生産性向上のヒント

企業の成長サイクルを知り、ステージに合わせた打ち手を考える(5/5) ~衰退期編~


企業には栄枯盛衰があり、栄華を極めた企業でもいずれ時流の変化により市場が縮小したり、トレンドが変わったりして事業が縮小していきます。企業が永続的に成長するためには、各時代に応じて既存事業をブラッシュアップしたり、新規事業を立ち上げたり、M&Aを使って新しい成長エンジンを獲得する必要があります。

本記事では、企業業績に陰りが見えてくる衰退期とはどのようなステージなのか、何に気を付けて経営すれば良いのかについて説明します。

 

衰退期-残存利益獲得・M&A・撤退・新事業創出–

企業には4つの成長段階があります。創業したての幼年期、事業を拡大する成長期、事業が安定して収益を上げる成熟期、事業が縮小する衰退期です。衰退期は市場の縮小や市場とのミスマッチにより売上や利益が減少していく経営ステージです。

一般的に世の中の流行やトレンドの変化は激しくなっており、市場の幼年期から衰退期までの期間とともに、企業の寿命も短くなっていると言われています。

また、衰退期に直面している企業はそれなりに長い間事業をしてきたということで、後継者問題に悩んでいる企業も少なくありません。

このように放っておけば市場の縮小や後継者の不存在によって会社が倒産、解散するかもしれませんが、永続的な企業を作るためには乗り越えなければならない壁です。衰退期を乗り越える主な対策は、4つ存在し、できれば成熟期から取り組むべき課題です。

まず、1つ目が撤退することです。事業から撤退したり、売却したりして清算するのが対策の1つです。会社を清算するのは決して悪いことではありません。利益を残した状態で早期に撤退することによって、事業転換がしやすくなります。

2つ目が残存利益獲得を狙いにいくことです。残存利益とは、縮小する市場で残ることによって得られる利益のことを指します。残存利益を狙いに行くためには、一定以上シェアを獲得している状態で、経営を効率化させる必要があります。

3つ目が新規事業の創出です。利益が出ている成熟期、あるいは衰退期でも成熟期に貯めた内部留保が残っている間に新規事業を行って、新たな成長市場で利益を作るパターンです。新規事業創出と書くのは簡単でも、実際にはもう1度起業するようなものなので、難易度は高いです。

4つ目はM&Aです。成長しそうな事業を行っている会社の株式を取得し、子会社にすることによって企業グループ全体で成長していこうという考え方です。自社とシナジーがありそうな企業を発見、買収し、業績を上げるためには一定の経営技術が求められます。

 

衰退期における課題

ここからは成熟期の企業が抱える課題と打ち手をヒト・モノ・カネの3つに分類して説明します。

 

ヒト

まずはヒトにまつわる課題と打ち手について説明します。

 

ヒトにおける課題

ヒトにおける課題は組織の若返りと後継者育成です。企業も衰退期になるほど事業を継続していれば、組織は平均年齢が上がり、事業に対しても保守的かつ人件費が高くなっていることが少なくありません。もちろん、このような組織体制は企業が再び成長するための足かせになります。

また、経営者も高齢になり事業判断が遅くなってしまうなど、時流に適していない状態になっていることも少なくありません。後継者がいればその人材に譲れば良いですが、意外と後継者を育成せずに経営者が高齢化してしまった企業は多いです。

 

ヒトにおける打ち手

以上のようなヒトにおける課題の打ち手になるのが、事業承継の問題です。事業を承継すれば、変革期に社内の不和が発生する可能性が高いものの、若い経営者のもとで組織が若返る可能性が高いです。

事業承継をせずに自分が経営者として事業を続けたい場合でも、思い切って若手を登用した人材配置や、多少のリスクをとってでも社員に任せる寛大さが必要になります。

ちなみに、事業承継が進まない企業で多いのは、事業が経営者の勘で運営されており、可視化されていない場合です。後継者に事業を任せるためには事業を可視化し、経営上のKPIをすぐに把握できる体制を構築しなければなりません。

