SFA(営業支援)とは、企業の営業活動の効率化を支援するツールの総称です。以前「中小企業でSFAを導入しよう。低価格でも本格的なツール4選」でご紹介した通り、営業にかかわる顧客情報だけでなく、商談における成功・失敗事例を共有することで営業マン全体の質を高めることも出来る便利なツールです。
SFA最大手「Salesforce」
そしてSFA業界の中で最大手なのが、「Salesforce」。みなさんも一度は耳にしたことがあるという方は多いと思います。全世界で最大のシェアを誇り、15万社以上の企業で導入されていますが、そもそもSaleforceとはどのようなものなのでしょうか?
Saleforceとは?
>>>https://www.salesforce.com/jp/
Salesforceとは、クラウド型の営業支援・顧客管理プラットフォームです。全世界で15万社以上に導入されており、日本でも多くの企業で普及が進んでいます。世界を相手に戦うCanonやTOYOTAなどの大企業から中小企業まで幅広く利用されています。
Salesforceは「ビジネスの成功をもたらすカスタマープラットフォーム」をキーワードに以下の6つのアプリケーションで構成されています。
・Sales Cloud -営業活動の効率化
・Service Cloud -リアルタイムな顧客対応を実現
・Marketing Cloud -マーケティング活動を自動化
・Community Cloud -企業と顧客が触れ合うコミュニティを構築
・Analytics Cloud -収集したデータを元に分析
・App cloud -企業に最適なアプリケーション作成ツール
など、多彩な機能を備えていますが、どの機能を使用するかは企業次第。会社の状況に合わせてカスタマイズが可能です。もちろん導入する機能によって料金体系も変わってきます。そして今回は、多くの企業で利用頻度の高い5つの機能を、導入事例を交えて詳しくご紹介します。
1.Sales Cloud Lightning-CRM機能で顧客情報を一元管理
Salesforceでは、Sales Cloud Lightningというアプリケーションの中に、CRM(顧客管理)とSFA(営業支援)機能が備わっています。まずはCRM機能から見ていきます。
以前「社長が知っておきたい。CRM(顧客管理システム)の基本」でもご紹介したように、顧客の情報を管理・分析し、経営に役立てる手伝いをしてくれるのがCRM(顧客管理システム)です。
SalesforceのCRMでは顧客の主な連絡先や、やり取りの記録など顧客に関するあらゆる情報を一元管理します。 近年、TwitterやFacebookなどのSNSを顧客との接点として活用する企業が最近増えてきましたが、SalesforceではSNS上で顧客が発した意見などを顧客情報として取り入れて、早期の問題解決につなげていきます。
こういった顧客管理はCRMの基本的機能ですが、ビジネスの現場ではどのように利用されているのでしょうか?事例で詳しく見ていきます。
事例:一元管理で顧客の奪い合い防止へ-株式会社豊田自動織機
トヨタ自動車の源流である、株式会社豊田自動織機では機械メーカーとして事業を展開、特にフォークリフトのシェアは世界トップの座を誇っています。しかし、近年新興国が台頭したことにより、それらの国への出荷台数が急増、現地ディストリビュータ(販売店)の販売体制の整備に課題を抱えていたそうです。
Salesforceを導入したアラブ首長国連邦(UAE)現地の販売店、Al-Futtaim Motors Companyでは下記のような問題があったとのことです。
新興国のディストリビュータに起こりがちなのですが、お客様情報は全てセールスマンのもの。会社の営業チームと情報共有しない。日々の営業活動もセールスマンまかせ。お客様に適切な対応しているかどうかも全く分からない。
本人は『私は一生懸命やってます』と言いますが、昔からの知り合いに『ご機嫌いかがですか?』と。それを毎日やっていたとしても受注量は上がっていかない。成長する市場の中で変化が必要だった
Salesforceの導入後には「お客様情報の一元管理」「営業活動の見える化」が実現したようです。導入前までは顧客の情報共有がされていないために、営業マン同士での顧客の奪い合いまで起こっていたと言います。
顧客情報が共有されていないと、顧客の奪い合いから訪問・やり取りの重複など非効率的な営業につながることは明らか。CRMは顧客管理に手間取っている企業におすすめの機能です。
2.Sales Cloud Lightning-SFA機能が可能にする営業の効率化
