創業したての企業と老舗の企業では求められる経営の仕方が違います。企業の成長にはライフサイクルという成長段階があって、ライフサイクルのタイミング毎に適した施策を打たないといけません。本記事では、企業の成長ライフサイクルとはどのような概念なのか、各段階にどのような特徴があるのかについて説明します。
企業の成長サイクルとは?
マーケティングの世界では「製品成長サイクル」という概念があります。製品成長サイクルとは、新しい製品を世に送り出してから、市場規模を拡大して、いずれ市場が衰退していく流れを説明した概念です。
全ての商品やサービスや多かれ少なかれ、製品成長サイクルにあてはまる成長・衰退をします。そして、商品が市場に浸透していない段階では市場自体を拡大する、衰退に向かっている最中には撤退を検討する、残存者利益を確保するなど、段階毎に注力すべき施策が異なります。
製品ライフサイクル理論は、ステージ毎に何に注力すべきかの指針を示してくれるという点では非常に有意義です。
この概念は、企業にもあてはまります。企業も創業期のベンチャー企業と何十年と事業を続けている大企業では行うべき経営施策はことなります。しかし、どんな大企業も創業期の段階を経て大企業にまで成長したはずであり、創業期は現在とはまったく別の経営の仕方をしていたはずです。
そこで参考となるのが製品成長サイクルの企業版、企業成長のライフサイクルです。本記事では企業の成長ステージを「幼年期」、「成長期」、「成熟期」、「衰退期」の4つのステップに分けて、それぞれの段階にどのような特徴があるのか、どのような事に気をつければ良いのかを概説します。
①幼年期 -起業・創業-
まず、企業成長の最初期段階が、起業したばかりの「幼年期」です。幼年期の会社には大抵の場合、「ヒト・モノ・カネ」のいずれも十分ではありません。一人の社員が複数の部門の役割を果たすこともありますし、資金的な制限によって行える施策の選択肢も非常に限定されている場合も多いです。
このタイミングでポイントになるのが、いかに会社を成長フェーズに乗せるのかということです。この段階の企業はどうすれば事業が成長するのかきちんと見えていないことが多く、どうすれば事業を成長させられるのかを考える、最低限のヒト、カネを揃えるのが重要です。
近年はいわゆるベンチャーブームによって、面白いビジネスモデルであれば、ヒト・カネは集まりやすくはなっているので、自社のサービスをどのように市場に求められている形に合致させるかを考えるべきです。
②成長期 -事業成長-
ユーザーに求められるサービスや商品が開発でき、最低限の組織と資金が用意できれば成長期のフェーズとなります。成長期のフェーズではいかに事業を大きくしていくかに注力します。
事業を大きくする方法には何パターンかあります。自社で直販をしたり、代理店を使って販路を拡大したり営業方法は様々ですし、そのための資金も自社の利益から賄うのか、銀行から融資を受けるのか、投資家から投資を受けるのか、資金調達手法もさまざまです。
成長期の段階で特に注意しなければならないのが組織の在り方です。幼年期は少ない社員のマネジメントで済むため社長のマンパワーでも組織を管理できますが、成長期になり会社の規模が大きくなっていくにつれ、社内に管理職層が必要になりますし、情報をどのように管理するのかにも気を使わなければなりません。
経営者としては会社の成長が楽しい時期ではありますが、この時期にどのような戦略を取るのかは非常に重要です。特に市場の成長と共に会社が成長している場合は、成熟期に向けて競合との競争が過熱してきます。会社としては成長していても競合に負けているのであれば、最終的には会社が成り立たなくなるかもしれません。
会社が成長していても、将来的な障害となりそうな要因は無いのかをきちんとチェックし、排除しながら経営した方が良いでしょう。
③成熟期 -業務改善・生産性向上-
3つ目の段階が成熟期です。成熟期は事業の成長が一段落する時期です。この時期に必要なのは業務改善と生産性の向上です。また、早くから衰退期対策に取り組む場合は、次の衰退期の項目で説明しているような、M&Aや新規事業創出に取り組んでも良いでしょう。
成熟期におけるメインテーマは業務改善と生産性向上です。成長期は売上や利益が伸びる半面、組織に無駄が多かったりコンプライアンスに問題が発生したりするケースがあります。「売上増は七難隠す」と言いますが、成熟期になると成長によって七難を隠すことが困難になります。
よって、業務改善や生産性向上など、会社が抱えていた課題に向き合う必要があります。課題を乗り超えることがシェアを高め、競合に勝つことにもつながります。
④衰退期 -残存利益獲得・M&A・撤退・新事業創出-
最後に紹介するのが衰退期です。成熟期には成長は止まっていて利益は横ばいですが、衰退期になると成長はマイナス、利益も低下してしまいます。
残っている利益の中から、新規事業やM&Aをして次の成長への戦略を模索すべきです。ただし、ここでありがちなのが大企業病などの企業病を発症しているケースです。
創業期の人材が抜けて、ベンチャースピリットを持った新規事業を行える人材が社内にいない。組織が大きくなるために意思決定が鈍重で、出世に響かないようにリスクのある経営判断を避けたがるなどです。このような企業病を上手く乗り越えて、M&Aや新規事業などによって次の事業の柱を作る時期が衰退期です。
この次の事業の柱を作れなければ、大企業といえども倒産する確率があがります。もちろん、市場の衰退に合わせて会社が衰退しても、市場規模がゼロにはならないはずなので残存者利益を狙う方法も考えられます。
ただし、市場内でトップクラスのシェアもしくは、誰でも切り崩せない固有のシェアを獲得していなければ、他者との生き残り競争に負けてしまう可能性は高いです。また、事業規模の縮小に合わせて組織を縮小する必要がありますが、その痛みに会社が耐えきれない可能性もあります。
いずれにしても衰退市場での残存者利益を狙ったり、事業から収益をあげつつ撤退したりするのは非常に難しいので、利益が発生しているうちに次の収益の柱を立ち上げた方が良いでしょう。
まとめ
以上のように企業の成長サイクルについて説明してきました。また、次回の記事以降で各段階において発生しがちな問題や対処法について説明していきます。
ちなみに、全ステージを通じて言えるのがシステムサポートの重要性です。
経営者が使える時間は限られています。限られた時間の中で会社の経営状態を正確に把握し、適切な経営判断を行うためには、幼年期からシステムをどのように使いこなすのかが重要なテーマになっています。
成長期以降の経営者に時間が無いのは想像に難くないことですが、幼年期なら会社のすべてに経営者の目が届くと思われるかもしれません。しかし、幼年期は経営者が実務に携わる必要があり、経営者状況の把握に時間を掛けていれば、会社がいつまで経っても成長軌道に乗らないので、いずれにしても経営の仕組み作りが必要になります。
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