MA

導入事例から「マーケティングオートメーションツール」がもたらす効果を検証してみた

以前「マーケターの強い味方!マーケティングオートメーションツール(MAツール)5選」で、企業のマーケティング活動を自動化してくれるMAツールをご紹介しました。

見込み客や顧客の行動を記録し、最適なタイミングで顧客とのコミュニケーションを促進してくれる同ツールですが、実際に企業ではどのように使われているのでしょうか?今回は以前ご紹介したB→Dash、Adobe Marketing Cloud、SATORI、Marketo、HubSpotの5つの導入事例で使用イメージをつかんでいきます。

1.お客様に合わせたメール配信へ-キリン株式会社

drinx

日本有数の飲料メーカーであるキリン株式会社では、「キリン オンラインショップ DRINX」というECサイトを運営しています。そこに導入されたのが、マーケティングに必要な全ての機能を持つMA「B→Dash」です。 同ECサイトでは、お客様へのサービス開発・展開スピードを優先していたため、マーケティングが後追いになっていたそうです。特にメール配信では以下のようなことが起こっていたと言います。

メール配信はアウトソーシングで実施しておりましたので、メールの原稿は事業部の担当者が作成、その後メールを送る対象者のリストを抽出するのは業務委託先のシステム会社で、実際に配信作業を行うのはコールセンターの会社に請け負ってもらっていました。

この複雑なオペレーションでは「誰に・何回・どんなメールを送信しているか」という情報を一元管理することが不可能な状態でした。これらの情報が分散していることで、メールを介したマーケティングのPDCAが回せないことが大きな課題でした。

オペレーションが複雑なため、情報が一元管理されず、お客様のニーズが把握出来ていなかったケースと言えます。「B→Dash」導入後はメール配信・データの抽出を全て自社で行い、お客様のニーズに合わせたメールテキストでコミュニケーションを図るとのこと。こちらはMAツールで、情報を一元管理し、お客様に最適なコミュニケーション行ったケースと言えます。

2.レポーティングの手間を大幅に短縮-株式会社ベネッセコーポレーション

benesse

「教育」「生活」「シニア/介護」「語学/グローバル人材教育」の4つの分野で事業を展開する株式会社ベネッセコーポレーションで導入されたのが、「Adobe Marketing Cloud」。8つのアプリケーションで構成されているため、自社に必要な機能だけ導入できるのが同ツールの強みですが、ベネッセコーポレーションではAdobe Analyticsというアプリケーションを導入したそうです。

同社が運営する全200サイトへの年間アクセス数は数十億に達し、webが集客チャネルとして大きな役割を果たす現代でサイトからの入会者を増やしたいという目的があったとのこと。そこで以前からアクセス解析ツールを使用していたそうですが、サイト数の多さが分析結果のレポーティングに多くのコストを発生させたようです。

 「当グループは、その幅広い事業分野ゆえに、全事業を合わせると運営するサイト数は200サイト以上と膨大になります。それまで利用していた解析ツールは、サイト単位でしか解析を行えないため、週次のレポーティング業務では、200以上のサイトで個別にアクセス解析し、逐一資料にまとめる作業が必要でした。

この作業はそれぞれのサイト管理者が個別に行っていたのですが、グループ全体で見ると、膨大な時間とコストがレポーティング業務に費やされていたのです」

導入後はグループの全サイトを横断して、一元的に顧客データの解析が可能になり、レポーティングのコストと作業負荷が大幅に軽減したそうです。更に複数サイトをまたいだ行動履歴が得られるようになったため、それを基にページ内でのクロスセルを強化したところ、ベネッセグループが運営する学習塾への送客数が2倍に増えたケースも出たそうです。

顧客のデータ分析をように行えるのもMAツールの強みです。データ分析・集計に大幅なリソースが割かれている企業では、MA導入に一考の余地がありそうです。

3.見込み客育成で、商談率アップ!-株式会社Faber Company

fabercompany

見込み客を増やすリードチャリング機能に優れているMAツールが「SATORI」です。同ツールを導入したのが、企業のウェブマーケティングの課題解決に取り組む株式会社Faber Companyです。

同社では以前からリード(見込み客)管理の意識が低かったことに課題を抱えていたそうです。 リードに厚いフォローを提供して、育成していくという認識が普及していなかった同社ですが、SATORIを導入してから社員の認識が変わり、商談率が高くなってきたと言います。

