経営コラム

今さら聞けない「クラウドファンディング」の基本

Crowdsourcing
(image by : huffingtonpost)

クラウドファンディング」が当たり前になりつつあります。クリエイターや起業家に始まり、中小・ベンチャー企業でも資金調達手段の一つとして注目を集めています。

アメリカでいくつかのサービスがリリースされて盛り上がりを見せ、日本では2011年に最初のクラウドファンディングサービス「Ready For?」がリリースされました。

今回は改めてクラウドファンディングの概要と、今日本で勢いのある2つのタイプを事例と共にご紹介します。

1.そもそもクラウドファンディングとは?

クラウドファンディング(Crowd Funding)とはCrowd(群衆)とFunding(資金調達)の2語を合わせた造語で、自分が作りたいサービスやアイディア、解決したい課題に対するソリューションを実現するために、インターネットを通じて賛同者(支援者)を募り資金を集めることです。

もちろん誰もが簡単に資金を集められるという訳ではなく、クラウドファンディングのプラットフォーマーによる審査があるので、それを通過しなくてはなりません。しかし、銀行融資などに比べると審査のハードルが低いため、これまで起業しようにも資金がなかった人、様々な理由で銀行融資を受けられなかった中小企業の利用を後押ししたようです。
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出典:株式会社矢野経済研究所 プレスリリース 国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2016年)

株式会社矢野経済研究所によると、2015年の市場規模は新規プロジェクト支援額ベースで363億3,400万円、2016年度では前年度比で31.5%増の477億8,700万円を見込んでいるそうです。これからも市場の拡大が見込まれており、近い将来には「クラウドファンディング起業」が当たり前になるかもしれません。

そんなクラウドファンディングで浸透率が高まっているのが「寄付型」「購入型」の2タイプです。それぞれの内容を事例とともに詳しく見ていきます。

2.寄付型クラウドファンディング

「寄付型クラウドファンディング」はその名の通り、あるプロジェクトに対して、寄付という形で出資を行います。あくまで寄付であるため、出資者にリターンは発生しません。その特徴から被災地の復興や募金活動など、社会的意義の大きなプロジェクトととの相性が高いです。

プロジェクトの企画者はインターネットを通じて活動状況や思いを伝えるので共感を得られやすく、出資者は寄付したお金がどのように使われているのか把握できるというメリットがあります。この寄付型クラウドファンディングとして国内で有名なのがJapanGivingです。

1.寄付を通じて社会をより良くする-JapanGiving

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>>>http://japangiving.jp/
国内最大の寄付型クラウドファンディングがJapanGivingです。実施されているプロジェクトの多くが社会的意義の大きいものが多いです。寄付を通じて社会の役に立ちたいと思う「支援者」と、資金的な応援を必要とする「NPO」をつなげる場所として機能しています。

JapanGivingで特徴的なのが「ファンドレイザー機能」です。この機能ではより多くの寄付を募集するために支援者・応援者が「チャレンジ」を宣言して、協力を呼びかけるというものです。具体的に事例を用いて見ていきましょう。

事例:「コブクロ」の小渕健太郎さんが大阪マラソンの完走にチャレンジ

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大阪マラソンにチャリティアンバサダーとして今年も参加するのが、「コブクロ」の小渕健太郎さん。今年で第6回を迎える大阪マラソンでは、熊本地震災害に対する義援金募金を呼び掛けています。そこでこの活動を応援している小渕健太郎さんがチャレンジャーとして、大阪マラソン完走チャレンジを宣言し、より多くの人の協力を促進しています。

社会的意義の大きい寄付型クラウドファンディングだからこその、特徴と言えます。こういったチャレンジは自然と応援したくなりますね。

2.ふるさと納税のポータルサイト-ふるさとチョイス

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>>>http://www.furusato-tax.jp/gcf/

自治体への寄附金、つまり「ふるさと納税」をクラウドファンディングという形で呼びかけているのがこちらの「ふるさとチョイス」です。自分が解決したい、あるいは応援したいと思う自治体の解決に協力できるのですが2,000円を超える寄附を行うと、ふるさと納税の寄附金特例控除を受けることが出来るのが特徴です。

更にふるさと納税では、地元の農産品や様々な施設への優待券など、自治体からのお礼の品を受け取ることも出来るので、一風変わった寄付型のクラウドファンディングという印象を受けます。それでは具体的な事例をご紹介します。

事例:重要文化財 慈恩寺を守るために

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山形県寒河江市の重要文化財である「慈恩寺」。約1300年の歴史を持つ傍ら地元住民に長らく愛されてきたそうです。しかし、その慈恩寺の本堂に油のような液体が散布されるという事件が発生。そこで慈恩寺のセキュリティ強化のためにクラウドファンディングでふるさと納税を募るに至りました。

