本記事では営業の6ステップのうち、リードナーチャリングについて説明します。現代の営業活動にはセールス部門だけではなく、マーケティング部門も関わりますが、リードナーチャリングのステップはセールスとマーケティングの仕事のちょうど中間にあたる部分です。また、マーケティングオートメーションツールの開発など、近年特に進歩が著しいステップでもあります。本記事ではリードナーチャリングについて、どのような概念なのか、なぜ必要なのか、どうすれば良いのかについて説明します。
リードナーチャリングとは?
まずは、リードナーチャリングについて説明します。
本記事は「営業活動の効率をアップさせる6ステップとは」シリーズの3記事目に当たりますが、全体像編で営業活動は6ステップに分解できることを説明しました。そのうち、前2つの段階、リードジェネレーション、リードナーチャリングはマーケティング部門が中心になって行う活動です。
リードジェネレーションのステップで見込み顧客を獲得しますが、見込み顧客と一口に言っても、それぞれの顧客の状態は異なります。既に色々な商品やサービスを比較検討して自社の商品を購入する意欲が強い見込み顧客もいれば、ただWEBサイトに訪問したり、資料を請求したりしただけの見込み顧客も存在します。
これらの見込み顧客を一様に扱うのは困難です。購買プロセスが進んでいない見込み顧客にいちいち営業するのは非効率ですし、逆に担当の営業がついて商品やサービスを購入してくれる見込み顧客をいつまでもマーケティングだけでフォローしていると、他の企業に案件を取られる可能性もあります。
そのため、リードナーチャリングという概念が必要になるのです。リードナーチャリングとは、リードジェネレーションで得た見込み顧客の購買意欲を高めて、営業がフォローする一歩手前まで持っていくステップのことを指します。
逆に考えれば、3ステップは営業が行わなければなりません。特にBtoB系の営業の場合は、リードナーチャリングのステップまでは営業がフォローできても、その後の顧客毎の要件定義、提案、値段交渉、クロージングなど、マーケティングではできない工程が含まれています。
リードナーチャリングは営業において重要なステップですが、マーケティングだけですべてが上手くいくわけではありません。
なぜリードナーチャリングが必要なのか
そもそも、なぜリードナーチャリングというステップが必要なのでしょうか。実はリードナーチャリングにぴったりと相当する日本語のマーケティング用語はありません。リードナーチャリングという概念が誕生したのはつい最近のことです。
見込み顧客を集めて購入意欲を集めるという行為は、従来営業部門によって行われていました。営業が足しげくお客様のもとに訪問し丁寧に説明することによって信頼を勝ち取る、注文を獲得するというエピソードは、今もなお営業の美談として語られることがあります。確かにこの手法でもまだ見込み顧客を開拓することが可能ですが、このような営業で成果をあげるのはどんどん困難になってきています。
インターネットの発達によって、顧客が自から情報を取得できる時代になったため、営業からの情報に顧客があまり価値を感じなくなってきています。ほとんどの商品やサービスがコモディティ化している現代において、昔のように手厚く営業がフォローしていると割に合わない案件も多いのです。
よって、リードナーチャリングのステップは営業が1社1社を綿密にフォローするというよりも、マーケティングが効率よくフォローするべきだと考えられるようになったのです。
リードナーチャリングを営業からマーケティングの仕事にすることにはいくつかのメリットがあります。
先ほど説明した通り、営業がフォローしないのでコストがかからないのはもちろんのこと、顧客にとっても営業されるストレスはありません。しつこい営業はかえって顧客の印象を悪くすることも多いので、マーケティングによって適度な距離感でフォローすることによって、顧客のストレスは少なくなり、成約もしやすくなるというメリットがあります。
リードナーチャリングを進める4つのステップ
では、リードナーチャリングを進めるためにはどうすれば良いのか、リードナーチャリングのための4つのステップについて説明します。
購買プロセスの分析
まずは、購買プロセスを分析します。優れた営業は、感覚的に顧客の濃い薄いを見分けられるかもしれませんが、それは属人的な要素です。リードナーチャリングを行う際には何をもって濃い顧客か薄い顧客か判別するのかを定量的に示す必要があります。
例えば、ただWebサイトで資料を請求した顧客と、自社が主催するセミナーにわざわざ参加してくれた顧客では、セミナーに参加してくれた顧客の方がより意欲が高いと考えられます。
このように、まず顧客の購買プロセスはどのようになっているのかを分析する必要があります。購買意欲の低いユーザーは何をして、意欲が高くなるとどのような行動をするのか、購買に至るプロセスを分析してください。
できれば、このようなユーザーの行動をポイント制にして、資料を請求すると何ポイント、セミナーに参加すると何ポイント、展示会で名刺交換すると何ポイント、合計何ポイント貯まると、セールスが個別にフォローしていくというようにルールを決める必要があります。
見込み客データの集計
次に行うことが見込み客のデータの集計です。見込み顧客には購買ステップの進行状況とは別に開拓の優先順位があります。例えば、事業規模が小さい零細企業と規模の大きい大企業では商品の購入に使える予算が違いますし、業界によって成約しやすい業界とそうではない業界もあるかもしれません。
購買プロセスのどの段階にいるかとは別に、どの顧客を優先して開拓すべきか、どの業界、どの規模の会社に、どのような施策を行うべきなのかもきちんと分析する必要があります。
見込み客のデータは意識しなければ集めることができませんが、多くの会社はこのデータ集計をきちんと行えていません。日頃から意識してデータ収集を行ってください。
ランク分け
購買プロセスの分析、見込み客のデータ集計が終われば、顧客のランク分けを行います。主観的にランク分けをすると一度に大量の顧客を取り扱えないので、購買プロセスの分析で説明した通り、ポイント制にして定量的に顧客のランクを決めるのが良いでしょう。
もちろん、初期に作成した顧客ランクのルールは、大抵の場合精度が甘いです。営業の反応を見ながらランク分けのルールをブラッシュアップしてください。
ランク別アプローチ
ユーザーのランク分けができれば、ランク別アプローチをしてください。資料請求しただけの見込み顧客にいきなり営業が訪問したのでは、お客様は躊躇してしまいます。一方で、セミナーに参加してもらったあとに個別の相談をしませんかと営業のアポを取る場合は、顧客はイエスと言いやすいものです。
このように、顧客のランクによってとるべきアプローチの方法は異なります。顧客のランク分けを行うのと同時に、各ランクの顧客に対するアプローチ方法も考えてください。
まとめ
以上のようにリードナーチャリングについて説明してきました。リードナーチャリングは見込み客の育成を定量的に行う手法ですが、営業に限らず不確定なことの多いVUCA時代において、定量的に意思決定、施策を実行することは非常に重要です。
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