『サイバーエージェントのグループ会社社長インタビュー連載企画』
【第12弾】今回は、サイバーエージェントのグループ会社、株式会社ブックテーブルの篠田社長に、「1on1ミーティングで“メンバーの本気を引き出す方法”」についてお聞きしてきました!
株式会社ブックテーブル
代表取締役社長 篠田 俊英<経歴>
2005年にサイバーエージェントへ中途入社し、メディア事業本部で営業としてマネージャーを経験。その後、2009年からAmeba事業本部へ異動し、複数の事業・サービスの立ち上げに携わる。2013年、「読書のお時間です」の事業責任者に就任。翌年に「読書のお時間です」をサイバーエージェントの100%出資子会社にし、株式会社ブックテーブル代表取締役社長に就任。<企業情報>
株式会社ブックテーブル
https://www.booktable.co.jp/電子コミックサービス『読書のお時間です』
https://dokusho-ojikan.jp/
ブックテーブルはどんな会社か
———ブックテーブルとはどんな会社なのでしょうか?
弊社では「読書のお時間です」という電子コミックサービスを運営しています。
コミック冊数が国内最大級のサービスで、無料マンガも常時1,500冊以上あります。
話題の人気マンガから名作マンガ、先行配信マンガなど様々な作品を毎日提供しています。
ブックテーブルは、「1人でも多くの人にマンガを通じて元気を届ける」ことを目指しています。
マンガを読みながら湧き上がってくる元気には、何ものにも代えられない価値があると思います。
インターネットの普及によってますますマンガを多くの人に届けることが可能になった今、インターネットとマンガで1人でも多くの人に元気を与えていきたいです。
1on1ミーティングで「メンバーの本気を引き出す」
———メンバー一人一人が本気を出すためには、どうすればよいのでしょうか?
まずは、メンバーのことを理解することが大切です。
「どのような価値観を大切に生きているのか」「どのような考え方を持っているのか」を互いに理解し合わなければ、本気を出せる環境を整えることは難しいです。
ブックテーブルでは、メンバーのことを理解するために、
「1on1ミーティング」を実施しています。
———1on1ミーティングとは、どのようなミーティングでしょうか?
その名の通り1対1のミーティングで、1ヶ月に1回は全社員(30名程度)と1on1ミーティングの時間をとっています。
弊社では、社長である私と1対1の面談をしています。
このミーティングは、様々な企業で導入されています。
毎回の1on1ミーティングのお題は、通常のミーティングとは異なり決まっていません。
場所と時間だけ設定して、自由に話し合います。
仕事を中心とした話になることは多いですが、もちろん、仕事に限らず雑談もOKとしています。
「今進捗どうですか?」「だから次は〇〇しましょう!」のように、個々の仕事の進捗とそれに対する改善策を考えるようなミーティングではなく、
それぞれのメンバーが現状をどのように捉えていて、どう感じているのか、何をチャンスや課題に思っているのかなど、メンバーの率直な思いを言語化するミーティングです。
内省を促すやりとりで、相手を理解する
———1on1ミーティングを導入する時に、気を付けるポイントはありますか?
1on1ミーティングで最も大切なのは、本人の内省を促すやりとりを心がけることです。
なぜなら、内省し、自分と向き合っている状態だからこそ、無理をしているところや、ギャップを感じていることなどが率直に言葉になり、相手の理解を進めることができるからです。
そのために、大切なことは3つあります。
1つ目は、
私が話す時間はできるだけ少なくすることです。
話す内容は全てメンバーに任せて、それぞれが主導のコミュニケーションをとり、基本的にはメンバーが話している状態をつくれるのが理想です。
否定をするのはもちろんのこと、できるだけ、提案もしないことです。
「これしたら?」「こうした方がいいのでは?」という声かけはしないこと。
そうすることで自分と向き合い、内省を促しやすくなります。
2つ目は、
「ミーティングで話した内容は毎回メモすること」です。
メモすることで、メンバーの変化に気づくことができますし、
メンバーの考え方を理解した上でコミュニケーションをとることができます。
次回の面談時の話題にもなり、円滑なコミュニケーションを生みます。
3つ目は、
「必ず、毎月実施すること」です。
他の業務が忙しいからといって、ないがしろにして、不定期開催にならないようにしたいです。
毎月1on1があることは社員の安心感を生み、本音のコミュニケーションにつながります。
———メンバーの考え方や、バックグラウンドを理解する方法はありますか?
チームにジョインした時の最初の面談で、
「将来どうなりたいですか?」「どんな野望がありますか?」という長期的な軸を聞くことによって、相手の大切にしている価値観や思考性を理解するようにしています。
短期的な話ではなく、長期的な目標をベースに、その人のキャリアや生き方について話をすると良いと思います。
経営と現場の距離が離れたときこそ、1on1を習慣に
———導入するタイミングはいつがいいのでしょうか?
タイミングとしては、組織の規模に関わらず、チームとして対話量が足りていないのであれば、導入した方が良いと思います。
特に普段、現場との対話の機会が少なくなってしまう経営者やリーダーの立場にいる人は、意識的にコミュニケーションの機会をつくるためにも、導入してみてはいかがでしょうか。
メンバーが多くなるなどして、経営と現場の距離が離れるほど、1on1ミーティングは重要な役割を果たすと思います。
———他にも、組織づくりで意識していることはありますか?
「この人たちのためなら頑張れる!」と社員がお互いに思える関係をつくることです。
組織において1番怖いのは、相手のことが信頼できなくなって、疑心暗鬼になることです。
これは、組織だけではなく、人間関係全てにおいて言えることだと思います。
人は、信頼関係が1番大切です。
しかし、信頼関係を築くのは簡単なことではありません。
1人ひとりバックグラウンドが違うので、同じ事実に対しても違う捉え方をしますから、相手のことを本気で理解する努力をしないと、お互いにわかり合うのは難しいです。
さらに、一度不信感が深まってしまうと、溝が埋まらなくなってしまうという問題もあります。
ですから、まずは相手のことを知ることが必要です。
そのためにも、“対話の量を増やすこと”は大切です。
サイバーエージェントが「積極的に食事や飲みに行きましょう!」といって、飲み会の支援をしているのも、コミュニケーションの機会を増やすためだと言えます。
そうやって、対話の量を増やしていくと相手のことを少しずつ理解できるようになり、信頼につながります。
すると「この人のためなら頑張れる」という思いが湧いてきます。
そんな人達がいっぱいいたら、苦しい時にでも踏ん張れるすごく強い組織になります。
同じ言葉でも、信頼している人に言われるのと、そうでない人に言われるのでは、モチベーションが変わるはずですからね。
———篠田社長、貴重なお話ありがとうございました!
本記事の作成者:黒田訓英
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