SalesforceのSFAでは案件管理をベースに、商談内容や営業マンの活動記録を蓄積・分析することで課題や問題点を把握。効率的にPDCAサイクルを回すことが可能です。マネジメント職の観点では、営業マンがどこでつまずいて失注したのかが把握出来るので、適切なアドバイスを行えるのが嬉しいポイント。 それではより具体的な活用イメージを事例で深めていきましょう。
事例:売上向上だけでなく、新人離職率”ゼロ”へ-アップウィッシュ株式会社
愛知県で総合的に不動産業を展開するアップウィッシュ株式会社では、規模の急拡大により案件管理と高い離職率に悩まされていたようです。
導入以前は営業マンの商談内容が不透明で、商談進捗状況も週1回の会議でのみ共有していたため案件管理が上手くいかなかったと言います。更にその結果、案件が上手く回らず採用した新人のマネジメントが追い付かなくなり、高い離職率にもつながったそうです。
そういった課題解決のためにSalesforceを導入。その結果、案件の進捗が可視化され、次に取るべき行動が明確になったそうです。更に営業活動の標準化にもつながり、効率的に新人教育を行えるようになったとのことです。導入から3年目を迎えた2015年には以下のような段階まで到達したようです。
導入から 3 年目となった 2015 年、課題となっていた新人の離職率が、ついにゼロとなる。営業活動から商談管理、顧客情報など可視化し、共有したことが、営業担当者の生産性を向上させ、離職率の低下につながった。「背中を見て覚える」という古い体質から脱却し、きちんとした新人のマネジメントや教育体制が整ったのである。
良いアクションを取り続けるためには、それを裏付けるデータが必要です。営業マンがどのように営業を行っているのか、どれだけ案件が進んでいるのか、そういった情報が不透明だと属人的な営業体制からは脱却できず、安定した売り上げを上げることが難しくなります。こちらの事例は、多くの企業で起こりうる問題をSFAで解決した印象的な事例ですね。
3.Pardot-顧客の興味を把握するMA(マーケティングオートメーション)ツール
マーケティング活動の自動化・効率化を図るMA(マーケティングオートメーション)ツールとして、備わっているのがこちらのPardot。以前「マーケターの強い味方!マーケティングオートメーション(MA)ツール5選」でご紹介した通り、マーケティングにおける集客や顧客管理、販売促進などの活動を自動化してくれるので、マーケターの生産性向上に役立つツールです。
Pardotではリード(見込み客)がフォームに自分の情報を入力するまでの行動履歴を記録し、どの程度自社の製品に興味があるのか把握することが可能です。
例えば料金ページをよく見る人や、購入ガイドをダウンロードした人などは、見込み度が高いことがわかります。これにより、自社がアプローチするべき顧客を見極められるので、営業の効率性がアップします。
また、メールマーケティングに必要な「リストからの一括送信」「メールの開封/クリックを計測する機能」など、マーケターが欲しい機能を一通り備えています。それでは実際にどのような使われ方をしているのか見ていきます。
事例:Pardot導入で年間売り上げ約3割増!-株式会社シーアールイー
物流施設の開発、賃貸、管理、投資助言などのサービスをトータルに行なうのが株式会社シーアールイー。2009年の設立以降、業務提携や吸収合併を経て2015年には東証二部への上場を果たしています。情報の鮮度と迅速な営業活動が求められる不動産業界において、顧客の潜在ニーズを顕在化出来れば、他社に先んじて引き合いにつなげられると考えたそうです。
そこでPardotを導入し、セミナーの参加者の情報とwebサイト訪問者の情報を連携。そこから見込み客の見込み度を算出し、より成約確度の高い営業活動につなげたようです。MAツールの使用によって、有望な見込み客を割り出し効率の高い営業につなげられた事例と言えるでしょう。
Sales Cloud と Pardot の導入効果は、さまざまな数値としても現れている。中でも特筆すべきは、営業の人員数がほぼ変わらない中で、年間の売上が約 3 割増加したことだ。つまり、営業担当者 1 人当たりの担当案件数が増え、営業効率が格段に向上したことになる。
年間売り上げが約3割増は驚くべき結果ですね。しかし、裏を返せば従来では非効率な営業活動をしてしまっていたとも取れます。今の営業のやり方に疑問を感じる企業や、顧客のより詳細な情報を営業に役立てたいという企業におすすめな機能です。
4.Wave Analytics-リアルタイムなデータ分析
Salesforceのデータ分析機能「Wave Analytics」では、データベースにある全てのデータをリアルタイムで計算・分析し、ダッシュボード上にグラフやチャートといった形で出力してくれます。自分がほしい情報を迅速に収集可能なので、業務効率の向上や意思決定のスピードアップに一役買うでしょう。
