一元化

「共有知識化」の基本

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共有が組織を効率化させる

アメリカの航空交通管制官を対象にある調査が行われました。ジョン・マシュー教授という権威ある経営学教授による実験で「組織の記憶」に関してある仮説を検証するものでした。調査では、各空港の管制官同士で「①飛行機着陸時に何を重視しているか」などの業務に関する基本認識の共有度合いと、「②どのメンバーがどういう役割を持っているのか」など、チームに関する基本認識の共有度合いを計測し、それらを空港の「業務効率性」「安全性」と比較しました。結果、チーム内共有度が高い管制塔では、「業務効率性」「安全性」共に高いことが判明しました。

企業についても同じことが言えます。多くの業務と社員、そしてコミュニケーションで成り立っている企業では、「共有」という活動はなくてはならないものです。経験や学習の結果得た「知」を共有することが、あらゆる視点での効率化のみならず、コスト削減、環境適応力の向上、企業の持続的競争優位にも繋がります。

共有知識化とは

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共有知識化とは「ノウハウを共有して、業務の効率化をしていく活動」です。組織内の知を管理する活動であるため、ナレッジマネジメントとも言われています。

多くの企業では、経営ビジョンや、そのための行動指針などが全社的に共有されていると思いますが、それも共有知識化の一つです。こうしてビジョンを共有知識化することで、経営者が変わっても、その思いは残り続けます。ここに共有知識化の真の価値があります。

知識と言っても、それが意味する範囲はとても広いです。どんなものを共有するべきなのか。そしてその共有の方法は、どうするべきか。大企業ほどリソースを持っていない、中小企業にとって、共有するべきもの、その方法を紹介します。

最も大切なリソースの一つである【知】

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「知とは何か」

これは哲学の議題にもなるほど奥が深いテーマです。様々なタイプの知を明確に分類し定義することは難しいため、ここでは組織内で共有するべき、「企業における知」を例と共に解説していきます。

1.情報的「知」

簡単に記録できるものとして、情報としての知があります。あなたは「情報」と聞いたときに何を思い浮かべますか?このタイプの知には、顧客情報、市場分析から得られた数値、販売実績などが挙げられます。

ある事業の既存顧客の情報が社内で共有されていれば、別の事業が開発した新商品のターゲットが既に自社の既存顧客であった、ということに気付き、顧客開拓が効率的になります。百貨店の外商の営業部では、お客さんの趣味や好きなこと、普段どんな生活を送っているかなどが、いつでも共有できるそうです。

2.業務に関する「知」

業務には多くの知が詰まっています。どういったプロセスで、何を目的に、何をしているか、それらは全て知に置き換えられます。

マニュアルがない企業はないのでしょうか。どの企業も、どんな形であれ、マニュアルを作っています。しかしすでにマニュアル化が完全とは限りません。社員が業務を行っている姿を観察してみてください。彼らが少し違ったプロセスや手順を踏んでいることに気づきませんか?そこに業務効率化のためのカギが眠っています。業務を行う上での「コツ」や「慣れ」も共有するべき立派な知の一つです。

3.個人に関する「知」

社員の強み弱み、どのようなスキルを持っていて、今までどんな経験をし、どんな人脈を持っているか。これらも組織内で共有するべき知です。

新しいプロジェクトを立ち上げる際、ある分野の専門家が必要となったとします。その時に、外部に頼るより社内の隠れ専門家に頼れるなら、それに勝るものはありません。

4.経験「知」

部署や個人が、成功や失敗を経験し、得た「学び」は個人の中に留められがちです。これらの学びも社内で共有するべき知です。

失敗という経験から得た、その原因や改善点などの学びを共有すれば、1か月後、1年後に似た業務をする社員が同じ失敗をする事を防げます。同じ失敗を繰り返し、業務効率が下がることはなくなるでしょう。

以上のように、様々な「知」が企業にはあります。もちろん全ての知を共有することは難しいですが、価値ある知が共有されずにどこかに置き去りにされている状況は、とてももったいないですよね。

知を【文書化・マニュアル化】により共有

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企業内には様々な知があることが分かりました。ではそれらをどのように共有していくか。これも様々な方法が多くの企業によって生み出されています。今後の記事では、最も基本的かつ、リソースが少ない企業でも実践できるマニュアル化である、文書化を紹介します。

文書化・マニュアル化というのは奥が深い作業であり、その方法やマニュアル化するポイントによっては、逆に業務効率が下がるものや劇的に業務成果を上げるものがあります。そしてその作成したマニュアルをどこに設置するかも重要となってきます。

終わりに

共有知識化とは何か、イメージがつくようになった思います。今後の記事では、共有知識化することで生まれるメリットや実行のための具体的な手順を紹介していきます。

→次の記事へ 2.「「共有知識化」に経営者が取り組むべき5つの理由―宝の持ち腐れをするべからず―」

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