「何のために“会議”ってするんだろう?」
僕がそのとき、最初に考えたのは「この問い」でした。
今回は、僕が“あること”をきっかけに「会議の在り方」
実践してきた方法を、具体的にお伝えします。
■【0】会議を再定義する ■
きっかけは、定例会議の進行を全面的に任されたことでした。
「次回から、会議の進め方は君に任せる。」
そう言われた僕は最初、とても戸惑いました。
「会議のやり方なんて、全然詳しくないぞ…?」
どうしようか…と悩んだのもつかの間、僕はすぐに思い直し、
この課題とゼロベースで向き合ってみることを決意しました。
まず最初に僕が考えたのは、次の問いでした。
「そもそも会議って、何のためにするんだろう?」
その問いに関する僕の答えは、
「仕事を“進める”ため」というもの。
そこからは、芋づる式に問いを考えていきました。
Q. 仕事を“進める”ためには何が必要?
→A. 具体的な“行動”を決めること
Q. “行動”はどうやったら決まる?
→A. たくさんの“アイデア出し”と“議論”が必要だ!
ここまで自問自答したところで、
僕が目指す会議の方向性が決まりました。
それは
「会議とは“行動”を決定する場である。」
というもの。
それに従って、僕は以下の2つを決めました。
1. 全ての会議は“行動”を決めるために行う
2. “情報共有”のための会議は開催しない
“情報共有の場”をなくして大丈夫…?
そんな声が聞こえて来そうですが、
「会議の最中に情報共有の時間をとらないこと」も、
実は大きなポイントなのです。
詳しい理由は、後ほど詳しくお伝えしますね。
また、“そういう場”は、
どんなに禁止しても次々と立ち上がってくるもの。
「根絶する」くらいの気持ちで取り組んでいて、
ちょうど良いのではないかと思います。
では「“行動”を決める会議」を実現するためには、
何が必要なのでしょうか?
僕はまず、「事前の準備」を設計しました。
■【1】事前の準備 ■
会議の場は「練習」ではなく「本番」です。
全員が限界まで頭をひねり、多くのアイデアを出し、
最も有効な行動を決定する場が「会議」なのです。
そういった場をつくるためには、
「事前の準備」が欠かせません。
僕が主催する会議では、
必ず事前に、以下の項目を決めます。
[事前に準備する項目]
A. 会議テーマの設定
B. 会議ゴールの設定
C. 事前資料の共有
D. 事前に考えて来ることの共有
E. タイムラインの設計
【A. 会議テーマの設定】
会議は必ず「1会議1テーマ」で行います。
テーマが複数ある場合は、その数だけ会議を設定しましょう。
このときには、テーマを「大きくしすぎない」ことが大切です。
不思議なもので人間は、テーマが大きすぎたり、
アイデアが浮かびづらくなってしまいます。
例えば「売上を上げる方法」というテーマだと、
アイデアが出て来ません。
もっと絞り込んで
売上を上げる方法
→◯◯という商品の売上を上げる方法
→◯◯という商品の露出先を増やす方法
→ …
というように、テーマは小さく設定しましょう。
【B. 会議ゴールの設定】
ゴールも明確に設定します。
「何を決める会議なのか?」を
きちんと定め、事前に参加者に共有しましょう。
そして、1つの会議をなるべく短く終えることを考えます。
1時間を越える長時間の会議は設定せず、
話す内容が無くなれば、予定時間まで余裕があっても
会議を終了します。
※3時間の会議などをする場合は、
1時間の会議×3などに分割してみてください。
【C. 事前資料の共有】
「会議に必要な資料」や「見ておいて欲しい情報」は
事前に共有します。
とにかく、会議中に「情報共有」の時間を
つくらないようにしましょう。
【D. 事前に考えて来ることの共有】
会議の場は「本番」です。
その場で出たアイデアが、参加者の頭を刺激し、
「1人では出せない結果」を生むことに、会議の意味があります。
ですから「その場に至ってから考え出す」のでは、
せっかくの会議の時間がもったいないのです。
あらかじめ「各自で考えられる限界」までは考えておいて、
それを吐き出すところから始めましょう。
【E. タイムラインの設計】
もうひとつ重要なのが「タイムライン」をつくることです。
会議全体の時間をどのように使うのか?を
あらかじめ設計しておきましょう。
例えば、以下のように設計します。
これは、私たちが朝に行っている会議のタイムラインです。
7:30~7:35(5分) 課題点の共有
7:35~7:40(5分) テーマの確認・背景の共有
7:40~8:10(30分)ブレスト・意見出し
8:10~8:25(15分)会議をまとめ始める
8:25~8:30(5分) 決まったことの確認
このような準備をした上で、
会議の当日に挑みます。
■【2】会議の本番 ■
実際の会議では、次のことを実践します。
[会議本番で実行すること]
A. 会議ルールを徹底する
B. ホワイトボードを使う
C. 会議の注意点
ひとつずつ、見ていきましょう。
【A. 会議ルールを徹底する 】
僕が行う会議では、次のようなルールを設定しています。
・情報共有に時間は割かない。
→予め見てきてください。
・話すことがなくなった時点で会議を終了。
→必ずしも定時まで開催しません。
・スタンディング(立ち)で実施。
→議事録係のみ、着席可能です。
(“立ち”でやるとアイデアが出やすくなんです!
