『サイバーエージェントのグループ会社社長インタビュー連載企画』
【第19弾】今回は、サイバーエージェントの取締役であり、株式会社アプリボットの代表取締役である浮田社長に、「中小企業の経営者が果たすべき役割」と「”カンパニー制”によるマネジメント」「組織の生産性をあげる“CR制度” 」についてお聞きしました!
株式会社サイバーエージェント 取締役
株式会社アプリボット 代表取締役社長
浮田 光樹<経歴>
1986年生まれ。中央大学理工学部電気電子情報通信工学科を卒業。
サイバーエージェントにエンジニアとして内定し、内定者時代には、子会社の株式会社アプリボットに創業メンバーとして参画。
2011年4月 サイバーエージェント入社とともに、アプリボット取締役に就任。主に開発部門を統括。
2014年4月 代表取締役社長に就任(現任)。
2014年10月 サイバーエージェント執行役員に就任。
2016年12月 サイバーエージェント取締役に就任(現任)。<企業情報>
株式会社 サイバーエージェント
https://www.cyberagent.co.jp株式会社 アプリボット
https://www.applibot.co.jp
アプリボットはどんな会社か
———アプリボットとはどんな会社なのでしょうか?
アプリボットは、「ジョーカー〜ギャングロード〜」や「グリモア〜私立グリモワール魔法学園〜」など、スマートフォン向けのゲーム事業を主に展開しています。
その他にも、小学生向けオンラインプログラミング学習サービスの「QUREO(キュレオ)」や、海外から日本へ進出したいネット企業の支援を行うグローバルパートナー事業など、ゲーム事業に限らず、「世界震撼」というビジョンの実現に向けて様々な事業を展開しています。
中小企業の経営者がやるべき仕事とは?プレイヤーか?マネジメントか?
———中小規模の企業の経営者がやるべきことは何でしょうか?プレイヤーとして最前線で戦うことでしょうか?それともマネジメント業務を優先すべきでしょうか?
フェーズによりますが、まず数十人の小規模であれば、組織をマネジメントすることよりも、プレイヤーとして自分自信が成果を出して引っ張っていくことが重要だと思います。
それは、会社にとって重要度の高いことを、プレイヤーとして実行に移すということです。自分が得意なことややりやすいことをプレイヤーとしてやるということではなく。
会社にとって重要なことと、自分が得意なことは違うので、それは切り分けて認識する必要があると思っています。
社長は決定権があるという意味で、「素早い決断→実行」ができますから、重要度の高いことこそ、誰かに任せず、「自らやる(=プレイヤー)」ことは重要です。
私が考える『マネージャ』の定義は、「組織のみんなを同じ方向に向け、個人の成果より組織の成果が評価され、みんなの力を最大限に引き出し事業に貢献する」ということです。
数十人規模であれば、組織のみんなが同じ方向を向くこともそれほど難しくないので、マネジメントに必要な時間は少ないです。
アプリボットも、今では300人規模になりマネジメントが必要になってきていますが、数十人の時は、マネジメントを意識したことはありませんでした。
———どれくらいの規模になったら、マネジメントが必要になってくるのでしょうか?
あくまで私の感覚ですが、マネジメントの重要性を感じたのは100人を超えた時でした。
ベンチャー企業のスタートは、個々の力で戦っていくことも多いと思いますが、組織の規模が大きくなってくると、途中からはチーム戦になっていきます。
ベンチャーだと、最初に集まってくる30人程はいわゆるベンチャーマインドに溢れている人たちが多いですが、100人、200人、300人となってくると、全員が全員そうだと組織がうまく回らなくなる可能性があります。
様々なライフスタイルや、価値観を持ったメンバーの総合値を上げていかなければならないので、そうなった時にみんなが同じ方向を向いて走っていくためには、細めにマネジメントしていく必要があると思います。
「カンパニー制」で組織をマネジメントする方法
———実際に導入しているマネジメントの施策はありますか?
