はじめに
働き方改革は、企業の経営において欠かせないものとなり、多くの企業が生き残りをかけ、働き方改革に着手しています。そんな中、今までの働き方の常識では考えられないような働き方が当たり前になろうとしていることはご存知ですか。
今回は、今までの働き方の概念を破壊する3つの大きな働き方革命についてご紹介したいと思います。なぜ3つの革命が今必要なのか。そして3つの革命が成されることによる影響は何なのかを中心に見ていきましょう。
1. パートと正社員という区別を破壊する同一労働同一賃金制
政府は同一労働同一賃金の実現に向けて、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の3法の改正を決定しました。なので、今後多くの企業が同一労働同一賃金制を採用すると考えられます。同一労働同一賃金の実現はパートと正社員の垣根をなくし、新しい雇用形態を生み出すでしょう。 では、なぜ今同一労働同一賃金の実現が必要なのか。また同一労働同一賃金の実現によってどう企業に影響を与えるでしょうか。
なぜ今、同一労働同一賃金の実現に向けた動きがあるのかというと、政府が掲げる「一億総活躍計画」のうちの「名目国内総生産600兆円プラン達成」が根底にあります。つまり、国民の最低賃金を引き上げることにより、消費を促し、デフレ脱却を狙うという政府の思惑があるのです。
さらに、企業にとっては人材不足の影響が大きいでしょう。現在、かつてないほどの人材不足の波が押し寄せてきています。4月の有効求人倍率は1.48倍と、バブル期の1.46倍を超えたというデータもあります。つまり、企業側も同一労働同一賃金を実現し、正社員をしっかりと確保する必要があるのです。
では、同一労働同一賃金が実現されると企業に取ってどう影響するでしょうか。企業にとってのメリットとしては、まずパートから正社員というプロセスを踏むことで、パートで培った経験をそのまま活かすことができ、従業員一人ひとりの生産性向上が見込めます。さらには、長く働くことにより、企業理解を深めることで、離職率低下にもつながります。
スウェーデンに本社を置く家具メーカーのIKEAは2014年9月から同一労働同一賃金制を導入。その結果、2015年8月期の売り上げは対前期で11%パーセント増加しています。同一労働同一賃金制導入との相関関係は断定できないものの、少なからず影響したものと思われます。
しかし、当然人件費は上がるため、これまで以上に細かく売り上げや利益、そしてコストを分析し、同一労働同一賃金制が企業経営にプラスの影響を与えているのかの判断をコンスタントにしていく必要があるでしょう。
同一労働同一賃金の実現は、アルバイトやパートも選考の基準になるという新しい形を生み出すことになりそうです。
2. 週3日休むという短時間集中労働
毎日仕事に追われているという従来の日本人サラリーマンのイメージが終わりを告げるかもしれません。現在、多くの企業が週休3日の導入を宣言しています。最近ではヤフー、佐川急便、ファミリーマート、ファーストリテイリングなどの企業が週休3日導入を発表しました。
なぜ、今週休3日制を導入するのか。これも柔軟な働き方を実現することによって優秀な人材を確保したいという企業の狙いがあります。さらに、AIの台頭により、今まで人間が行っていた雑務をコンピューターに行わせることができるようになったことも大きな要因と言えるでしょう。
では、週休3日制導入でどんな影響があるでしょうか。ただ単純に週休を3日にするということは労働時間の減少を意味し、企業にとってはデメリットになります。つまり、労働時間減少をカバーする業務効率化を同時に行う必要があるのです。
SCSKは、単純に残業を減らせ!と現場任せにすることへの限界を感じ、業務プロセスの見直しを実施。その結果、企業の残業時間を大幅に改善したことに加え、部門の中で最も残業時間が長く、赤字事業であったProActive事業部門の残業時間も大幅に改善し、黒字化することにも成功しました。
<出展>日本経済新聞「強い会社作る働き方革命 3つの破壊が始まった」2016年10月18日付朝刊
週休3日制を導入することによる生産性向上を実現するためには、同時に業務プロセスの見直しが不可欠になるでしょう。
余談ですが、業務プロセスの見直しの際、ECRS という概念はとても有効的です。ECRSはイクルスと読み、主に製造現場の生産管理におけるプロセス改善のために使われるフレームワークです。
・Eliminate (取り除く)
・Combine(繋げる)
・Rearrange(組み替える)
・Simplify(簡素化する)
の4つの要素から成り立つものになります。詳しくはこちらをご参照ください。
週休3日制の導入は、今までの日本人サラリーマンのイメージを破壊すると述べましたが、せっかくの休日も仕事のことばかり考えていては本末転倒になってしまいます。いつまでも「日本人は常に忙しい」というイメージが付きまとってしまうでしょう。今後はやるときはやる、休むときはしっかり休むというメリハリのある働き方が重要になってくると思います。
3. 副業の解禁による新しいキャリア構築
3つの働き方革命の中で、この副業の解禁が今までの常識を最も覆し、また大きなインパクトを社会に与えるものになるのではないでしょうか。なぜなら、日本に長らく根付いていた終身雇用制のもと、キャリアの全てを1つの会社に捧げるといった風潮が終焉し、自由に働き、キャリアアップを図る欧米式の風潮に変わると考えられるためです。
副業の解禁の背景には、長寿社会になり、生涯労働の未来が現実味を帯びてきていることが考えられます。長寿社会において今までのキャリア形成では限界があり、複線型ワークの必要性がどんどん増しているのです 。
では、副業の解禁による影響とは何かを見ていきましょう。企業にとってはデメリットが大きいように聞こえる副業ですが、メリットもあります。企業にとっての一番のメリットは、社員のスキルアップにあります。 ロート製薬は「社外チャレンジ制度」を導入し、個人の成長を企業の成長に繋げる狙いがあります。
副業の解禁によって考えられる影響はまだあります。それは開業率の向上です。日本の開業率は5%程度と他の先進国に大きく遅れを取っています。
<出展>中小企業庁「中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来」,<http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/h26/html/b3_2_1_3.html> 2017年6月8日アクセス.
副業の解禁により、起業家マインドの生成、そして新規事業を立ち上げやすい環境の構築が期待できます。 ベンチャーキャピタルのビヨンドネクストベンチャーズは、起業育成プログラムを5月から開始し、大手企業に在籍したまま新規事業の立ち上げに2か月参加し、経験を積む仕組みを作っています。
副業の解禁は、起業に無関心な人の割合が約8割という日本人の消極的マインドを刺激するカンフル剤になるかもしれません。
おわりに
いかがだったでしょうか。働き方における3つの革命についてご紹介しました。企業にとって、今までの常識を脱し、変化していくことは勇気のいることだと思います。しかし、勇気を出し、時代に適応し、そして変わり続ける企業が今後生き残れる企業ではないでしょうか。
より、実践的な働き方改革について知りたい方は、こちらの記事も合わせてご参照ください。
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