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『サイバーエージェント流!経営のポイント』 【第17弾】CA Tech Kids上野社長が考える 「自発的に成長へ向かうチーム作りにおいて心がけていること」とは?

『サイバーエージェントのグループ会社社長インタビュー連載企画』
【第17弾】
今回は、サイバーエージェントのグループ会社、株式会社CA Tech Kids 上野社長に、「意欲的な人材を集めるコツ」「学生が自ら主体的に働いてくれる仕組み」についてお聞きしてきました!

株式会社CA Tech Kids
代表取締役社長 上野 朝大

<経歴>
1987年、大阪府生まれ。立命館大学国際関係学部卒業。
2010年、新卒でサイバーエージェントに入社。
インターネット広告営業、マーケティング事業部長、アプリプロデューサーを経て、
2013年5月サイバーエージェントグループの子会社として株式会社CA Tech Kidsを設立し、代表取締役社長に就任。

事業の立ち上げ、経営を行う一方で、一般社団法人新経済連盟教育改革プロジェクトプログラミング教育推進分科会責任者の他、文部科学省「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」委員なども務め、プログラミング教育の普及、推進に尽力する。
2016年4月政府閣僚と経済界経済界代表との意見交換会合「第5回未来投資に向けた官民対話」に出席

<企業情報>
株式会社 CA Tech Kids
https://techkidsschool.jp/company/

CA Tech Kidsはどんな会社か

———CA Tech Kidsとはどんな会社なのでしょうか?

「CA Tech Kids」は、小学生を対象としたプログラミング教育の事業を展開しています。

具体的には、
・初めて取り組むお子さん向けのプログラミング体験ワークショップ「Tech Kids CAMP
・大人顔負けの本格的なプログラミングを継続的に学ぶことができるプログラミングスクール「Tech Kids School
この2つを軸に運営を行っています。

また、創業以来、全国各地の自治体や学校と組んでプログラミング体験ワークショップを行ったり、指導者育成のための講習を行うなどして小学生向けプログラミング教育の普及に努めてきました。最近は、「QUREO(キュレオ)」 という、オンラインプログラミング学習教材を学習塾や学校などに提供し、プログラミング教育の導入をサポートする活動も行っています。

そうした初心者向けのプログラミング教育普及に取り組む一方で、本格的なプログラミングを習得した子どもの姿を示すべく、奨学金特待生の育成を行っているほか、昨年秋には全国から1,000件を超えるエントリーが集まった小学生のためのプログラミングコンテスト「Tech Kids Grand Prixも開催しました。そこでは、大人には思いつかないようなアイデアと、大人顔負けのクオリティでアプリやゲームを開発している子どもたちに、多くの驚きの声をいただきました。

当スクールは、単にプログラミングスキルを教えるだけではなく、自分のアイデアを自らの力で実現することができる人材を育てることを目的としています。日本の小学校でもプログラミング教育が必修化となる2020年に向けて、現在様々な課題の議論がなされている一方、安易なブームが起きているようにも感じます。

プログラミングという「武器」を身に着けた子どもたちの姿を、多くのかたに見ていただくことで、私たちの考えるプログラミング教育を示していきたいと活動をしています。

子どもたちの学習をサポートする300人の学生アルバイト

———主要都市に教室を展開し、初心者向けから上級者向けまで大きく事業展開をされていますが、「CA Tech Kids」の組織構成を教えてください。

現在5つある直営教室の教室責任者を含めた正社員は8人、生徒のプログラミング学習をサポートするメンターとしてアルバイトがおよそ300人います。
アルバイトの人数が社員の人数の30倍以上いるという状態です。

教室では、大体生徒3~4人対してメンターが1人つくような体制になっており、理工学部でプログラミングを学んでいる学生や、教育学部で教師を目指している学生などが、研修を経て、当社独自の教材をもとに子どもたちの学習をサポートしています。

私たちの教室は、学校の授業のように講義を聞くスタイルではなく、1人ひとりが教材を見ながら自分のペースで進めていく自学スタイルです。プログラミングは自分でプログラムを考えてトライ&エラーしながら進めていくものなので、言われた通りにコードを入力をしてみんなで同じプログラムを打っていたのではその本質的な楽しさはわからないでしょう。当社では「試行錯誤しながら得た気づきこそが学びになる」というポリシーで、教材やカリキュラムを設計しています。

そのため、「先生」ではなく「メンター」という立場で、「指導」ではなくあくまで「学習サポート」を行う存在と位置づけています。「生徒に質問をされてもすぐに答えを教えない」という方針を設けて、子どもの自発的な学びを導くようにしています。それを実現するためにも、生徒に目が行き届く人数を配置しています。

———実際にアルバイトスタッフ中心の教室運営でうまくいくのでしょうか?

 アルバイトとはいえ、事前の研修はかなりの時間をかけてしっかりと行っています。

そのことは大前提ではありますが、あとは親会社であるサイバーエージェントの人材育成のノウハウを当社でも取り入れ、育成、活性化を行っています。
どれも基本的なことではありますが、大きく3つのポイントがあります。

・意欲が高い人材を採用する。
・大きな仕事を任せて裁量権を与える。
・活躍を評価し、継続的な活性化を行う。

社員だから、アルバイトだからと雇用区分に囚われて仕事を割り振るのではなく、
アルバイトスタッフであっても、意欲と能力のある人には大きな仕事を任せて、正しく評価をし、裁量権を与えれば、彼らは自ら意欲的に活躍をしてくれると考えています

「CA Tech Kids」立ち上げ当時は、社員は私を含めて2人でしたが、大勢の生徒に対峙するプログラミング教育の教室運営は、マンパワーが必要で、2人で回せる事業ではありませんでした。かといって、社員をたくさん採用できるような余裕はなかったので、積極的な態度で手伝ってくれる人たちが必要でした。

そこで、「プログラミング教育事業の立ち上げを一緒にやりたい人を募集」ということで学生に集まってもらい、協力していただくことにしました。
それ以来、学生アルバイトの方々と協力してスクール運営をしており、今もCA Tech Kidsは意欲的な学生たちに支えてもらっています。

やる気を引き出し、自発的な成長を促すマネジメント

———メンバーのやる気を引き出し、自発的に成長してもらうには、どうしたらよいでしょう?