結果は当初の目標金額の2倍を上回る、約900万円が集まったそうです。自治体を支援できるだけでなく、寄付先の特産品がお礼の品としてもらえるなど、どこか心の温まるクラウドファンディングですね。

3.購入型(報酬型)

最新の技術を用いたプロダクトやコンサートの開催、映画や本の製作など、様々なプロジェクトに対してファン(支援者)が出資を行いリターンとして商品やサービスが手に入るのが、購入型クラウドファンディングです。購入型のプラットフォーム数は非常に多く、扱うプロジェクトの特徴に合わせたものが国内でも数を増やしています。

プロダクトやサービス目当てで支援を始める人が多いこともあり、プロジェクトが魅力的なのはもちろん、ファンが貰って嬉しいリターンを用意する必要があります。逆にそこをクリア出来ると、初期段階の資金調達、根強いファンの獲得など非常に大きなメリットが得られるのも大きな特徴です。

それでは国内の代表的な購入型クラウドファンディングをご紹介ます。

1.国内クラウドファンディングのパイオニア-ReadyFor?

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>>>https://readyfor.jp/

2011年3月に開設されたReadyFor?は、国内初のクラウドファンディングサイトです。開設以降、延べ4470件以上の資金調達を行い、日本最多の17万人から26億円以上の支援金を集めています。扱っているプロジェクトカテゴリは全部で22種類と、その多様性に強みがあります。

1プロジェクトに1人の専任担当者が付き、手厚いサポートを受けられることに加え、プロジェクトが成功しない限り費用が発生しないので初心者でも挑戦しやすい環境が整っています。実際にReadyFor?を利用して、資金調達に成功した事例として、株式会社Loupeの運営する「SENSEI NOTE」が挙げられます。

事例:孤独に戦う先生を助ける「SENSEI NOTE」

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行事の仕切り、進路指導、部活の指導など全国の先生は多くの業務を抱えていることに加え、先生間のつながりが薄く他の先生に相談する機会があまり出来ず、結果的にすべてを個々で抱え込むため激務となってしまうようです。この問題を全国の先生が「知恵を持ち寄る」場所を提供することで、解決しようとしたのがSENSEI NOTEです。

サイト上でのメッセージ、ストーリーが共感を呼び、SENSEI NOTEのページはFacebookで2557いいね!を獲得し、はてなブックマークではブックマークが11個を記録しています。結果的に目標金額の300万円を達成し、サービスの正式公開に至ったようです。

2.ユニークさに定評あり!-CAMPFIRE

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>>>https://camp-fire.jp/

2011年の開設以後、延べ1300件以上のプロジェクトを運営、総取引額は6億円(2016年2月時点)に達するなど豊富な実績を持つクラウドファンディングです。先ほどご紹介したReadyFor?と比べ、取り扱うジャンルがアートや音楽、アニメなどクリエイター寄りのプロジェクトが多いのが特徴です。

また、代表取締役にGMOベポパ株式会社の設立や革新的なビジネスで話題の家入一真さんが就任していることもあってか、起業家や新規事業を立ち上げたい企業の利用も盛んです。それでは一体どのような事業が実現したのか事例で見ていきましょう。

事例:ライティング・ゼミで有名な「天狼院書店」がみんなでつくる実店舗

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今では好評を博し、はてなブックマークでも多くのブックマークを獲得するライターを輩出する「天狼院ライティング・ゼミ」。現在池袋にある実店舗はCAMPFIREのクラウドファンディングを通じて、資金を調達したそうです。1,000万円で出来る書店を目指した同プロジェクトは目標金額が集まり、開店に至ったそうです。

実はこのプロジェクト、クラウドファンディング期間内の達成が危ぶまれ、ギリギリで達成が出来たそうです。〆切までの51時間前までは目標金額に届かず、Facebook上で粘り強く支援を呼びかけ続けました。その結果、何とか〆切までに目標金額を達成するという奇跡の大逆転劇を演じたようです。こういったドラマ性のあるクラウドファンディングはファンを集めるきっかけになるのかもしれません。

4.終わりに

市場規模は拡大の兆しを見せ、個人から自治体、企業も参加に乗り出すクラウドファンディング。銀行融資に比べると、出資を受けるハードルは低く、更に初期段階からファンを獲得しやすいことを考えると起業家が利用することは自然な流れのように思えます。 アメリカに比べ開業率がわずか5%の日本ですが、クラウドファンディングの普及と共に開業率が上昇する未来も見えそうです。もしかしたら近い将来、「クラウドファンディング起業」が当たり前になり起業のハードルが下がる時代が来るのかもしれません。

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