生産性向上のヒント, 経営コラム, 経営者インタビュー

中小企業の経営を安定させる! BCCが行う4つの視点で見る戦略経営とは?

今回は、「小さな会社にも活用できるバランス・スコアカードの創り方」の著者でもあるBCC株式会社の伊藤社長に、バランススコアカードの活用法と、バランススコアカードの4つの視点における取り組みについてお聞きしてきました!

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BCC株式会社

代表取締役 伊藤 一彦

1974年大阪生まれ。大阪市立大学理学部卒業。

日本電気株式会社(NEC)に入社後、マーケティング会社を経て、2002年営業創造株式会社を設立。2012年スマイル・プラス株式会社と資本提携。2014年営業創造株式会社とスマイル・プラス株式会社を事業会社とする持株会社体制に移行。2016年グループ全社を合併し、BCC株式会社を発足。

BCC株式会社Webサイトhttps://www.e-bcc.jp/index.html

 

BCC株式会社はどんな会社か

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———BCC株式会社とはどんな会社なのでしょうか?

弊社の展開する事業は大きく2つあります。「IT営業アウトソーシング事業」と「介護レクリエーション事業」です。

「ITアウトソーシング事業」は、2002年から15年間継続してやらせていただいている当社の創業の事業です。大手企業約50社のITの営業支援をしています。弊社の社員が大手企業さんのところに行き、営業のサポートをします。SEやプログラマーさんの派遣の会社は数多くありますが、ITの営業の会社は弊社のみということもあり、反響をいただいています。

「介護レクリエーション事業」は5年前にスタートしました。介護現場というと、入浴や排泄の介護のイメージがあると思いますが、実は、利用者の方は何にもしてない時間の方が長い。しかし、何もしないとどんどん老化してしまいます。そこで、レクリエーションが必要なのです。水彩画のような「大人の塗り絵」など、ご高齢者の方に楽しんでいただけるレクリエーションの提供サポートをしています。

3年目には、レクリエーション介護士という民間資格をつくり、資格制度の運用を開始しました。現在までの2年間で2万人を超える方々が資格制度を取ってくれています。創業から15年が経ち、社員は130名を超え、現在は東京・大阪・名古屋で展開しています。

———なぜ、介護レクリエーション事業を始めたのですか?

私の祖父が創立の記念日の前日に亡くなり、デイサービスを利用していた祖父の言葉を思い出しました。「楽しいレクリエーションがない」という言葉です。

また、祖父が利用していたデイサービスの人と話をしたこともありましたし、現場の人たちの大変さも感じていました。介護の現場では、入浴・排泄・食事の介護、さらにはレクリエーションも…。全部やらなくてはならない。せめてレクリエーションのところだけでもうちの会社がサポートすることができればと思い、介護レクリエーション事業を始めました。

———利益よりも社会貢献を重視して意思決定をしているのでしょうか?

いいえ、そういうわけではありません。新規事業を作る前に、バランススコアカードのステップに沿って、戦略マップと簡単なスコアカードを作ってから意思決定をしています。会社の重要な役割の1つは、「続いている」ということです。

社会にも役に立つし、ビジネスとしても成り立つ必要があります。自分たちのビジネスモデルが成功する理由を理論的に説明できるか。そのためにバランススコアカードが役に立ちますし、弊社では今でも経営の指針になっています。

中小企業にこそ力を発揮する!バランススコアカードの効果を最大化するには

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————バランススコアカードとはどういったものでしょうか?

バランススコアカードは、戦略経営のためのマネジメントシステムです。

ビジョンと戦略を明確にすることで、財務数値に表される業績だけではなく、税務以外の経営状況や経営品質から経営を評価し、バランスのとれた業績の評価を行うための手法です。「財務」「顧客」「業務プロセス」「人材と変革」の4つの視点から戦略を立てることがキーになっています。

どうしても会社の意思決定はどこかの視点に偏りがちです例えば、財務に偏る会社が多い。それでは、売り上げや利益を考えるあまり、他に目が行き届かなくなってしまいます。財務の視点(ベンチャーキャピタルや外部の株主さんの視点)で考えると、弊社がどれだけ利益が出せるのかが大事です。

そこで、利益を出そうと思ったら、社員の給料を下げれば簡単に利益がでます。社員の10%給料をさげれば、そのぶん利益を上げることができます。でも、そうすると社員は会社を辞めてしまう。それでは会社にとってプラスにはなりません。財務の視点と人材の視点のバランスを保つことも大切なのです。

顧客の視点と財務の視点も一緒で、顧客の視点で考えると、顧客の満足度をあげようと思ったら商品の値段を下げればいい。今まで1万円でできたことが五千円でできたら、みんな喜びます。でも、それを続けていては利益が減ってしまいます。4つの視点のバランスを保って経営戦略を考え、意思決定をすることが大切です。

———中小企業がバランススコアカードを使って効果を最大化する秘訣は?

バランススコアカードをつくる最初のステップ(戦略マップの作成)から、できる限り現場のメンバーを巻き込んで一緒になって作ることです。

「うちの会社の強みを書いてください」といったら、みんなが意見を出せる状況を整えます。声を出しやすいように、付箋・ポストイットなどを活用してもよいでしょう。そして、現場のみんなの意見をなるべく吸い上げて戦略マップを作るのです。

そうすると現場のみんなも、「私たちの意見で会社の方向性・戦略できたのだ」という一体感をもつことができます。「自分たちで決めたのだから、ちゃんとやろう」という気持ちになります。

何万人もの従業員がいる大企業だと、現場の人の意見を吸い上げるのは難しいですが、中小企業なら、従業員の意見を吸い上げて、みんなで親身になって作れます。組織が大きくなったら、キーマンだけでもいい。従業員が一体感を持って業務に取り組めるようになるポイントです。

バランススコアカードは意思決定の指標となる

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———意思決定をする際に心がけていることはありますか?

