企業の成長サイクルには、幼年期、成長期、成熟期、衰退期という4つのステージがあり、各ステージに応じて経営における課題も異なります。本記事では4つのステージの中でも特に成長期について説明します。成長期は会社が成長するステージですが、会社が成長しているからこそ起こる問題があり、成長期にどのように経営するかは成熟期、衰退期の乗り越えやすさに大きく影響します。
成長期-事業成長-とは
まずは、成長期とはどのようなステージなのかについて説明します。成長期はどうすれば会社が成長するか明確になっていなかった幼年期を乗り越えて、事業の成長のさせ方に方針が立ち、方針を元に事業を成長させる段階です。
幼年期には「ヒト・モノ・カネ」のいずれも不足していましたが、成長期に入り収益を上げられるようになると、ヒト・モノ・カネも少しずつ充実してきます。会社が成長していることを実感できるステージなので経営者にとってのやりがいも大きいステージです。
やりがいが大きい一方で、成長期にどのように会社を成長させるかは成熟期、衰退期にも大きく影響を与えるので、中長期的に重要な経営判断をしなければならないことが多い時期でもあります。
成長期に経営判断を誤ると、競合に負けて成熟期を待たずに事業成績が芳しくなくなるかもしれません。また、成熟期までに完成させたビジネスモデルをガラっと変更させることになってしまうかもしれないという、大きなリスクやコストが発生する可能性もあります。
よって、成長期の経営者は会社の成長ビジョンをしっかりと描いた上で、きちんと成熟期まで勝ち残り収益を上げられるビジネスモデルを作り上げなければなりません。
成長期における課題
では、成長期における典型的な課題をヒト・モノ・カネの3パターンに分類して説明します。
ヒト
まずは、ヒトにまつわる成長期の課題について説明します。
ヒトにおける課題
成長期の人における課題は、人材の採用と初期メンバーの処遇です。
人材の採用について幼年期は会社に実績が無いことから採用すること自体困難でしたが、成長期の会社の場合は、応募してくる人材の中からどのような基準で選べば良いのかということも重要になります。
幼年期の企業では一人の社員が複数の役割を果たすことが良くありますが、企業が成長期になると機能分化が進みそれぞれの部署に専門性を持った人材が必要になります。専門性を持って会社で活躍する人材をどのように求職者の中からみつけるのかというのが、成長期の企業が抱えがちな問題です。
もう1つの初期メンバーに待遇についてです。
幼年期の社員は全て売上を作れたり、バックオフィスの実務ができたりするプレイヤーである必要がありました。しかし、会社の規模に応じて徐々に管理職が求められます。ところが、名プレイヤーが名コーチにならないように優れた現場社員が管理職として能力を発揮できるとは限りません。
そのため創業初期から会社に貢献してくれたメンバーを出世させて管理職にすると組織としてうまくまとまらない場合も良くあります。特に成長期の後期には初期メンバーとしては優秀でも、管理職適性が無い、能力が会社の成長についていけていないメンバーをどのように処遇するのかを求められることになります。
ヒトにおける打ち手
このようなヒトにまつわる問題をどのように解決すれば良いのでしょうか。
まず採用に関する問題は、会社のミッションや理念に応じて必要な人材の要件をつくり、社内の採用基準を明確にする必要があります。
会社の成長に採用が追い付かないと機会損失が発生してしまいますが、いたずらに人材を採用すると後の会社の生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。採用担当者に任せるのではなく、経営層が採用に関与して将来の幹部人材を見極めた方が良いでしょう。
初期メンバーの処遇については基本的に年功序列で役職をあげることも重要ですが、明らかに管理職に不向きな人材はプレイヤーとして活躍してもらうことが良い場合もあります。初期メンバーは創業から会社に貢献してくれているということもあり、出世をさせないというのは気がひけることですが、ときとして経営者として厳しい判断も必要です。
また、そもそも幼年期と同じように成長期の企業をマネジメントすることは困難です。社員が増えてくるにつれ、人力での人材管理が不可能になるからです。こうしたときに人材管理、マネジメントのためにシステムを活用することはとても有効です。
モノ
続いて、モノにまつわる成長期の課題について説明します。
モノにおける課題
成長期で市場に合わせて会社が成長している場合は、競合対策が重要なポイントになります。市場の成長につれて新規参入の企業が増加するため、新規参入企業に負けずにどのように企業を成長させるのかを考えなければなりません。
成長期に独自固有の長所を作り市場シェアを拡大していないと、市場の成熟、縮小局面でシェアの小さい企業から順番に市場から撤退していくことになります。
モノにおける打ち手
モノにおける課題を解決するために明確な答えはありません。例えば、ベンチャーキャピタルなどから資金を調達して、大きな赤字を出してでも一気にマーケティング、セールスを行い、市場シェアを確定させてしまうという手法も考えられますし、周辺製品やサービスまで拡大させて広く市場を獲得する方法も考えられます。
経営者はいずれ商品やサービスの市場が縮小することを見越して、会社のモノを磨き込む必要があります。
カネ
最後に、カネにまつわる成長期の課題について説明します。
カネにおける課題
成長期におけるカネの課題としては、会社の成長に対して資金調達が追い付かない場合が考えられます。成長期においては、売上を大きくし、成長スピードを加速するために色々なことに投資をしたいと思いがちですが、資金が伴わずに歯がゆい思いをすることもあるでしょう。また銀行から融資を受けようにも、すぐに会社が成長期に突入すると会社に十分な信用力が無く、銀行の融資を受けられない場合もあります。
更に、資金量を誤って過剰に事業に投資した結果、帳簿上は利益が出ていても資金繰りが回らなくなり、黒字倒産する可能性もあります。
カネにおける打ち手
まず対策として考えられるのが、事業からの収益に合わせて徐々に会社を拡大させていくことです。ただし、競合が存在するのならば、このパターンは競合に負けてしまう可能性も高いです。よって、できることなら資金調達はした方が良いです。銀行との交渉は入念に行った方が良いでしょう。
また、近年はベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資を受けて事業を成長させるパターンもあります。将来性があって、一気に市場でシェアを拡大しないと競合との競争に負けかねない業界ではこのような資金調達手法も有効です。
ただし、それ以前の問題として、会社の資金繰りをきちんと把握しておくことは重要であり、会計システムなどを導入してリアルタイムで資金繰りを確認できる体制を構築する必要があります。
まとめ
以上のように、成長期の企業における課題と打ち手について説明してきました。成長期は会社が成長するからこそ、その成長にヒト・モノ・カネが追い付くことができずに試行錯誤するステージでもあります。この様な問題を解決するために重要なのは、社内にきちんとした経営インフラを整えることです。
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