経営コラム

組織の成果[最大化]のカギは「薪」と「炭」?

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「薪」と「炭」が教えてくれた 「組織の在り方」

さて、皆さまは年末、どんな過ごし方をされていますか?
僕は毎年恒例の「餅つき」をしています。

年末はいつも、薪を割り、火を起こし、
もち米を蒸して、杵(きね)と臼(うす)でつくという
昔ながらの方法で年始のお餅を仕込みます。

今回の僕の役割は「火の番」。

もち米を蒸す間、火が途切れないように、
薪をくべて炎を維持していきます。

火や自然と向き合っていると、
不思議といつも新しい気付きがあります。

例のごとく、今回も新しい薪を火に投げ入れた瞬間、
頭の中にひらめきが起こりました。

「これって“組織の在り方”と同じだ!」

今回は「薪」と「炭」が教えてくれた
「組織の在り方」についてのお話です。

「薪」と「炭」の役割

火を起こすとき、
最初から「薪」のような木の塊に、火をつけることはできません。
(可能ではありますが、難しいです。)

まずはマッチを擦り、新聞のような燃えやすいものに火をつける。
次にそれを葉っぱや小枝などに移す。

そうやって少しずつ燃えづらいものへと火を移していき、
最後に薪をくべると、大きな炎を出すようになります。

一度しっかり火がつけば、また新しい薪をくべても大丈夫。
きちんと火が移り、燃え続けてくれます。

やがて、ボウボウと燃えていた薪の炎が落ち着いてくると、
後に残るのが、黒い「炭」。

炭は安定して熱を出してくれる、とても扱いやすいものですが、
薪のように、大きな炎や高い熱を出すことはできません。

とはいえ、炭の役割は重要です。

その存在があることによって、
新しく投下した薪が、とても燃えやすくなるのです。

炭があるのとないのとでは、
薪の「燃えやすさ」がまるで違います。

この「薪」と「炭」の関係が、
「組織のあるべき姿」を、僕に気付かせてくれました。

まず、「薪」と「炭」の特徴を整理してみます。

【薪と炭の特徴】
◯ 薪:単体では燃えづらい。火が付けば大きな炎を出す。
◯ 炭:安定して熱を出し、扱いやすい。大きな炎を出すことはできない。

薪は、切った木を乾燥させた状態で、まだ火を付けたことがないものです。
対して炭は、薪に火を付けて、その火が消えた後に残ったもの。

この「薪」と「炭」を組織のメンバーに置き換えると、
それぞれ、次のようになります。

◯ 薪:経験が浅い、若いメンバー
◯ 炭:経験のあるメンバー

組織は、それぞれのメンバーが入り混じった状態にあります。

そして、火を炊き続ける場面を想い浮かべてもわかるように、
「薪」だけでも、「炭」だけでも、炎を上げ続けることは難しいのです。

組織の中で、「どちらかだけ」の状態になってしまうと、
それぞれ困ったことが起こります。

【薪だけ・炭だけの状態が引き起こす困ったこと】
◯ 薪だけ
→ 炎がつくまでに大きな労力と長い時間がかかる。
創業時と同じような大きな力が必要となる。

◯ 炭だけ
→ 安定していて、一見すると「良い状態」に見える。
ただし、大きな炎を出すことはできず、
長期的に見ると、ゆるやかに消えていく運命にある。

「どちらかだけ」では、どちらにもデメリットがあります。
「両方が力を合わせる」ことで、大きな力が生まれるのです。

組織においては「経験がある」メンバーが優遇される場合が多いと思います。

しかし「経験が全て」ではないのです。
経験があるからといって「大きな成果」を出せるとは限りません。

では、人が経験によって得られるものとは、
いったい何なのでしょうか?

将棋の世界で20年もの間、
トップを走り続ける羽生善治さんが、
インタビューの中で、とても興味深い言葉を残しています。

***

経験知で得られるものは
「これをやったらうまくいく」ということよりも、
「これをやったらうまくいかないだろうな」を見極める力だと思います。

対して、若い人は、体力や勢いがあり、冒険ができる。

20代の私と、40代の今の私が対局したとして、
勝つ自信があるかといえば、
それなりにいい勝負になるでしょうけれど、何ともいえません。

***

経験のあるメンバーは、経験がある分、冒険ができなくなります。
そして「うまくいかない方法を見極める力」はつきますが、
それは「うまくいく方法を見つける力」とイコールではないのです。

対して、若いメンバーは、
新鮮なものの見方や、斬新なアイデア出し、冒険する力があります。

でも、「これをやったらうまくいかない」ということは、
経験の蓄積が無いため、まだわかりません。

経験のあるメンバーにも、若いメンバーにも、
それぞれに「強み」と「弱み」があります。

だからこそ、それぞれが手を組み、
足りない部分を補いあったときに、大きな力が生まれるのです。

そして、それこそが「チームを組む意味」。

それぞれが「“個人の力”の最大化」を目指すのであれば、
チームを組む意味はありません。

お互いに足りない部分を補完し、異なる力を組み合わせて
「1人では達成できない成果」を求めるからこそ、
私たちはチームを組むのです。

 チームの力を最大化するには?

チームの力を最大化するために、
メンバーにはそれぞれ、意識しなければならないことがあります。

【若いメンバー】
「自分だけ」でやろうとしない。
炎を出す(=戦力になる)ための一番の近道は、「経験ある人に頼る」こと。
経験知を「羅針盤」のようにして活用することが重要です。

【経験のあるメンバー】
多くの経験を積んできたメンバーの一番の仕事は、次世代に「火を渡す」こと。
「自分だけ炎を出そう」としたり、新しいものを拒絶したりしてはなりません。
それは結局、自身や会社の「炎」を小さくしてしまうからです。

企業活動という名の「炎」を絶やすことなく燃やし続けるためには、
「薪」と「炭」の両方が必要となります。

「どちらが優れている」「どちらが正しい」ということではなく、
それぞれに役割があり、それぞれの力が必要なのです。

 

※この記事は、「Entre Magazine」のバックナンバーから抜粋しています。Entere Magazineの登録はこちらからどうぞ。

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