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『サイバーエージェント流!経営のポイント』 【第11弾】マッチングエージェント合田社長が考える 「 “成功する事業”と“失敗する事業”の違い」とは?

『サイバーエージェントのグループ会社社長インタビュー連載企画』
【第11弾】
今回は、サイバーエージェントのグループ会社、株式会社マッチングエージェント合田社長に、「 “成功する事業”と“失敗する事業”の違い」と「ポジショニングを考え、レッドオーシャンで勝つ方法」についてお聞きしてきました!

 

株式会社マッチングエージェント
代表取締役社長 合田 武広

<経歴>
2011年 大学院在学中に、国内外のアプリ開発ビジネスコンテスト優勝。
サイバーエージェントの内定者でありながら株式会社フェイスマッチを設立し、大学院を中退。

2012年 サイバーエージェントの子会社となり、マッチングサービス「Pitapat」をリリース。
公開3日で10万ダウンロードを記録したが、収益化に苦戦しサービスをクローズ。
その後、実名性Q&Aサービス「Qixil(キクシル)」を立ち上げる。

2013年 株式会社マッチングエージェントを設立、代表取締役社長に就任。
会員数は約400万人、累計マッチング数は1億組を誇るマッチングサービス「タップル誕生」を運営。

<企業情報>
株式会社 マッチングエージェント
https://www.matchingagent.co.jp/

すぐに恋人を探せる恋活・婚活マッチングアプリ「タップル

 

マッチングエージェントはどんな会社か

———マッチングエージェントとはどんな会社なのでしょうか?

タップル誕生という、趣味でつながる恋活サービスを提供しています。
20代の方々を中心として、男女問わず利用していただいています。

恋愛目的のマッチングサービスですが、“婚活”のように重いものではなく、
まずは、気軽に人と出会い、付き合うまでをサポートしています。
「安心して人と人がつながれる世界を創る」ことを目指します。

2度の事業のクローズを経験しても、挑戦し続けた理由

———2度の事業のクローズを経験しても、挑戦を続けられたのはなぜでしょう?

挑戦し続けている理由はシンプルで、「好きだから」です。

私は、「誰も実現したことないことに挑戦すること」にワクワクするので、
単純に、「好きだからやり続けている」という、自然なことです。

また、人との出会いは、人生を変えることもあるほど重要なことなのに、
人との出会いについて、わからないことが多いですし、
何万年と人類が進歩してきているのに、「恋愛には答えがない。」ということがすごく不思議で、そういったところに面白さを感じています。

もちろん、「悔しかったから」というのも、もう一つの理由です。
私がマッチングに目を付けたのは、「Pairs」や「Omiai」など、他のマッチングサービスの芽が出る前であったのに、
それらのプロダクトで負けていると思ったこともなかったのに、負けたのが悔しかった。

プロダクトは良くても、マーケティングやビジネスの設計で負けました。
ですから、経験した失敗を活かして、ビジネスの設計をしっかりと考え、もう一度挑戦したら勝てるのではないかという思いがありました。

 “失敗”は、失敗と捉えるから、失敗になるのかもしれません。
失敗は、前に進むための経験にすぎない
私は、負けた経験を生かして挑戦をしたかったのです。

”成功する事業”と”失敗する事業”の違いとは?

———クローズした事業と「タップル誕生」を比較して、

成功する事業と失敗する事業は何が違うのでしょうか?

 ビジネス設計の部分での差が大きいです。

最初は、「いいものを作れば、勝手に流行る」と思い込んでいましたが、それはただの妄想にすぎませんでした。
明確な根拠をもってビジネス設計をして、その結果をデータとして蓄積させ、改善のサイクルを回していくことが重要です。

クローズしたマッチング事業を運営していたときは、目標となる数値の設定も根拠が明確ではありませんでした。
事業をクローズさせた時の私は、経営者というより、サービスを作るプランナーに近かったかもしれません。

———ビジネスの設計をするときのポイントはありますか?

ポイントは2つあります。

1つ目は、「その市場が、今後伸びるか」です。
市場が伸びてれば、自然と事業も伸びていきますので、非常に重要です。

2つ目は、「グロースモデルをつくる」ことです。
「事業をどうやって伸ばしていくか」の戦略を立て、数字に落とし込むことが大切です。
「今設定しているLTV(ライフタイムバリュー)の目標数値」がなぜその数値になっているのか、明確な根拠をもって答えられるかということです。

例えば、
「広告を活用してユーザーを増やしていく」という側面から、
LTVをどのように設定するのか?を考えるとします。

「広告でユーザーを増やすには、〇〇円の費用がかかる」という状況ですと、
1人あたり〇〇円以上の費用をユーザーに払ってもらわなければ事業として成り立ちません。
ですから、目標となるLTVは〇〇円より多くなるように設定しなければなりません。

当たり前の事のようにも聞こえますが、これをLTV以外のすべての数値において実行するのは、難しいことです。

事業によっても設計は変わってくると思いますが、
グロースモデルを創るには、細分化された経営指標の数値目標を、1つ1つ根拠立てて決めていくことが大切です。

———グロースモデルをつくる上で、LTVや単価以外にも着目されている点はありますか?

「自分たちが、ユーザー(世の中)に、どのような価値を与えられているのか」を明確にした上で、グロースモデルを設計することです。

単価やLTVなど、様々な指標となる数値に目を向けるのは、ビジネスとして成立させる上で、もちろん大切なことですが、それは、目的を達成するための手段に過ぎません。
そもそも「その数値を見る目的は何なのか?」をしっかりと認識するべきです。

価値を提供できてないのに、LTVや単価など、小手先の数値ばかりに目を向けていては、本末転倒です。目的と手段が逆転しないように注意したいですね。

「ポジショニング」を考え、レッドオーシャンで勝つ方法

———レッドオーシャンを勝ち抜くためのポイントはありますか?

「ポジショニング」と「タイミング」です。
これは、レッドオーシャンに限ったことではなく、ビジネスを創る上で大切な考え方です。

例えば、「タップル誕生」も、
サービスを出したタイミングでは、マッチング業界で、そのポジションが空いていたから、今勝ち抜けています。仮に、今「タップル」と同じようなコンセプトのマッチングアプリを出しても流行りません。
その業界で、空いているポジションを見つけて、1番最初にポジショニングを取ることが重要です。

例えば、マッチング業界で「Pairs」が伸びていた時、
多くの企業が同じように、facebook連携のマッチングアプリを開発していました。
しかし、結局、「Facebookだから安心」というポジションで勝ったのは、最初にポジションをとった「Pairs」でした。

一方で、「タップル誕生」は逆の方向性を突き詰めました。
「Facebookでなくても安心できる場所を創る」ことを目指しました。

「Facebookだから安心」という価値を押して広げていくということは、裏を返せば、Facebookを使ってない人を獲りこぼしているということ。
ですから、まだ、Facebookのことを知らない人や、使ったことがない人、Facebookを好んで使わない若者たちを対象にしてサービスを開発しました。

また、今までのようにじっくり検索で選ぶのではなく、もっと直感で選べる、趣味で繋がるマッチングサービスにしました。

そうやって独自のポジションを取り、他社とは違った価値を提供することで、事業を伸ばしやすい環境を生み出すことができます。

レッドオーシャンだと思われる業界も、様々な視点から分析してみると、空いているポジションがあることに気づきます。
どの業界にも実は空いているポジションがあるはず。
競争が激しいところで戦うのではなく、空いているところを見つけて、ポジショニングをとることで、勝てる確率は高まると思います。

———合田社長、貴重なお話ありがとうございました!

本記事の作成者:黒田訓英

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