「仕事は面白いもの」
常識をひっくり返すようなマネジメントを実践し、成長し続ける企業がある。その名は面白法人カヤック。「仕事は面白いものではない」この風潮をなくすため、仕事を面白がることに挑戦し続けている。さらに、2014年12月25日には東証マザーズにて上場を果たし、現在では240人もの社員を抱える企業にまで成長した。
一体どのように240人もの社員をマネジメントし、結果を出し続けているのだろうか。今回は、代表取締役CEOである柳澤澤大輔氏に「カヤック式マネジメント法」を語っていただいた。
人物紹介:柳澤大輔 面白法人カヤックCEO。1998年、学生時代の友人と共に同社を創業、2014年に東証マザーズ上場を果たす。鎌倉に本社を構え、鎌倉からオリジナリティのあるコンテンツをWebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信する。ユニークな人事制度(サイコロ給、スマイル給)や、ワークスタイル(旅する支社)を発信し、「面白法人」というキャッチコピーの名のもと新しい会社のスタイルに挑戦中。 |
目次
【前編】
1)面白い人を採用する方法
2)独特な企業文化を作り上げるには
【後編】
3)上場がもたらす企業の変化
4)240人をマネジメントするには
1)面白い人材採用する方法
-サイコロ給を中心に面白い人事制度で知られるカヤックでも、人材に関して結局は「採用が8割」であると述べられていました。採用について、特に重視するポイントを教えてください。
柳澤氏(以下、柳澤)-人材採用の際には、「仕事に対する価値観が揃っていること」を重視しています。一緒に働いていくうえで、メンバーが面白がって働いていることを理想としていて、その理想に共感してくれる人を採用するように心がけています。採用面接では「過去につくったものを教えてください」と訊いています。カヤックの採用する「プログラマー」「デザイナー」「ディレクター」であれば、その作品からどのくらいのスキルを持った人なのか、どのような感性の持ち主なのかがわかるからです。
また、異業種からの転職でも、ジャンルを問わず作ったものを見せてもらい、制作のプロセスや自身のポイントを聞いていくと、会話の端々から、その人の価値観や人間性が滲み出てきます。面接でやりとりをしていくなかで、本人の感性をみています。
もう一つのポイントとしては、「マイペースかどうか?」です。会社の問題を自分の問題として捉えるためには、このマイペースは重要です。カヤックは自律型組織を目指して活動をしています。
最後のポイントとしては、「素直な人かどうか」これが一番大切です。嫌いな奴とは仕事をしたくない。これは誰もが思うことです。カヤックには一人として嫌な奴がいない、いいやつばかり。その自信から、社員全員の写真をウェブで公開しています。その「いいやつ」の基準は、「素直かどうか」です。相手の足りない部分を指摘してくれたことを素直に受け入れられる人と仕事をするためにも、この「素直さ」は採用を判断する上で重視しています。
もちろん、人というのは変わっていく部分もあるので、あらかじめ100%価値観が合致しなければいけないというわけではありません。ただ、会社が大切だと考える価値基準と社員の価値基準がそろっていなければ、自分の努力が報われないという状況が起こりかねない。同じ価値観で仕事をやっていくためには、その価値観を見極める必要があります。
カヤックは、社員の約半数がエンジニアなのですが。カヤックでは技術力そのものよりも、技術力をどう面白いことに使うかを重視して採用をしています。
-これからはエンジニアを活用したいと考える企業が増え、ウェブクリエイターの需要は増えていくと思うのですが、良いエンジニアを採用するコツはありますか?
柳澤―まずは優秀なエンジニアを1名採用することですね。月並みですが、優秀なエンジニアがいる企業はそのエンジニアと一緒に働きたいと考える応募者が増加します。
また、優秀なエンジニアが経営陣に近い存在に立てることや、さらに経営陣のエンジニアに対する理解があることも重要となりますね。
別の角度からお話すると、採用と事業は密接に絡みあうため「長期戦略」は想像以上に重要です。長期戦略を組めば、自ずと求める人材が明確になっていきます。明確になれば、新卒と中途の比率を考えたり、採用を募集する広報方法も戦略を立てられます。カヤックが大きく伸びた時期を振り返れば、プロデューサー陣に「戦略の研修」を受けてもらった時でした。
-カヤックの採用チャネルを教えてください。
柳澤―HPや説明会などから面接に来る人が50%、もう50%は紹介会社や求人媒体などです。カヤックは良くも悪くもクセが強いと思われる会社なので、よく知っていただく前に食わず嫌いになられやすいことがネックですね。ほとんどの方にはメディアなどを通してカヤックを知って、「自分には合わない」と判断されてしまいがちですが、実際に紹介を受けてカヤック社員と直接話をしてみたら意外と働きやすく自分に合っていたというケースも多々あります。
優秀な人材にカヤックへの興味をもっていただくためにも、紹介会社には、カヤックについて正確に説明していただけるよう関係性を築くことが大切です。最近ではリファーラル採用を活用している企業がITベンチャーを中心に増えていますが、弊社でも「ぜんいん人事部」という制度で、社員からの紹介で全体の採用の25%以上を採用できており、一番ミスマッチが少なく、効果が高いです。
2)独特な企業文化を作り上げるには
―企業文化の形成と浸透は、多くの企業が挑戦している部分でもあると思います。現在、カヤックでは約240名の社員が働いていますが、そこにオリジナリティのある文化を醸成していくためには、どのような工夫をされていますか?
柳澤―1年に2回、文化共有や経営理念を確認するために全員でブレインストーミングを実施する「ぜんいん社長合宿」を実施しています。ブレインストーミングとは、どのような意見でも否定をせず、他人の意見に乗っかっていき、アイディアを生み出す方法です。簡単に言えば連想ゲーム。合宿でブレインストーミングをするお題は、毎回異なります。例えば、退職率の改善方法や、新規事業の立案など、その時期の旬な話題や課題について話し合います。はじめから質の良いアイディアを出そうとすると上手くいきません。そこで、意見をたくさん出し合うことに意識を集中させ、建設的なアイディアが出てくるような雰囲気をつくります。
ブレインストーミングの良い点は、人の話を真剣に聞くようになること。さらに、普段は話すことが得意でない人も、アイディアを発言できるので、関係性がフラットになりやすいことです。これを習慣化できれば、たくさんアイディアが出る企業文化が出来上がります。
-長く働いてもらうために、どんな工夫をしていますか?
柳澤-そもそもカヤックでは、会社を辞めることは悪いことではないという文化があります。社内で自分なりに工夫して成長していくことはできますが、新しい環境で頑張りたいと考える人に対して、退職を止めることは良いことではないと考えています。
とはいえ、カヤックの事業も拡大しているので、社内で様々な事業の経験を積むことができます。単に社員を縛り付けるのはよくありませんが、そういった経験ができることは、働く人にとってもプラスなのではないかと考えています。
―退職者を送り出すというのは、なかなか葛藤があるとおもうのですが、いかがでしょう?
もう20年近く経営者をしていますが、最初の頃は寂しい気持ちもありました。しかし、辞めたいと言っている人を無理やり引きとめたり、辞める人の影響を隠そうとすることは根本的な解決になりません。
だから「そういうものだ」と思うようにし、退職していく人に対してはオープンな態度で接するように意識しています。
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