 

モノ

続いてモノにまつわる課題と打ち手について説明します。

 

モノにおける課題

モノにおける課題は、市場規模の縮小と成熟とともに売上や利益を確保しにくい状態になることです。成熟期には利益を上げていたビジネスモデルでも、衰退期になると利益を上げられないということはよくあります。

老舗企業には昔から同じような商材を扱っているという企業も存在しますが、多くの企業が時流の変化とともに自社の商品やサービスの構成を変化させています。

 

モノにおける打ち手

モノにおける打ち手は既存の商品やサービスをブラッシュアップするのか、新しい商品やサービスを作るのかという2パターンがあります。

残存者利益を狙いにいくのが前者のパターン、新規事業創出が後者のパターン、M&Aは両者の中間的なパターン、撤退はどちらも諦めることを指します。

撤退を除き、3つの対策いずれを行うにしても一定以上の資金力や組織力がなければ「モノ」の改善はできません。早ければ成長期、遅くとも成熟期には新規事業創出、残存社利益を狙う、M&Aなどに挑戦しておいた方が良いでしょう。

 

カネ

最後にカネにまつわる課題と打ち手について説明します。

 

カネにおける課題

カネにおける課題は二極化します。カネがあるけれどもどう使って良いかわからない、そもそもカネが無いという状態です。成熟期できちんと内部留保を確保できた企業は衰退期の初期段階でもカネは潤沢であることが多いです。一方で、いかに成熟期に内部留保を作ってもずるずると衰退期を過ごしていれば資金は無くなってしまいます。

事業が衰退していくからこそ、残りの資金をきちんと把握して、適切な投資を行うことが必要です。

 

カネにおける打ち手

カネにおける打ち手は、資金をきちんと把握し、上で説明した4つの対策を適切に行うことです。新規事業やM&Aによって事業を再興する資金が無いのならば、事業から撤退するというのも合理的な選択肢です。

また、M&Aや新規事業は必ずしも成功するわけではありません。一定確率で失敗しますし、収益をあげる過程で会社の資金を事業に投下しなければならないのである程度の資金的な余裕が必要です。

利益を出しにくい衰退期だからこそシステムなどを使用して適切な事業投資を行う必要があります。

 

まとめ

以上のように「衰退期」とはどのような企業のステージなのかについて解説してきました。すべての事業に衰退期は訪れます。しかし、日本には事業が衰退期に直面しても、盛り返したり100年以上続いていたりする企業はたくさん存在します。

このような企業はただ運が良かったということではなく、時代に合わせて商品やサービスをブラッシュアップし、後継者を育成して現在に至っているのです。事業の衰退と後継者の不在によって撤退するというのも合理的な選択肢ですが、せっかくなら事業を後世に残したいという経営者は多いのではないでしょうか。

衰退期を乗り越えて事業を後世に残すためには、残存社利益確保や新規事業創出、M&Aなどの手法がありますが、まず前提として必要なのが経営の可視化です。経営の可視化とは、現在の事業がどうなっているかリアルタイムで把握できるようにすることを指します。

幼年期から企業を成長させ続けてきた経営者には、自分の肌感覚で経営をしていて、後継者に会社の状態判断の仕方をきちんと伝えられないという経営者も少なくありません。後継者への移行に数年を要する理由としては、その会社の仕事の仕方を教えるということもさることながら、経営者が肌感覚で行って来た経営を後継者に教えられないという問題もあるからです。

この問題を解決するために必要なのはシステムを使って経営状態を可視化、後継者がスムーズに経営判断ができるインフラを構築することです。弊社が開発したALL-INでは経営に必要なシステムのほぼすべてがオールインワンパッケージになっており、経営状態をリアルタイムで把握することができます。

企業の衰退期を乗り越えたい、永続企業を作りたいという経営者の方はぜひALL-INの導入をご検討ください。

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