Gallup社の2014年の調査によると、アメリカの労働人口の70%が職場で幸福感を感じられず、それが原因で失われる生産性は4500〜5500億ドルにも上ると報告されています。(参照:”Report: State of the American Workplace” Gallup 2014)
チーフ・ハピネス・オフィサー(CHO)とは、アンケートなどによって従業員の職場での心身の健康さや幸福さを調べたり、コミュニケーション・スキルや瞑想などの講義を開催することによって、職場を従業員が幸せになれる場所になるように調整する役職です。
本記事では、先進企業の代表的なCHOの例を参考に、幸せが職場にもたらす効果と、職場を幸せな環境にして、従業員がパフォーマンスを上げる方法をご紹介します。
「Googleには毎日思いやりがある」チャディ・メン・タン
CHOという役職を世間に広めたのはGoogleのチャディー・メン・タンでしょう。彼はGoogleの設立当初からエンジニアとして8年間働いた後、ある仏教僧との出会いから、Googleの職場に幸福をもたらすことに指名を感じ、「Jolly Good Fellow」として、ビジネスシーンでの幸福を追求しはじめました。
彼によると、Googleで大事にされている思いやりは人に共感する「情動的要素」、人を理解する「認知的要素」、人を助けようとする「動機的要素」の3つの要素で構成されています。
これら3つの要素は、社会の需要を察知し、人の役に立つミッションを打ち立てられる、優れたビジネスリーダー生み出します。そして、従業員がそのミッションに共感することによって、お互いを尊重しながら、刺激を受けあって仕事をすることができます。
あなたの会社で今日からできる取り組み
それでは、思いやりがあって、従業員が幸福を感じられる職場環境を創るには何をしたらいいのでしょうか?以下で4人の幸福とビジネスの専門家による、ビジネスに利益を生み出すための簡単な取り組みをご紹介します。
ショーン・エーカー「成功が幸せを呼ぶのではなく、幸せが成功を呼ぶ」
ハーバード大学を卒業し、「ポジティブ心理学」を研究するエイカーによると、人間が幸福を感じた時に脳が分泌するドーパミンは学習機能のスイッチをつけてくれます。そして、私たちは自分たちの脳を訓練することによって、より頻繁にドーパミンを分泌させることができます。
- 3つ感謝していることを書き記す
- その日1日のポジティブな体験を日記に書く
- 10分間でも運動をする
- 2分間瞑想をする
- ちょっとした親切な行いをする
これにより「努力して成功すれば、幸せになれる」という方程式が、「幸せなら、努力できて成功できる」という方程式にひっくり返ります。
アレクサンダー・コアウールフ「朝の挨拶で社員は幸せになれる」
アレクサンダー・コアウールフ「Happiness at Work」
朝、出社した時の挨拶ひとつを取っても、それに気持ちを込めるかどうかで社員の1日の動機は大きく変わります。デンマークでwoohoo.incという社員の幸福のコンサルタント会社の代表兼CHOを務めるコアウールフによると、朝の挨拶には5つのレベルがあり、私たちはレベル5の挨拶を目指すべきだそうです。
レベル1. 相手の目を見ずに、挨拶もろくにしない
レベル2. 相手の目を見ずに、挨拶をする
レベル3. 相手の目を見て、挨拶をする
レベル4. 相手の目を見て、挨拶をして、何かちょっとした会話をする
レベル5. 相手の目を見て、挨拶をして、何かちょっとした会話をして、握手やハイタッチのようなスキンシップを取る
上司ともハイタッチができるような環境なら、部下ものびのびと士気を高めながら働けるでしょう。
アーノウド・コレリー 「社員同士をつなげてくれる企業文化を創ろう」
アーノウド・コレリー「Chief Happiness Officer」
起業家でありながら、コメディアンでもあり映画監督でもあるコレリーは、会社のチームは恐怖で押さえつけるマネジメントではなく、想いや考えを共有できる部族のような集団であるべきだと言います。
そして、そのような集団を構築するために社員が必要とする5つのことを主張します。
- 上司や同僚に働きを認められること:誰でも自分が必要とされていると感じたいものです。
- 個人的にチャレンジができること:人は本当はサボることよりも達成することを求めています。困難すぎず、容易すぎないチャレンジがあれば、社員はそれを達成しようと努力します。
- 行動の自由:各社員に仕事の過程を考えさせる裁量権を与えることで、社員はより自主的に行動するようになります。
- 職場の明るさ:雰囲気の明るさもありますが、職場の物理的な明るさも社員の心理に影響します。照明や色使いには気を使いましょう。
- 信頼関係と透明性:仕事の情報や個人的な話を、分け隔てなく共有することによって、職場に一体感が生まれます。
ニック・マークス「ビジョンを共有すれば、自然と社員もついてくる」
ニック・マークス「Happiness is a Serious Business」
統計学者のニック・マークスは、ビジョンを共有することによって社員が動機付けられ、成功した組織を例に、社員にビジネスの仕組みだけでなくミッションやヴィジョンを理解してもらうことの重要性を説きます。
「ソフトウェアではなく、人生における財産を売った」Open English
中南米を拠点に、英語を学ぶためのオンラインプラットフォームを提供するOpen EnglishのCEOアンドレス・モレノは、社員たちに「我々はソフトウェアを売っているのではなく、人々の人生を変えるための財産を売っているのだ。」と訴えかけました。なぜなら、中南米では英語の運用能力がキャリアを左右すると言っても過言ではないからです。
そのビジョンを社員と共有するようになってから、Open Englishの売り上げは20〜40%上がりました。
まとめ
昨今、話題となっているCHOですが、彼らが掲げているアイディアはいたってシンプルで、どんな会社でも今すぐに実行できるものです。
実際に、ロンドン・ビジネス・スクールの教授であるアレックス・エドマンスは「働きがいのある会社ランキング」をもとに株を売買し、投資家ウォーレン・バフェットと並ぶほどの利益率を叩き出しました。
また、ジェームス・ハーターの研究によると、成功が幸せを呼ぶという相互関係よりも、幸せが成功を呼ぶという相互関係の方が2倍強いそうです。(参照:Well-being in The Workplace and Its Relationship to Business Outcomes)
社員のパフォーマンスを向上させ、組織としてより利益を上げたい会社の経営者は、社内の幸せにもっと注意を払い、今回の記事で紹介した取り組みを導入するべきです。
現在、会社の規模を拡大させていたり、これから拡大を考えている方で、より根本的な組織の根幹の形成を考えている方はこちらの記事もご一読ください。
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