弊社は、1つのプロジェクトを会社のように運営する「カンパニー制」を導入して、アプリボットの中に数十人規模の子会社のような組織をつくっています。
現在社内には約10個のカンパニーがあり、人事権から予算運用まで、事業に関わる全ての裁量をカンパニーのトップが担っています。
各プロジェクトメンバーの採用もトップが最終面接をします。
アプリボットは、「自分の組織を持ちたい」「事業責任者をやりたい」という考えを持ったメンバーが多いので、各カンパニーのトップに、裁量権を持たせ気持ちに火をつけることは、大きな成果を出すことにつながると考えています。
社内にいくつものカンパニーがあることで、お互いに客観的視点からアドバイスし合えるのも良いところだと思います。
また、「変化をしていい状態をつくっておく」ということも大事です。
1つの価値観を決めすぎてしまうと、その価値観からブレると、みんなが嫌がるようになります。
しかし、「今はこれだけど、いつか変わるかもしれない」と言っておくと変えやすい。
組織の規模や市場など、経営者の成長によっても、考え方、思考は変わっていくので、変化をしやすい状態にしておくのは大切だと思います。
“ブレてはいけない軸”と、“ある程度自由度をもたせてもいい軸”があると思います。
「ブレない=かっこいい」と思い込んで、何でもかんでも1度決めたことを変えずに続ける人がいますが、変化を嫌う組織は弱いと考えています。
「変わらないこと=いいこと」という考え方を浸透させると、後に自分の首を絞めることにもなりかねません。中小規模のベンチャー企業に変化はつきものですからね。
そのためにも、“変化をポジティブに受け入れる人”がマジョリティーであることが重要です。
変化したり、チャレンジしたり、変えることも決めることも自分たちでやっていきたいという人たちを組織のマジョリティーにしておくことが大事だと思います。
「CR」で業務効率化を実現する
———業務の効率化ができずに、重要度が高いものよりも、緊急度が高いものばかりに目が向いてしまい、今本当にやるべき仕事ができないという中小企業の問題を聞きますが、業務効率化を図る施策はありますか?
弊社では、「CR」という考え方を浸透させています。
「C」はChallengeのC
「R」はRoutineのRです。
「ルーティーン業務を効率化し、生まれた時間で新たなチャレンジをする」という意味を込めた施策です。
ベンチャー企業は、常に新しいことにチャレンジし続けなければ生き残れません。働き方改革が進められている現在、今までのように労働時間を増やすことによってこの問題を解決することはできません。
だからこそ、日々の業務で生産性を落とすことは、ベンチャー企業にとって致命傷になりかねません。
しかし、実際は、日々の業務に加えチャレンジする時間を捻出することは容易ではありません。
そういった時代背景もあり、「CR」という生産性を上げる施策を実施しています。
CRは、「個人が意識する」と同時に、「会社が評価する」ことが重要です。
「こうすればもっと業務効率化できそうだ」ということを、1人ひとりが普段の業務で意識できるよう、会社としても評価をしていくようにしています。
限られたキャパシティの中で、普段の業務について、
「もっとこうすれば効率化できそうだ」
「この業務を棚卸しすれば時間が作れそうだ」
「会議の参加者を見直そう」
空いた時間について、
「新規事業を考えよう」
「新しい技術を習得しよう」
「新しいイベントを企画しよう」
ということが個人レベルで意識できれば、生産性を落とすことなく、ベンチャーらしく勝ち抜くチャレンジ力を強化できると思っています。
実際に、 弊社では、
「紙ベースで運用していたものをエンジニアに相談したら、すぐにシステム化してくれた」
「普段Excelに入力しているものを見直して、マクロをしっかり組んだら10倍早くなった」
「空いている時間で、AR機能を作ってみました」
「CRに向けたハッカソンをやろう」等、
様々なところで業務の改善や新しいチャレンジが行われています。
こういったCRを推進する行動は、月初会での表彰や査定面談でも評価しています。
個人が意識をすることで、チームの意識になり、最終的には会社の文化になると思っています。
———浮田社長、貴重なお話ありがとうございました!
本記事の作成者:黒田訓英
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