「自由裁量の幅を広く持たせること」と、「活躍に応じた、目に見える評価をすること」、この2つが欠かせないと思います

 


———「自由裁量の幅を広く持たせる」とは、どういうことでしょう


できる限り裁量権を与え、大きな仕事にチャレンジできる環境を整えるということです。

アルバイトだからといっていつも決まり切った仕事ばかりでは、惰性的に働くようになってしまいます。そうではなく、仕事に対して、楽しさややりがいを感じて働けるようにするためにも、自分自身の判断で創意工夫できる余地を与えることが大切です。

CA Tech Kids では、学生アルバイトであっても、教室の運営や会社の経営に対しても、アクションできるような環境をつくっています。例えば、スクールでは生徒が帰ってから、メンターが主体となり振り返りミーティングを行っています。
各自が気づいたことや反省などを自由に発言し、互いに改善策を出し合ったり、その日動きの良かった人を選び合うなどをしたところ、学生が、「より良い教室のために」「生徒の成長のために」という視点を持って、生き生きと自分たちで考え動いてくれるようになりました。
また、有志を募って、教室の運営やサービスの改善案を社長の私に提案する会議なども行っており、実際にそこから実現した案も多数あります。
例えば、Tech Kids Schoolの教室運営の中で使っているシステム(アルバイトの勤務を決めるシステムや、生徒がつくったプログラミングのデータを自動で回収するシステム)を提案してくれたのも、実際につくったのもアルバイトの学生エンジニアです。

 

———「活躍に応じた、目に見える評価をすること」とは、具体的にどういうことでしょう

 活躍に応じて昇格する職位を明確に定めているほか
活躍した人がメンバー全員の前で表彰され、認められる場を設けています。

メンターには、階級分けされた職位(サブメンター、メインメンター、チーフメンター、ディレクターなど)があり、教室運営はディレクターを中心としたボードメンバーによって担われています。

意欲と活躍に応じて昇格する仕組みになっており、昇格をすれば、任される仕事の範囲が広がっていきます。そうすることで、やる気と能力のある学生さんには、活躍の余地を広げ、チャレンジできる環境をつくっています。

また、スクールでは毎回「本日のベストメンター」を1名選んで表彰しているほか、半年に一回、全社員が参加するメンター総会を開いており、活躍した人の表彰や、昇格の発表をする場を設けています。

基本的なことですが、自分で考えて実行したことがしっかり評価されると、やる気につながります。会社の上司や仲間から賞賛されたり、生徒や保護者からの喜びの声をいただいたり、そういった評価を、形にして本人に届けることが大切です。

社員とアルバイトの役割分担

———社員とアルバイトの役割分担について、どのように考えていますか?

「社員さんだから」「アルバイトだから」という立場で仕事を割り振るのではなく、人として対等に見て、役割分担をしています

「アルバイト」とか「正社員」とかというのは、雇用形態の名称にすぎませんから、正直、あまり気にしていません。実際、社内では「アルバイト」という単語自体、あまり出ません。

純粋に、やる気があって、いい提案、いい働きをしてくれる人は、本当に頼りにしていますし、そういう人にもっと大きな仕事を任せたいし、大きな裁量権を持って仕事をしてほしいと思っています。
もちろん、最終的な結果責任は社員である上長が最終的に負うことが前提ですから、失敗を恐れずにどんどん大きい仕事を担ってほしいです。

 

———どうしたら、CA Tech Kids の学生アルバイトのように、若くして優秀な人材に手伝ってもらうことができるのでしょうか?

 意欲的な人材が、思う存分能力を発揮できる環境を与えることではないでしょうか。

今の世の中は、一般的には、若い人に大きいな仕事は任せず、決められた分業体制の中にパーツとして組み込まれることが多いです。ましてや、学生アルバイトに大きな裁量権を与えてくれる企業はなかなかありません。その結果、やる気と能力があっても、それを出し切れていない学生さんがたくさんいます。

「若い人がチャレンジできる環境」は、あまり用意されていない。だからこそ、「若い人がチャレンジできる環境」を整えることは若くて意欲的な人材を集めることにつながるのではないかと思います

サイバーエージェントにやる気に溢れた人材が集まるのも、そういった環境が整っているからだと思います。例えば、内定者に会社を創らせたり、新卒で社長を任せたり、事業責任者を任せたりしています。実際、私自身も入社4年目に社長になっています。「若い人に大きな仕事を任せる」という文化が意欲的な人材を集め、優秀な人材を育てるのではないでしょうか。

 まず、意欲的な人材を採用し、彼らに裁量権を与えて仕事を任せ、経営目線を伝えながら、表彰やコミュニケーションで活性化し続ける。これは私がサイバーエージェントで学んだ人材活性のノウハウを、CA Tech Kids向けにカスタマイズしながら取り入れています。他の企業の方でも、取り入れやすいものではないでしょうか。

———上野社長、貴重なお話ありがとうございました!

本記事の作成者:黒田訓英

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