・議事録係以外はPCの持ち込み禁止。
→“頭をひねる”ことに集中するため、
・発言をしないなら、来ないでください。
→会議は任意参加です。
ただし、この場で「意思決定」をします。
決まったことには従うこと。
・基本的に「否定」は禁止。
→否定をするのであれば、必ず代案を出してください。
・あいまいな表現を禁止。
→「たくさん」「いっぱい」「なるはや」など、
きちんと数値、もしくはデータを提示してください。
(その場では厳密に示さなくてもOK。その場合は会議後に提示。
・「行動」まで落とし込む。
→「誰が」「何を」「いつまでにやるか」
【B. ホワイトボードを使う】
会議はホワイトボードに書きながら進めていきます。
今回は書き方については詳しくお伝えしませんが、
ポイントは次の3つです。
1.全員の発言を漏らさず書く
→ボードは発言を「受け止める」役割を果たします
2.1会議を1ボードにまとめる
→まとまりきらない場合は、会議時間が長すぎる可能性が高いです
3.ファシリテーターが書く
→書き手を別につくると、会議を進めづらくなります。
【C. 会議の注意点】
会議を進める上では、次の点に注意してください。
1 アイデアの「数を出す」時間と「絞り込む」時間を区別する
→「数を出す」時間は否定禁止。
とにかく「量」を出すことを心がけます。
そのあとで、アイデアを「絞り込む」時間を取って、
良し悪しを選別していきます。
この「今、何を考える(発言する)時間?」を、
ファシリテーターがきちんと示すことが、とても重要です。
2.ファシリテーターが時間を測る
→会議の主催者がファシリテーター(会議の進行役)
→タイマーを手に持ち、時間を図りながら進めてください。
時間内に最大の成果が出せるかどうかは
ファシリテーターの進行にかかっています。
3.必ず“行動”を決める
→これが、とても重要です。
最後は必ず「誰が」「いつまでに」「何をするのか」を決めます。
時間内に決定しきれない場合は、
必ず「その場」で“次回の会議日程”と“考えてくること”
会議が終わったら、
もうひとつだけ、忘れずにやっておくことがあります。
■【3】事後の共有 ■
会議の終了後は、参加者の全員に
メールで議事録を共有します。
このときに会議で使ったホワイトボードの
写真を撮り、一緒に添付しましょう。
このサイクルをつくることで、
「あれ?何をやればいいんだっけ?」ということがなくなります。
***
ここまでで、1つの会議が終了します。
後は、決められた“行動”を実行し、
その結果に応じて、また会議を開催していきます。
どんな仕事でも、その中身は
「議論→決定→行動→振返り→議論…」
会議の効率が変われば、仕事の速度が大きく変わります。
今回ご紹介した内容を、ぜひ一度、実践してみてください。
※この記事は、「Entre Magazine」のバックナンバーから抜粋しています。Entere Magazineの登録はこちらからどうぞ。
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