得られた分析結果を元に、リソースを割くべき部分の把握や、顧客の傾向など、個人・組織が次に取るべきアクションを容易に把握することができます。それでは実際にWave Analyticsがどのように使われているのか事例で見ていきます。
事例:適切な人に適切なサービスを-NTTコミュニケーションズ
企業から個人まで幅広くICT(情報通信技術)を提供するNTTコミュニケーションズでは、数多くのサービスを提供するため、顧客それぞれに適切な提案をする必要があったそうです。そこで実施されているのが、Salesforce上のビッグデータを活用した顧客分析です。
Salesforce に日々上がってくるのは、お客様の現在を反映した生きた情報。法人営業組織では、それを多角的に分析することで、お客様に潜在するニーズや関心を汲み上げ、的確なタイミングで適切な提案に生かしている。
NTTコミュニケーションズ株式会社のように、様々なサービスを提供する企業では、多様なニーズを持つ顧客を抱えています。それぞれに適切なサービスを提供する必要があるため、顧客の動向、ニーズの把握が顧客満足度につながると言えます。顧客理解にデータ分析が上手く活用されている事例ですね。
5.Salesforce Chattar-クラウド型社内SNS
クラウド型の社内SNS「Salesforce Chatter」はFacebook messengerの様に気軽に使えるよう設計された社内SNSです。自分の案件や担当している顧客に関する情報がFacebookのようにタイムライン上(フィード機能)に表示されるので、常に必要な情報を効率よく収集出来ます。まさにビジネスに特化したFacebookという印象です。
グループを作成してメンバーとコミュニケーションを図ることはもちろん、興味深いのがアンケート機能。ある特定のトピックに関するアンケートを社員に投げかけることが可能です。こちらの機能はマネジメント職に就く人にはかなり有益な機能ではないでしょうか?社員一人一人の意見に耳を傾けるのは重要なこと。
しかし、全員に話を聞いて回るのは効率が悪いですよね。自分が意見を聞きたいグループにアンケートを投げかければスムーズに意見を吸い上げることが可能です。 それでは実際にこちらの機能がどのように使われているのか見ていきましょう。
事例:部署・社員間の深いつながりが醸成-株式会社ドーム
高機能スポーツウエア「アンダーアーマー」の日本総代理店および、スポーツサプリメント「DNS」の販売元として知られる株式会社ドームでは、「情報共有」に課題を抱えていたそうです。
社員の営業報告書をメールで共有していたのが、社員数が増えるに連れ確認に多大な時間を要するようになったとのこと。従業員の営業活動が、情報資産として蓄積されなかったケースと言えます。 そこで情報の一元管理を行うためにSalesforceを導入。結果的に以下のようなことが起こったそうです。
たとえばプロジェクトの開始にあたり、Chatter に報告書を上げておけば、自然に社内共有が進み、部署の垣根を越えた協力体制が一気にでき上がっていくようになりました。 今では、Chatter を介して新規の契約に至ったり、新たなビジネスのアイデアが生まれたりするなど日常茶飯時。情報共有の密度が圧倒的に高まり、部署・社員間の深いつながりが醸成されたと感じます。
Chatterに情報を上げておくだけで、社内での知識共有が容易に行えるのが企業に嬉しいポイントですね。上げた情報は自分のタイムライン上に流れてくるので手軽に確認できます。情報共有に留まらず、組織の密度が深くなった事例と言えます。
終わりに
多彩な機能を持つ「Salesforce」ですが、これまでご紹介した事例のように活用方法や企業が抱える課題は様々です。導入を考えるにあたって、まずは自社が抱える問題の把握、その問題がツールの導入で解決出来るものか検討する必要があると思います。目的が曖昧だと機能を活かしきれないといった事態に陥るので注意が必要です。
Salesforceの6つのアプリケーションの内、根幹の機能であるSales Cloud Lightningでは無料トライアルが用意されているので、まずは実際の使用感を確かめながら導入について検討してみてはいかがでしょうか?
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「ALL-IN」を導入することで、その他の業務システムを検討する手間もコストも必要無くなります。また、これまでバラバラなシステムを使っていたことによる、入力の2度手間などの非効率な業務フローが、「ALL-IN」ではスッキリと効率化されます。
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