確実に商談化してきている気がします。導入は半年前ですが、顧客情報とSATORIのIDがいったん紐付くと、過去に遡ってデータを見ることもできるので、この人は結構サイトを見に来てくれていたのだな、ということも分かったりします。

中には1年以上前にとあるイベントで接触があって、ずっとメールやセミナーでやりとりをしてきた見込顧客がいるのですが、先日、SATORIでタイミングを見計らってアポイントを入れ、MIERUCAの商談につながりました。 今、稟議にかけていただいているところなので、もうすぐ成約できるのではないかなと思います。ほかにも期待が持てそうな案件は複数出てきています。

見込み客は顧客に変わる可能性のある人たちです。そこに対して企業がフォローを行えなければ、当然こちらを向いてくれません。株式会社Faber Companyの事例は、SATORI導入をきっかけに、見込み客育成が軌道に乗り始めたケースと言えます。

4.他ツールを活かしつつマーケティングを強化-アンリツ株式会社

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他サービスとの連携を前提としているため、ツールとしての柔軟性に定評があるのが「Marketo」です。実際に他ツールと連携してMarketoを使用しているのが、電子計測器のメーカーとして有名なアンリツ株式会社です。

同社では展示会やセミナーで新規顧客を獲得するface to faceの営業に強みを持つ傍ら、全ての顧客に的確なタイミングで営業活動が行えず、顧客との関係維持に課題があったそうです。 以前からSalesforceを使用していたが、マーケティング部門と営業部門でバラバラに情報を管理していたとのこと。

そこでMarketoとSalesforceを連携し、お客様情報を統合したところ、コンタクト可能な潜在顧客数が1.7倍まで上昇したと言います。更にMarketoで顧客分析を行ったところ、以下のような効果も得られたそうです。

営業部門が1年間コンタクト していないお客様が62%ほどいて、2年間以上コンタクトを取っていないお客様も、そのうちの42%くらいいることがわかりました。こうした潜在顧客とのコンタクト状況まで見える化できるようになったのは、大きな収穫でした

営業部門とマーケティング部門でお客様情報をバラバラに管理していた結果、潜在顧客の情報が埋もれてしまったという問題をMarketoとSalesforceを連携させて解決した事例と言えます。Marketoは既存ツールをそのまま使いつつ、マーケティング力を強めたい企業におすすめな印象を受けます。

5.プル型マーケティングで見込み度増大-ソウルドアウト株式会社

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マーケティングに必要な機能をほぼ全て揃えつつ、ブログやサイト構築などユーザーに自社を見つけてもらうインバウンドマーケティングに強いのが「HubSpot」です。実際に同ツールを導入したのが、中小・ベンチャー企業にwebマーケティングの支援を行うソウルドアウト株式会社です。

以前はプッシュ型の営業を行っていたのですが、社員の負担増加、それに伴う効率の低下に問題を感じていたそうです。そこでプル型のマーケティングに切り替えるべくHubSpotを導入。自社ブログを立ち上げてリード(見込み客)を集められるようになった結果、今では面識のない人に対するプッシュ型営業がほぼなくなったそうです。同社CMOの長谷川智史氏は導入後の効果を下記の様に述べています。

以前は、営業マンが自分でリストを作り、プッシュ型の営業活動をしていました。しかし現在は、営業担当者はもともとリードの状態の見込み客と接するため、負担は減少。さらに、ビジネス全体の人的工数の点でも改善ができました。

元々はプッシュ型の営業活動に人的工数を大きくかけていましたが、今ではその人と時間を既存のお客様への対応へ掛けることが可能になりました。

さらに、弊社に製品サービスに対してすでに興味を持っている人たちへサービスを提供できるようになったため、結果として、新規の取引開始時の顧客単価が約2倍まで増加し、何よりお客様に感謝されやすくなりました。

プッシュ型営業ではどうしても営業マンの負担が増え、個々の営業成績に大きな違いが生まれがちです。こちらは、HubSpot導入で営業マンの負担を減らし、顧客へのより密な対応を可能にした事例と言えます。

終わりに

いかがでしたか?これまで企業でのMAツール使用事例をご紹介してきましたが、どの企業でもマーケティングが効率化され、顧客と最適なコミュニケーションを行おうとしている印象を受けます。

マーケティングが属人的であり、多くのリソースを割かれている企業にとって、MAツールは一つの助けになるのではないでしょうか?

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