ただ、営業活動を改善しようとしても、何がボトルネックになっているのかを理解して対応しないと徒労に終わることが多いです。営業には、6つのステップがあり、各ステップにおいて適切な手法を用いなければ、営業効率をあげることができません。本記事では営業の中でも特にヒアリング能力について説明します。
SPIN話法とは
現代の営業活動においては、見込み客を営業担当自身が集めるのではなく、マーケティングによって見込み顧客集めて購入意欲を高めることが多いです。よって営業担当も、ある程度購入意欲が高い見込み顧客に対して営業をすることができます。
ただし、購入意欲が高いからといって、侮ってはいけません。特に営業の出だしでつまずいてしまえば、そこから挽回するのは困難です。営業はお客様と交渉するためにいます。極端に考えれば、営業担当がお客様と交渉する必要が無いなら通販のような仕組みで商品を販売し、その分価格を安くした方が業績はあがるはずです。
営業が行う交渉とは、お客様の要望を聞き、自社の条件を出してすり合わせ、商談を成約させることです。よって、交渉の第一段階としてお客様の要望をきちんと聞く、あるいはお客様に自社、自分が何を望んでいるのかを気づかせるヒアリングが必要になります。
このヒアリングの際に、使える手法がSPIN話法という手法です。SPIN話法はただお客様の要望を聞き取るだけではなく、顧客に自社の問題について気づかせることによって、商談の温度感を高めることにもつなげる手法です。
SPINの詳述
では、SPIN話法がどのようなヒアリング手法なのかについて説明します。
SPIN話法のSPINとはS=Situation Questions(状況質問)、P=Problem Questions(問題質問)、I=Implication Questions(示唆質問)、N=Need Payoff Questions(解決質問)という4つの質問の頭文字のことを指します。この4つの質問を上手に使用することによって、顧客の要望を聞きながら、自然と顧客の商談に対する温度感を高めることができます。
では、4つの質問について個別に解説します。
S:状況質問(Situation Questions)
状況質問とは、顧客の状況を営業担当が把握するための質問です。一般的な営業の流れとして、ヒアリングはお客様の状況を把握して、自社からの提案を考えるための根拠を得るために行います。つまり、SPIN話法はヒアリングの手法ですが、一般的なヒアリングとして行われるのは「S=状況質問」の部分だけで、「P」「I」「N」はヒアリングというよりも、営業が顧客の温度感を高めるために行う質問です。
ポイントは、きちんと仮説を持って質問することです。問題質問以降は、顧客が持っている課題についてある程度予想できていないと効果的な質問をすることはできません。
P:問題質問(Problem Questions)
状況質問の次は問題質問を行います。問題質問とは顧客が抱えるニーズを引き出す質問のことです。正確に説明するならばニーズを引き出すというよりも、状況質問から予想した顧客のニーズに対する答え合わせをするのに近いステップです。顧客は既に問題に気付いている場合もありますし、まだ問題に気付いていないケースもあります。いずれにしても、営業担当が状況質問から問題質問で、顧客のニーズを当てると、ヒアリングをしているように見えても、商談の主導権を営業側に引き寄せやすくなります。
I:示唆質問(Implication Questions)
示唆質問とは、問題質問で顧客が認識した問題の重要性を顧客自身に気づいてもらうステップのことを指します。顧客は問題質問をされるまで、問題に気付いていないというケースもありますが、問題には気づいているけれどもその重要性に気づいていないというケースもあります。
重要性に気づいてもらうために、質問の形式を取りながら、相手に問題が引き起こす可能性について説明するのが示唆質問です。示唆質問で相手に問題の重要性に気づいてもらうことによって、商談の優先順位が高くなり、成約の可能性が高くなる効果が期待できます。
また、ポイントとして、示唆質問の目的は相手に問題の重要性に気づいてもらうことであって、重要性を説明することではありません。相手に重要性に気づいてもらえなければ、いくら丁寧に問題の重要性を説明しても仕方ないのです。
N:解決質問(Need Payoff Questions)
解決質問とはすなわち、問題を解決するとどのような利益があるのかを顧客に質問することを指します。通常の営業の場合、営業担当が問題を解決するとどのような利益が発生するのかを説明しますが、それだと顧客側に問題を解決しようという積極性が生まれにくいです。
相手に問題を解決しようという気をおこさせるためには、営業が説明するのではなく、相手に主体的に問題を解決した状態をイメージしてもらう必要があります。
全体を通じ、通常営業が自分から説明することを、あえて顧客に考えて答えをだしてもらうことによって営業の成約率を高めるのがSPIN話法です。そのためにも、質問という形式で会話をするのです。
SPIN話法の具体例
では、SPIN話法を使ってヒアリングをする場合どのようになるのか、具体的なケースを設定して、SPIN話法を活用してみます。以下、営業マンの管理に悩む経営者と営業管理ツールの導入をサポートする営業の会話です。
—-状況質問—-
営業:「御社では、どの位の営業所で何人の営業の方が働いていますか?」
経営者:「3営業所で合計12人の営業が働いています。うちは1営業所あたりでカバーする範囲が広いのでみんな頑張って出張してくれています。」
営業:「大変そうですね。ちなみに営業の方の営業結果ってどのように管理していますか?」
経営者:「各営業に毎日営業日報を書いてもらって、各支社長に提出。支社長から私に報告が来るようにしています。」
—-問題質問—-
営業:「ということは営業の方は、日報を毎日書きに会社に戻っているということですね。あるいは出張が続くと日報が遅れることもあるということですね。」
経営者:「そうですね、確かに日報を書くために、みんな会社に帰ってくるので、たしかに退社時間は遅くなりがちですね。おっしゃるとおり、出張が続くと日報が遅れるので、現状把握も遅くなることもあります。」
—-示唆質問—-
営業:「それだと営業の人は基本的に残業になりませんか?残業代が余分にかかったり、営業の人の離職が高くなったりしていませんか?」
経営者:「残業代はきちんと払っているので、離職率はそれほどでもないと思いますが、たしかに残業代は余分にかかってしまっていますね。仕方ないとは思っていますが」
—-解決質問—-
営業:「もし、日報がスマホから送信出来るようになって直行直帰が可能になったら状況は良くなりますか。」
経営者:「そうですね。やはり早く帰りたいという社員もいるでしょうし、今までどおり報告があがって残業代だけ削減できるのであれば経営上も非常にメリットがありますね。」
もちろん、例文なので実際の会話よりもコンパクトですし、これほど上手く会話が進むとも言い切れません。ただし、例文から感じ取っていただきたいのが、質問をしているように見えて実は営業をしている営業側の話の誘導の仕方です。状況質問の段階で営業の問題点に当たりをつければ、問題質問以降は実はヒアリングのように見えて営業をしています。
まとめ
以上のように営業におけるSPIN話法について説明してきました。
今回は営業活動におけるヒアリングのポイントでしたが、ヒアリングした情報を含めて営業状況は社内できちんと共有した方が良いです。弊社が開発したALL-INは営業、マーケティング、経理などさまざまなシステムがオールインワンパッケージになっており、経営者の方も会社の状態を素早く判断できるように開発されたツールです。営業活動を効率化したい経営者の方はぜひご相談ください。
「ALL-IN」概要資料
生産性をあげる極意 無料小冊子プレゼント!
Facebookページにぜひ「いいね」をお願いします!
「いいね!」を押すと「経営をアップグレードしよう!」の最新コンテンツが受け取れます