同じ会社で働いているのに、違うツールを使うのはナンセンス
日本の企業の多くは、ITツールの重要性を軽視して、社員が「どんなツールを使って仕事をしているか」ということに十分な注意を払っていない傾向にあります。
もしも、あなたの会社で同じ機能や目的を果たすために、複数のツールを使っているとしたら、「一元化」によって、生産性を向上する余地が必ずあります。
一元化とは「分散している社内のツールやシステム、データベースを整理・統合する活動」です。
一元化のポイントは2つあります。「ツールを統一する」ことと、「データを連動させる」ことです。今回は上記の2点に沿って、一元化すべき理由と、一元化がもたらす利点をご紹介いたします。
ツールの統一
社員それぞれが、個人的に好きなツールを選んで使っていると、各人にとって使い勝手が良くても、様々なフォーマットに情報が保存されるため、組織として考えると、そのような散乱した情報を集めるのには、手間や時間がかかってしまいます。
では、ツールを統一することによって、どのような効果が上がるのでしょう?
利点1:進捗報告の無駄を省ける
日本におけるホワイトカラーの生産性の低さを訴える須田 仁之氏(スダックス)は、「数字の報告→上司からのツッコミ→部下の言い訳」という流れに陥りがちなよくある会議の無駄を指摘します。
参考:日本のホワイトカラーの生産性を改善するには?―須田仁之(スダックス)から10の提言
タスク管理のツールや情報の保存先を統一すれば、会議で仕事の進捗状況などを詳細に報告する必要がないため、無駄な時間を割かずに済みます。
利点2:仕事の引き継ぎが楽になる
ある社員が、一人だけ他の社員とは異なるツールを使っていたとします。もし彼が、他の仕事を割り当てられ、それまで進めていた仕事を他の社員が引き継ぐとしたら、彼が使っているツールの操作方法がわからず、スムーズに仕事を進めることができません。その結果、引き継いだ社員はお同じように仕事をこなし、結果を出すことができないでしょう。
また、全員が同じツールの使い方を知っていれば、仕事を他のメンバーに振ったり、引き継いだりする際にも、いちいち説明する手間が省けます。
ツールの統一化は最初は手間でも、長期的に見れば、組織全体で大幅な時間短縮と効率化をもたらします。
データの連動
社内でのツールの統一化が済んだら、次はそのツールを用いて、社内のデータを連動させましょう。同じ会社で働くからには、たとえ部署が異なったとしても、共通して必要なデータが必ず存在するはずです。
例えば「顧客管理システムにデータ入力 ⇒ CSVファイルでエクスポート ⇒ 販売管理システムにインポート ⇒ 請求書を発行 ⇒ 会計システムに入力・・・」という作業が当たり前のように行われていると思います。
このように、いちいちインプット・アウトプットしていては、無駄な手間や時間がかかってしまいます。これを解消してくれるのがデータの連動です。
利点1:即時にデータが更新・追加できる
社員が会社の外で得た情報や、ひらめいたアイディアなどを、自分しか見ることのできないメモツールなどに書き溜めておくと、当然ですが他の社員はそれを見ることができません。
また、それを社内のどの人物がいつ必要としているかを把握するのは、非常に困難ですし、その情報を自分で持ち続け、社内で共有するまで記憶しておくのはもっと困難です。
そのようなことに気を使うのではなく、統一されたデータベースにすぐに共有することで、「メモをする→持ち帰る→報告する」という3つのステップを1つに簡易化することができます。
また、他の人もそれを閲覧・編集することができるため、同じことを書き込む二度手間のリスクがなくなり、さらに、同じ議題に新たにアイディアを付け足す時などに非常に便利です。
利点2:どの情報がどこにあるか分かる
紙媒体にあるデータを探すのが大変さは、多くの人がご経験だと思いますが、コンピューター上のフォルダーなどにあるデータを探す際も、タイトルや保存場所を忘れて、探すのが大変だったというご経験はないでしょうか?
データベースを統一化し、さらに、どのフォルダーにどんな種類のデータが含まれているのかという索引をつくっておくと、探す手間が省け、いざという時に非常に助かります。
そして、その索引をスプレッドシートなどに記入しておき、データを追加する際に更新してけば、もうこれ以上迷うことはなく、理想的です。
自分のみではなく、他の社員がそのデータを必要とすることを想定して保存しておくことで、組織としての生産性は見違えるように向上します。
経営は本来、繋がっている活動です。一元化されたシステムでデータを連動させることができれば、上述したような二度手間・三度手間の仕事を社内から減少させることができます。
まとめ
会社として生産性を上げるなら、社員同士が相乗効果を上げながら機能する組織を作る必要があります。
「ツールの統一」と「データの連動」により、入力や報告などの単純作業を減少させることで、現場スタッフはよりクリエイティブな仕事に時間を割くことができるようになります。
無駄な単純作業が削減され、その分の社員の時間と労力といったリソースが節約できれば、大幅な能率の改善が期待できます。
一元化はどんな会社でも取り組める活動ですが、それによる効果は軽視できないものなのです。
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