経営者は常に迅速な意思決定が求められます。私自身、意思決定に迷うこともありました。何を拠り所に判断すれば良いかわかりませんでした。経営者として意思決定をするときの考え方のベースが欲しかったのです。意思決定の際にも、バランススコアカードが役に立ちました。

「財務」=株主さんからの視点

「人材」=従業員の皆様からの視点

「顧客」=お客様からの視点

「業務プロセス」=仕入先さんからの視点

現在は、この4つのそれぞれの視点を持って意思決定をしています。ステークホルダーみんなの視点で考えるということは大切です。しかし、「みんなの視点」と言われても、どう考えていいか分かりにくい。バランススコアカードによって4つの視点に明確に分けると考えやすくなります。

バランススコアカードの4つの視点の取り組みとは

財務の視点

———特に注目している経営指標はありますか?KPIについてもお聞かせください。

一番大事なKPIは利益の絶対額。当期純利益の金額です。上場するビジョンがあるためです。それを達成するために大切にしているのは、労働分配率(一人当たりどれだけの粗利を稼いでいるか)です。

—労働分配率を上げるために取り組んでいることはありますか?

社員研修をして社員の価値を上げることです。社員の価値が上がると、お客様からの単価があがる。すると、労働分配率も上がってきます。また、労働分配率が上がるということは、社員の価値が上がるということ社員の価値が上がるということは、BBCの価値が上がるということ労働分配率を上げることは、BCCの価値を上げることにもつながるのです。

顧客の視点

———顧客にファンになってもらうためのポイントはなんでしょうか?

買いたいと思っているお客様にどうやって知ってもらうか、そして、ブレない姿勢を伝え続けられるかです。「介護レクリエーション事業」でベースとなる最初の顧客を集めているのが、介護レク広場というWEBサイトです。塗り絵や計算問題など、介護現場のレクリエーションで使える素材を全て無料で使えます。素材は約5000点。プロのデザイナーが描いたものなので、クオリティーが非常に高いです。約7万人の方に使っていただいています。

介護レク広場では、お金に執着せずに最大限の価値を提供したことが、ファン獲得に繋がりました。介護レク広場でアンケートとると、最後のコメントのところにもびっしり書いてくれています。「いつもありがとうございます」という言葉を多くいただけるのは本当に嬉しいものです。これは、お客様がファンになってくれている証でもあり、同時に、介護レク広場というブランドが出来上がっている証でもあります。

———ブランディングにおいて大切なことは何でしょうか?

ブレない姿勢です。例えば弊社は「介護現場で働いている人たちを支える」とずっと言い続けて実行しています。決めたら決めたことを続けること。ブレてはいけません。ブレない姿勢が、お客様を安心させ、ファン獲得につながります。

介護レク広場も、一部有料課金にしたらどうかと言われたこともありますが、決して有料にはしませんでした。なぜなら、企業からはお金はもらうけれど、現場からはもらわないと決意してスタートしたのだから、ブレずにやり続けることが、お客様にファンになっていただく上で大切だと考えているからです。

業務プロセスの視点

———業務の効率化について取り組まれていることはありますか?

私は、無駄なことも大切だと考えています。何が何でも効率化することがよいとは思っていません。「やってみてダメだったらやらない」のはいいですが、やるまえから無駄と決めつけるのはどうかと思います。先に経験したことがある人にとっては無駄だと分かっていることであっても、経験していない人にとっては大事なステップだと考えています。

言葉で伝えて無駄だと分かるのと、経験して無駄だと分かるのとでは、大きな差があります。それに、無駄の中に答えがあったりする。特に、人と直に対面するサービス業では、プラスアルファの無駄が大切なときもあるのではないでしょうか。

もちろん、労働時間短縮はやっています。残業時間の短縮、月40時間の残業が2ヶ月続かないようにしたり。年間125日の休みにしたり。2日働いて1日休みの計算ですね。さすがに休みすぎでしょうか。

———時間短縮をやられているということですが、時間短縮をするためには生産性を高める必要があると思います。どのようにして生産性を高めているのでしょうか?

IT化ですね。グループウェアを活用して、スマホでも仕事ができる状態をつくっています。承認決済もスマホでできますし、出張の時にパソコンも持ち運ばずに仕事ができます。スマホで意思決定もできるし判断もできる。IT化は徹底しています。

人材と変革の視点

———社員のモチベーションを上げるための取り組みはされていますか?

他者を賞賛する文化を創り出しています。「頑張っても誰も見てくれない」ではモチベーションは上がりませんよね。小さなことでも気づき、褒める習慣を上司が率先して作っています。

また、直属の上司だけでなく、他の部署の人も見て評価する「MVP制度」や「BCCクオリティー」と呼ばれる社員で決めた目標に基づいた人事評価など、頑張った人が認められ、評価される仕組みを作ることで、社員のモチベーションを高めています。

———伊藤社長、貴重なお話ありがとうございました!

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