固客化

【事例から学ぶ】ファンから愛され続ける3つのブランディングとは?

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前回は、ブランド力の高い中小企業になるために必要な、ブランディングに大切な3つのポイントについてご紹介しました。

ブランディングに大切な3つのポイントとは、
A=顧客 理想の顧客像を明確にする
B=自社 ミッションや行動方針を明確にする
C=評価 どのような価値を顧客に提供し、どう思われたいのかを明確にする

この3つを明確にすることで会社のブランド力は向上します。

ブランディングに大切な3つのポイントについて、詳しくはこちらをご参照ください。

今回は中小企業にもかかわらず、高いブランド力により「固客化」に成功した企業を取り上げ、そのブランディングはどういった特徴を持っているのかを上記のABCを踏まえてご紹介していきたいと思います。

1.「人生の最後に泊まりたい」と選ばれる宿

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「最後にもう一度あの宿に泊まりたい。」

病気で先の短い人がどうしても行きたいと嘆願する宿があります。板室温泉大黒屋は、450年以上続く栃木でいちばん古い旅館で、リピーターの率は73%と高確率です。完璧に「固客化」に成功していると言えます。なぜ、この宿がこんなにリピーターを獲得できたのか。その背景には、3つのポイントを軸としたブランディングにありました。

A=宿が顧客を選ぶブランディング

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ブランディングを行うにはまず、リピーターとなり得るファンの顧客像を明確化します。そして板室温泉大黒屋の館内には、下記のようなことが書かれたプレートがあります。

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本館は、保養とアートの宿でございます。対象となるお客様は、

・健康を目的にされる方

・「文化」「知」「美」に興味のある方

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つまり顧客が宿を選ぶのではなく、宿が対象となる顧客を選んでいるのです。館内には、宴会場やカラオケボックスは一切なく、それを求めるお客さんは最初から対象とされていません。リピーターとなるお客さんは、当館が対象と設定したような静かでゆっくりとした文化的な雰囲気と豊かな自然を求める方が多いようです。板室温泉大黒屋は、対象となる顧客をお客さんにもわかるようにはっきりと明確化し、ブランディングに成功したと言えます。

顧客像を明確化することにより、本当に企業の価値を提供したいお客さん、価値を本当に欲しているお客さんが明確になり、しっかりと向き合うことが可能になります。ファンを獲得するためにはまず、ファンとなり得る顧客と向き合うことから始めましょう。

B=目先の利益を優先しないブランディング作り

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企業はどのようなミッションや行動方針を掲げ、顧客にどう認知してもらいたいかを明確化させることがブランディングにおいては重要です。

ホテル・旅館業界は変革することが難しいと言われる業界の一つです。なぜなら、旅行代理店に値段を叩かれ、目先の利益を稼ぐために団体客やゴルフ客などを囲い込み、お酒などで利益を上げようとする経営が普遍化してしまっているからです。つまり、大衆迎合型の経営が当たり前になっている背景があります。しかし、下記の図からも、ホテル・旅館業界は行き詰まりの様相を呈しており、当たり前の経営が上手くいかない状況にあります。

ホテル規模推移

国土交通省(2012/9/10),「観光産業の現状について」

<https://www.mlit.go.jp/common/000226408.pdf>

そんな中、板室温泉大黒屋の当社第16代目、室井俊二社長は『大衆に迎合せず、「今日の利益」のためにお客を取ることはしない。ただし、選んでくれたお客様には、徹底的にサービスを提供する』という「今日の利益のためにお客様を取らない」という理念を貫き、リピーターの信頼を勝ち得ることに成功しました。

その信念が顕著化したサービスの一つが、室内の冷蔵庫には何も入れず、飲み物の持ち込みを自由にするというものです。多くの旅館は、高い飲料を冷蔵庫に入れ、稼ぎを出そうとします。しかし、室井社長はそれを嫌い、顧客を第一に考え、この小さなサービスを徹底しました。

世の中の常識に逆らい、『「今日の利益」でお客を取らない』という信念を貫くことによって顧客の信頼を勝ち得、板室温泉大黒屋はブランディングに成功したと言えます。

C=今までにない新しい価値提供を貫くブランディング

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ABCのCに当たるのが、どのような価値を顧客に提供していくのかということです。板室温泉大黒屋は、「アートスタイル経営」という旅館と現代アートを融合して、顧客に満足してもらうという変わったサービスを提供しました。ですが、最初はうまくいきませんでした。スタッフ全員に反対され、挙句には一人を残して、他の社員は全員辞めてしまいました。会社を継いでから5年間は、針のむしろであったそうです。

しかし、室井社長は現代アートが作る雰囲気に顧客は必ず満足してくれると信じ続けた結果、リピーターの率はなんと、73%という驚異的な数字を出すことに成功しています。変化による失敗を恐れず、顧客が満足すると信じた価値を提供し続けることにより、板室温泉大黒屋は「人生の最後に泊まりたい」と選ばれるまでの宿に成長し、ブランディングに成功したと言えます。

0から1の価値を生み出し、それを顧客に提供し続けることは決して簡単なことではありません。しかし、それをやりきることができた企業が成長し続けることができ、人のブランド企業になることができます。

おわりに

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「人生の最後に泊まりたい」というブランドが付いた板室温泉大黒屋。そのブランド力の背景には、ABCの3つのポイントに基づいたブランディングによる「固客化」に成功したからだと言えると思います。あなたの企業は顧客からどのようなブランドをつけてもらい、認めてもらいたいでしょうか。

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