いのことを知らないがために、生まれることです。
営業は開発のことを分かっていない。逆に、開発は営業のことを分かっていない。
相手の立場を理解していないのに、自分の立場で話をしていては、分かり合えないのは当たり前です。
ですから、共通認識を生み出すための施策が必要です。
「共通言語」をつくること〜社員全員が、会社の目標を「同じ言葉」で語れるか〜
———どのようにして、横の組織を創っていくのでしょうか?
「共通言語」をつくることがポイントです。
特に、会社のビジョンや目標が組織の共通言語になっているか。
メンバー全員が会社のビジョンや目標を、同じ言葉で語れるかは非常に重要です。
例えば、ドットマネーであれば、
「21世紀の新しいお金のあり方を創る」というビジョンが組織に浸透しているか、全員が同じ言葉で語れるかということです。
———共通言語となるような目標を設定する際のポイントはありますか?
数字だけで目標を語らないことです。
例えば、「今月は5,000万の売り上げを目標に頑張ろう!」と、
数字だけの目標を提示されても、それはメンバーにとって、頑張るためのエンジンにはならない。
私たちは今、どのような状態で、ここからどの状態を目指していくのかという、状態をベースとした目標でないと、やる気を引き出すことは難しいのです。
中長期の目標を、数字ではなく、定性的な状態として定義をすることが大切です。
———具体的に、どのようにして中長期の目標を立てていけば良いのでしょうか?
会社としての1番大きなビジョンは、100年後でも通用するものにするべきです。
その大きなビジョンに対して、
会社としての最上位のビジョン
↓
5年後のビジョン
↓
1年後のビジョン
↓
四半期ごとの目標
というように、会社のビジョンをどんどん細分化して落とし込むといいです。
———目標は誰が決めるのでしょうか?
「21世紀の新しいお金のあり方を創る」という、大きなビジョンと大枠の方針は経営陣で決めますが、大きなビジョンに紐付いた部署ごとの目標は、各メンバーに自由に決めてもらっています。
もちろん擦り合わせはしますが、基本的に、会社の目標からずれていなければ、自由に決めてOK。
そうやって、それぞれのメンバーの決断を反映させた目標にすることで、メンバー1人ひとりが当事者意識を持って取り組むことができると思っています。
1人ひとりの個性を多面的に理解し、強みを活かす
———他にも、組織のつながりを強くするための方策はありますか?
各メンバーの個性を、多面的に捉えて本人に伝えることです。
どうしても、私一人が見る範囲には限りがあります。
だからこそ、コミュニケーションが活発になるランチや飲み会には積極的に誘います。
飲みの席などでは、仕事の話をすることは少ないかもしれません。
その人が大事にしている価値観や、最近の出来事など、小さいことでもできるだけ理解できるようにしようと思っています。
———どのようにしてメンバーに伝えるのでしょう?
面談の場などで率直に伝えることもあれば、飲みの席で話すこともあります。
自分が感じている本人の課題については、率直に伝えないと、理解してもらえないケースが多いです。
この時「配慮」は必要だと思いますが、一切「遠慮」はしないようにしています。
各個人のキャラクターを理解したうえで、今後の課題などは率直に伝えます。
時に厳しい言葉になることもありますが、それがきっかけで人は生まれ変わると思ってますし、本音の対話なくして、信頼もありません。
このとき、社長(リーダー)は、お互いに対等な関係であるということを伝えることが大切です。
社長も役割の1つにすぎないという意識を持つことです。
お互いがリスペクトし合い、お互いの良さを認めて、立場や役割は関係なく、対等に会話をする事です。
そうやって、お互いの良さを共有することで、信頼関係のベースができ、横のつながりもつくりやすくなります。
それぞれ強烈な個性を持っているわけで、それが組織としてまとまったときに掛け算が生まれ大きな事業成果を創るはずです。
そのためにできることは何でもやろうと思っています。
「事業を主語に」語る組織の強さ
———社員がお互いの良さを認め合うと、事業にも良い影響があるのでしょうか?
お互いが相手の気持ちを考えるようになり、「自分中心」になりにくくなります。すると、
「自分」を主語ではなく、「事業」を主語に語るようになる。
「事業が主語」の組織は、
全員が、事業を主語に優先順位を考え、インパクトがある領域に自分を投資しようとするので実行の部分で大きな差が出ます。
それぞれが「事業に対して自分はどんな役割を果たすべきか」を考えることで成果が出るようになると思っています。
主語が統一されるということは、目線も統一されることにもなる。
だからこそ、シームレスな業務設計が可能となり、大きな成果が出やすい状態になるはずです。
尖った個性を集めて、”丸の組織”を創る
———「経営をアップグレードしよう!」の読者にメッセージをお願いします。
「社員一人ひとりの個性を大切にした経営」をしてほしいです。
「経営は“人” 」だと思っています。
なぜなら、どんなにいい戦略があっても、それを実行する人がいなければ、何も実現できないからです。
戦略と実行が成功に占める割合は、
戦略:実行=3:7くらいだと思っています。
その7割の実行をかたちにしていくのは、人。
だからこそ、人を大切にする経営をしてほしい。
実行があるからこそ、戦略の精度も上がってくるので、実行に力を入れることは重要です。
また、強烈な個性を育てたうえで活かす、
「尖った個性を集めて“丸の組織”を創る」ことを意識してほしいです。
それぞれの個性が尖っていても、それを重ね合わせた時に、組織として大きな丸を描くことができればいいと思っています。
尖った個性を集めた集団で“組織の掛け算”をつくり、大きな円を描き、組織として最大のパフォーマンスを発揮する。
私自身もそういった経営を目指していきます。
———鈴木社長、貴重なお話ありがとうございました!
本記事の作成者:黒田訓英
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