『サイバーエージェントのグループ会社社長インタビュー連載企画』
【第5弾】今回は、サイバーエージェントのグループ会社、株式会社CyberBull 中田社長に、「陰の立役者にスポットライトを当てる評価制度」と、社内活性化組織『ヨイショ』についてお聞きしてきました!
株式会社CyberBull
代表取締役社長 中田 大樹<経歴>
2011年4月 サイバーエージェント新卒入社
インターネット広告代理事業本部 西日本事業部配属
大手メーカー、通販企業を担当
アカウントプランナーとして主に関西のWeb広告市場を開拓2012年4月 営業MGRに昇格
2013年5月 インターネット広告事業本部 営業局長に昇格
大阪の営業責任者として関西企業のデジタルマーケティングを支援2015年4月 CyberBullを設立。代表取締役社長に就任
2016年10月 サイバーエージェント執行役員に就任
株式会社CyberBull Webサイト
https://www.cyber-bull.co.jp
CyberBullはどんな会社か
———CyberBullとはどんな会社なのでしょうか?
CyberBullは、インターネットの動画広告に特化した、広告代理事業を行っている会社です。
動画広告という新しい領域には、「正解」といえるマーケットルールがまだ確立していません。
私たちCyberBullは、動画広告領域で「新しいマーケットルール」を創ります。
———CyberBullの強みは何ですか?
社内にクリエイティブチームを内製化している点が、CyberBullの強みです。
様々な場所で動画広告を流せるようになってきている中で、
企業は、動画クリエイティブのコンテンツを豊富に持っておく必要があります。
例えば、バナー(静止画の広告)であれば、
年代ごとにクリエイティブの企画を分けて制作したり、
ABテストをしたりするのは普通ですが、
動画の広告で、同じことをやろうと思ったときに、
動画は、静止画と比較すると、
制作時間や制作費用が多くかかってしまいます。
そのデメリットを払拭するために、
CyberBullは、クリエイティブに力を入れており、社内で動画を企画・制作できる体制を整えています。
代理店でありながら、カメラマンや編集者、企画を考えるプランナーはもちろん、機材やスタジオなどが全て社内に入っています。
普通でしたら、役割を分けて他の会社と協力して制作するところを、
全部自社の中で解決できるようにしたので、
他の広告代理店よりも、制作スピードが速く、制作費も抑えられます。
スピーディに、動画クリエイティブのPDCAを回すことができます。
陰の立役者を評価する「ベストセカンドヒーロー賞」
———社員を評価するときの難しさは何ですか?
成果が見えやすい職種と、成果が見えにくい職種があることです。
私はこれを、光の立役者と陰の立役者と呼んでいます。
組織というのは、大きくなればなるほど、
頑張っていても、成果が分かりにくい職種が出てきます。
いわゆる「縁の下の力持ち」のような存在です。
そういった陰の立役者を、意識的に評価しようとしなければ、
自然と、成果が見えやすい光の立役者ばかりが評価されるようになってしまいます。
「陰の立役者をいかに評価するか」が、評価の難しいところです。
———具体的には、陰の立役者とはどんな人のことでしょうか?
例えば、
企画を提案する人は、「企画がお客様に採用されました。」という成果が分かりやすいです。
一方で、
その企画が採用されたのは、実は、“音”が大きな要因であったとしても、
その音を作った人物は評価されにくいです。
動画制作では、様々な職種の人が力を合わせて1本の作品を作るので、複数の人の働きが結集して、成果として現れます。
受注を取ってきた営業の人や、企画を決めてきたプランナーの人など、
どうしても、分かりやすい成果が目についてしまいますが、
他の人も、その成果を支えているのです。
影の立役者として、貢献した人がたくさんいるのです。
そこを、しっかりと可視化することが大切だと思います。
陰の立役者にもスポットライトを当てる評価制度が必要です。
———陰の立役者にスポットライトを当てる評価制度とはどのようなものですか?
CyberBullでは「ベストセカンドヒーロー賞」と「私の金メダル」を実施しています。
———「ベストセカンドヒーロー賞」とはどのような評価制度なのでしょうか?
「ベストセカンドヒーロー賞」は、
毎月末、社員のみんなの投票によって選ばれる「今月会社に貢献してくれた人を表彰する」制度です。
CyberBullでは、毎月末に、活躍した人を表彰しています。
「ベストプレーヤー賞」や「ベストクリエーター賞」「ベストスタッフ賞」など、職種別にカテゴリー分けされた8種類程の賞があります。
様々な賞がありますが、普通に実施すると、
結局、MVPをとるのは、成果が数字として見える人になりがちです。
そこで、「ベストセカンドヒーロー賞」という評価制度を導入しました。
これは、数字としての成果に囚われずに、「今月会社に貢献してくれた」と、社員のみんなが思っている人を表彰する制度です。
他の賞は、幹部以上で相談して決めますが、
「ベストセカンドヒーロー賞」は全社員の投票制で、
全社員がコメントとセットで投票し、一番票が多かった人が受賞となります。
サッカーでいうと、点は決めていないけれど、アシストした人を評価する制度と言えます。
これは、現場の声を拾うことにも繋がっており、
幹部メンバーが見きれていなかった、社員のよさを知る貴重な機会にもなっています。
「私の金メダル」で、”褒める”を文化に
———「私の金メダル」とはどのような評価制度なのでしょうか?
