経営者インタビュー

(前編)”あたらしい働き方の会社を作るために”ー本田直之が語る必要な10の要素

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これまでの常識を覆す、あたらしい働き方を取り入れている企業が増えている。しかも、そうした企業が優秀な人材から選ばれ、クリエイティブな成長を続けている。

そういった企業は、一体どんな取り組みをしているのだろうか。そんな疑問を持つ経営者のために、プレミアムセミナー『選ばれ続ける会社の経営者が考えるべき 本田流 –「あたらしい働き方」–』が、11月22日に開催された。

セミナーは二部構成。一部では、自身も上場を経験し、世界中の企業で役員や顧問としてトップを走り続けている本田直之氏を招き、これからの時代に選ばれ続ける会社の「あたらしい働き方」について伺った。本田氏は、あたらしい働き方を実践している日米の企業や組織17社を徹底取材し、著書『あたらしい働き方』を2013年に出版している。

本田氏は、働き方改革に励む経営者に何を語ったのか。今回はその内容をお伝えする。

お話を伺った方

人物紹介 : 本田直之氏 

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レバレッジコンサルティング株式会社 代表取締役

シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画。常務取締役としてJASDAQ上場に導く。現在は、日米のベンチャー企業への投資育成事業を行う。ユニオンゲートグループ取締役、Aloha Table取締役、エポック取締役、コーポレート・アドバイザーズ取締役、米国Global Vision Technology社取締役、東京レストランツファクトリー顧問、アスロニア顧問などを兼務。ハワイ、東京に拠点を構え、年の半分をハワイ、3ヶ月を日本、2ヶ月をヨーロッパ、1ヶ月をオセアニア・アジア等の国を旅しながら、仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送る。

これまで訪れた国は50ヶ国を超え、毎日のように三ツ星レストランから屋台までの食を極め、サーフィンやトライアスロンを楽しむ生活をしている。著書は累計250万部を突破し、韓国・台湾・中国で翻訳版も発売している。

 1.「仕事と遊びの垣根がない」本田直之の働き方

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司会- 第一部は「伸びる会社の、あたらしい働き方」ということで、本田さんの著書『あたらしい働き方』を元に、優秀な人材に選ばれる会社、また会社はどういう優秀な人材を選べばいいのか、というお話を本田さんに伺いたいと思います。

まず初めに、本田さんは何をやられている方なのでしょうか?

本田- よろしくお願いします。本田です。「何をやっている人なの?」とよく聞かれるのですが、職業は「その他」もしくは「旅人」だと思っています(笑)

本当に色々なことをやっているので、一個には絞れません。若手のシェフを集めたイベントプロデュース、飲食やファッションブランドの顧問、会計アウトソーシング会社のアドバイザーや、海外のアウトソーシング会社の役員、トライアスロンの会社も経営しています。

僕は24時間のうち、考えようによっては0時間、考えようによっては24時間仕事をしています。遊んでいるのか仕事しているのか、という意識があまりありません。今は仕事と遊びの垣根が全く無いので、楽しいことだけやるという感じです。

司会- 働き方についての様々な書籍を出されていますが、本田さんはどんな働き方をしてきたのでしょうか?

本田- 最初は当然自分に力がないので、楽しむというかは力をつけるために必死に勉強している、という気持ちが強かったです。

ただ、僕は計6年間会社員をやっていたのですが、会社に対する文句や愚痴を言ったことは一切ありませんでしたし、居酒屋で上司や給料の愚痴を言う人のことも全く理解できませんでした。なぜかというと、僕は自分のために働いていたからです。別に会社のためとか社長のためじゃない。自分に力をつける時期だと思って働いていたので、仕事が嫌だなと思ったことはありませんでした。

前提として経営者に向いている人は、自分のために働いているから、会社に対する文句はあまりないと思います。経営者で愚痴を言っている人は、経営者には向いていないのかなと思います。

2.「結局人は変わらない。」だから社員のモチベーションを上げても無駄

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司会- バックスグループを上場させたときがあったと思いますが、あの時の働き方はいかがですか?

本田- あの時は、今とは全く違って気合と根性で働いていました(笑)

何故かと言うと、売上が十数億しかない形もないベンチャー企業を上場させるなんて、強烈に改革しないと絶対無理だと思っていたからです。だから、人もシステムもビジネスも削り、社員の教育も作業も全て見ていました。1人で10人分くらい仕事していたと思います。

ただ、15年経つと働き方も変わりますから、今もし同じことをしたら問題になると思います(笑)

司会- そんな働き方を変えたきっかけはなんだったんですか?

本田- 一番大きかったのは、「人は変えられない」という学びです。僕は頑張ればハッピーになれると信じていたので、社員にも「お前らも頑張れよ、頑張ればハッピーになれるぞ」と力づけていました。でも結局、そうやってモチベーション上げても意味ないなと気が付きました。

司会- 衝撃的な一言ですね

本田- いや、本当に意味が無いです。人は変わらないから。自分の意志でやろうと思わない限りこっちはずっとガソリンを入れ続けなければいけないし、それは本人にとっても良くないことです。

そこで気がついたのが、結局本人がそうしたいと思うように、どうやって導いてあげるかというのが重要だということ。もしその人が、導いてあげたほうが幸せになるんだろうなと思ったら、本人が自分で変わりたいって思えるように導いてあげることしかできないな、と。

そうじゃない人には、いかに結果を出しやすい仕組みを作るかが重要です。例えば営業の子が、ゴリゴリやらなくても成約が取れる仕組み、むしろお客さんからあなたの会社の商品・サービスがほしい、と言ってもらえるような仕組みを作るのが、経営者の仕事だと思います。

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司会- 「自分の意思でやる」ことが重要なのですね。

本田- 楽しく仕事をするためにも、自分の意志でやることは重要です。

僕は大学で授業を持っているんですが、この間学生に、物事を「誰かにやらされている」と思ってやるのか、「自らの意志」でやるのかで大きな違いになる、ということを話しました。楽しくやりたいなら、自分の意志で考えて行動したほうがいいと思います。

ブラック企業だって、自分の意志で働いていればブラックでもなんでもありません。やらされていればブラックですけどね。やらされて、一生仕事をしていたら、そんなつまんない人生は無いと思います。

とは言え、経営者の立場から言うと、社員みんなが自分の意志で動く訳ではないので、働き方や労働時間を考えてあげなければいけない立場にあると思います。もしそうじゃなかったら、みんなとっとと独立して皆さんの会社にもういないです。だからこそ自分の会社にいてくれているんだというのに気が付かなければいけない。「自分の意志でやっていればブラックじゃないんだ」と経営者が言っちゃうと、それはまた間違っていると思います。

3.「経営者の器以上に会社は大きくならない」

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司会- 『あたらしい働き方』を出そうと思った理由を教えてください。

本田- 理由は三つあります。一つ目ですが、僕はライフワークバランスという言葉が嫌いなんですね。なぜかというと、ワークとライフのバランスを取らなきゃいけないのは、仕事がつまんないからじゃないですか。そうでない会社はどういう会社なのか、というのを自分も知りたかったし大きな組織でどうやっているのかというのを知りたかった。それをインタビューして本にまとめたいな、と。

二つ目です。この書籍を書き始めた頃にスマホなどのモバイルインターネットが普及していて、そりゃ働き方変わるでしょ、と思っていました。ではどう変わっていくのか、というのを含めて、世の中に出していきたいと思いました。

三つ目の理由ですが、学生と話していても、この本に出ている会社をみんな知らないんです。就職ランキングに出てこない、すごく良い会社や働き方をもっと知ってほしい、という意味も込めて、この本を書きました。

司会- 本田さんは『あたらしい働き方』の中で、「あたらしい会社選びの基準」として、①仕事 ②時間・場所・休日 ③給与・評価 ④会社・経営者 ⑤環境 ⑥カルチャーを、働き方の6つの要素としてご紹介されています。

この中で、どの働き方の要素を特に強化していくと、優秀な人材に選ばれる会社になるのか教えてください。

本田- これは、会社を選ぶ人はこういう基準まで見たほうが良い、という意味で、別に会社をこれに合わせて作る必要は全くありません。なぜかというと、経営者のタイプに合っていないことを無理してやっても意味がないからです。