「私の金メダル」は、毎週月曜日、社員全員が集まる朝会で実施している評価制度です。
これは、朝会で司会者に指名された1人が、
「先週お世話になった人」や「今、一番感謝を伝えたい人」を発表して、金メダルとともに表彰するという制度です。
「ベストセカンドヒーロー賞」も「私の金メダル」も、承認し合い、褒め合う評価制度です。
私もそうですが、人は、承認されたい欲求をもっているので、
みんな承認されたら嬉しいですし、モチベーションも上がります。
承認し合い、褒め合うことが、組織の一体感を生み、組織力を高めます。
ですから、承認し合い、褒め合うことを大切にしています。
そして、何回も繰り返し実施していくうちに、
それは文化となり、表彰制度がない場でも、自然とお互いが褒め合うようになっていきます。
活性化組織「ヨイショ」が組織力を高める
———評価制度以外にも大切にしていることはありますか?
「士気管理」「モチベーション管理」をすることを大切にしています。
CyberBullには、自分たちのメイン業務とは別に、
「会社を盛り上げ、活性化させる」というミッションを持つ「ヨイショ」という組織があります。
———活性化組織「ヨイショ」とはどのような組織なのでしょうか?
「ヨイショ」は、会社を盛り上げ、鼓舞する活性化組織です。
これは、創業半年目からずっと継続して実施している取り組みで、
事業部ごとに、半期に1回、リーダーとメンバーを決めて組織を作っています。
「ヨイショ」の活動の一つに、「ヨイショ飲み」というシャッフル飲み会があります。
これは、毎月、会社からお金を出して、事業部横断で行く懇親会です。
「学生時代の部活が同じだった人」など、毎回テーマを決めて、
共通点のある人を集めてご飯を食べに行きます。
「ヨイショ飲み」は、仕事ではないリラックスした雰囲気の中、共通点がある人が集まっている状況ですので、普段口数の少ないクリエイターの人も、話しやすいようです。
また、食事を通して、人間的な部分も含めて、仲間のことを理解することができます。
すると、コミュニケーションが円滑になるので、仕事がやりやすくなっていきます。
CyberBullは、現在、社員数が約40人となり、その中でも様々なチームがあるため、
何もしないと、話したことがない人と仕事をするケースが増えてしまいます。
少人数の組織であれば、みんなと毎日話すのは普通のことですが、
40人となると、それは難しいです。
社内でコミュニケーションの弊害を生ませないというのは、
仕事を円滑に進め、生産性を高める上で、すごく重要です。
そう行った問題がある中、社内の縦・横のコミュニケーションの弊害を無くしコミュニケーションを活性化させる企画を考え、実施してくれているのが「ヨイショ」です。
———他にも「ヨイショ」が活躍している場面はありますか?
会社のスローガンの浸透にも、力を貸してくれています。
現在は、“社員全員がシンクロする” という意味を込めて、「シンクロ」がスローガンとなっていますが、
「シンクロ」という言葉を社内に普及させるための仕組みや、施策を企画してくれています。
例えば、
出社したら1番に目につく入り口に、巨大ポスターを掲示しています。
今回は、「シンクロ」とシンクロナイズドスイミングをかけていますし、
実は、「私の金メダル」とオリンピックの金メダルが、かけ合わさっていたりもします。
すごく細かいところですが、そういった統一感を持たせることで、会社をより盛り上げてくれています。
「ドライな視点」と「ウェットな視点」をもった経営者に
———経営者として大切にするべきことは何でしょう?
経営者は、
「ドライな視点」と「ウエットな視点」の2視点を持っておく必要があると思っています。
「ドライな視点」とは、厳しく、徹底的に、論理的に追及する視点です。
事業の業績など、お金に関わることは、「ドライな視点」で考えるべきだと思います。
一方、
「ウエットな視点」とは、優しく、温かく、信頼関係を大切にした視点です。
社員との人間関係など、人に関わることは、「ウエットな視点」で考えるべきだと思います。
例えば、
「ドライな視点」で、事業計画がすごく緻密に考えられていたとしても、
それを実現するのは、結局、組織と人ですから、「ウエットな視点」が必要になります。
売り上げばかりを追い求めていると、「ウエットな視点」がおろそかになってしまうことが多いですので、気をつけたいところです。
私が目指すのは、「ドライな視点」と「ウエットな視点」をバランスよく兼ね備えた、
強くも温かい、そんな経営者です。
「ドライな視点」と「ウエットな視点」を両方持っているからこそ、
ビジネスがスケールする。そして、社員のみんなが幸せになっていく。
愛のある温かい仲間と、着実な成果。
きっと、両方あるからこそ、社員のみんなもずっとその会社にいたいと思えるのではないでしょうか。
———中田社長、貴重なお話ありがとうございました!
本記事の作成者:黒田訓英
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