例えば、すごく地味な人が、会社におもちゃを入れてパーティーやったら人が集まるんじゃないか、と実行しても、無理です。まずは経営者自身がどういう人間で、どういう人間になりたくて、どういう会社を作っていきたいかというのを明確にしないと、どこかの真似をしても長続きしないと思います。

まずはそこからですね。

司会- 経営者が経営のスタイルを確立することが重要なのですね 

本田- そうです。経営者が自分の向き不向きを分かっていない会社は、社員も迷走してしまうと思います。

自分のタイプに合ったことは何なのか知った上で、どのように良い会社にしなければいけないかを考える必要があるので、ただ他社の真似しようというのは無理だと思います。

司会- それが1つの大きなポイントですね。あと1つ言うとしたら、経営者は会社のどこを強化すべきでしょうか?

本田- 自分のレベルを上げることです。自分の器以上に、会社は大きくなりませんから。良い人材が採れないとか言ってたらだめだと思いますよ。経営者本人のレベルが低いから良い社員が来ないのであって、人のせいではありません。自分が変わらない限り上手くいかないし、取り繕っても上手くいきません。

4.「自分の意思で動ける人」しか、生き残れない

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司会- 次に選ばれる人材についての質問です。『あたらしい働き方』の中で、「選ばれる人材とは自由にレバレッジをかけられる人」と書かれていましたが、自由にレバレッジを掛けられる人材になるために、上げていくべきスキルはどのようなスキルでしょうか?

本田- 先程も言ったように、「自分の頭で考えられる人」でないと、あたらしい働き方の根底である「自由」を最大限活用できないと思います。

パタゴニアという会社は、良い波が来ていたら仕事中でもサーフィンに行っていいユニークな会社です。僕もこの会社のフィロソフィーが好きで、取材中「こんな最高の環境で仕事ができる社員はみんなハッピーですね」と言ったら、「そんなことない。セルフマネジメントができない人は、この会社でハッピーになれない」とおっしゃっていました。

結局自由というのは、それに対して自分で動き自ら目標設定するなど、自由を最大限にレバレッジをかけて、自分の能力を発揮できる人じゃないと活用できません。サボりなど、自由を悪用してしまいますから。一貫していることですが、自分の意志で動ける人じゃなきゃ生き残れない時代になっているんだなと思います。

司会- 次の質問です。本田さんは世界中でご活躍されていますが、日本は今後どのように働き方の変革に取り組むべきとお考えですか?海外から日本を見たときの視点を踏まえて、教えてください。

本田- 一律にこうすべき、とは言えませんが、ポイントは働き方を同じにしないことだと思います。

皆さんも社員を見ていて分かると思いますが、一生懸命働く社員もいれば、全然やらない人、その場の雰囲気で流される人もいます。ですから、やりたい人向けの働き方、そうでない人向けの働き方を、制度や給与、責任範囲を分けて作り、それを社員の意思で選んでもらうようにするべきだと思います。

特に、途中から働き方を変える場合は、人から変えないとだめですね。

司会- 最後の質問です。書籍の中で、「新しい働き方を作るために必要な10の要素」をご紹介されています。この中で一番、経営者が取り組むべきことを教えてください。

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本田- 絶対大事なのは、1番の「粗利が高いビジネス」です。粗利が高いビジネスでないと、余裕を持って社員を自由にさせられないからです。

本で紹介している会社は、すごく利益率が高いです。例えば、営業利益率2%の会社だと、一生懸命経費を削減しないと赤字になるので、そういう業態や業界だと難しいと思います。しかし営業利益率50%だと、どうにでもなるじゃないですか。バッファはいっぱいあるので、いろんな制度を作ったり、社員を自由にさせたり、投資したりできます。だから、まず経営者がやらなきゃいけないのは「いかに粗利が高い事業を考えるか」だと思います。

司会- ありがとうございました。

→次の記事へ(後編)浜口隆則と本田直之が考える「理想的な経営者」とは

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