ユニークな商品・サービスをつくる!「〇〇を崩す」という方法
「アイデアとは既存の要素の
新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
広告業界の偉人であり「アイデア発想法」に関する
世界的な名著『アイデアのつくり方』の著者、
ジェームス・W・ヤング氏の言葉です。
僕は、大学時代に「この言葉」に出会い、
「アイデア発想の方法」が大きく変わりました。
どんなに革新的なアイデアでも、
「既存の要素の組み合わせ」以外の何者でもない。
この考えを知ったことで
「これまでにない、“全く新しいもの”を
生み出そうとしなくて良いんだ!」と、
とても気持ちが楽になったことを覚えています。
ただ、そうは言っても、
現在は「超・多様化」の時代。
複雑化する市場で商品やサービスに独自性を持たせることは、
年々、難しくなってきています。
ただ、世の中を見回してみると
「ちょっとした工夫」によって独自性を獲得している
商品やサービスが、少なからずあるのも事実。
そして、その「ちょっとした工夫」には
「共通点」があるのです。
今回は、商品やサービスの事例を見ながら、
「独自性を掴むための、ちょっとしたコツ」をご紹介します。
キーワードは
「あたりまえを崩す」。
いったい、どういうことでしょうか?
私たちは知らないうちに「あたりまえ」をつくっている
ちょっとした実験をしてみましょう。
次の場面を、頭の中にイメージしてみてください。
***
あなたは今、
「日本酒にこだわる居酒屋さん」に
居るとします。
日本酒の味を引き立てる「お酒のお供」には、
どんなものが出てくるでしょうか?
***
日本酒のお供として、どんなものを思い浮かべましたか?
焼き魚、塩辛、枝豆、etc…
いろいろな回答があるとは思いますが、
おそらく「しょっぱいもの」を思い浮かべたのではないでしょうか。
「日本酒のお供=しょっぱいもの」
それが、私たちが知らぬ間につくっている
「あたりまえの組み合わせ」です。
でも、これは私たちが「勝手」につくっているもの。
この「あたりまえ」を崩すことで、独自性が生まれます。
では「あたりまえ」を崩すとは、
どういうことでしょうか?
例えば、僕が先日訪れた、ある居酒屋さん。
このお店に行けば「日本酒のお供=しょっぱいもの」という
先入観は、きれいさっぱりと無くなってしまいます。
なぜなら、このお店で、
こだわりの日本酒に合わせて提供しているのは、
なんと「和菓子」。
「え!日本酒に和菓子? それ、本当においしいの?」
これが意外や意外、
とってもおいしいのです!
和菓子の甘みが、日本酒の味と芳醇な香りを引き立て、
ついつい杯が進んでしまいます。
「日本酒には、しょっぱいもの」というのは、
僕たちの勝手な思い込み。
実は「組み合わせの可能性」は、大きく開かれているのです。
「でも、そこのお店が特別なだけでしょう?」
そんな声が聞こえてきそうです。
それでは飲食店で、もうひとつ、
「新しい組み合わせ」の例を見て行きましょう。
日本のソウルフードといえば…?
日本を代表する料理といえば、お寿司。
それでは、ここで再び質問です。
***
「お寿司のシャリの上に乗っているもの」と言えば?
***
おそらく、刺し身などの海鮮を想像した方が
ほとんどなのではないかと思います。
他にあるとすれば、回転寿司などで人気のある
ツナやコーンなどでしょうか。
しかし、これも私たちが勝手につくった
「あたりまえの組み合わせ」。
中目黒に店舗を構える、あるお店では、
なんと「野菜寿司」を提供しています。
その姿は、ネーミングから想像する「そのまんま」。
シャリの上に「野菜」が乗ったお寿司です。
「そんなの、誰が食べるの?」
そんな声が聞こえて来そうです。
このお寿司は、ヘルシー志向の高まりとも相まって、
主婦層やベジタリアンを中心に、支持を集めています。
このお店では、
「ケーキを飾るのは色とりどりのフルーツ」という常識を覆す、
「野菜ケーキ」なるものも販売。
こちらも大きな人気を集めています。
「野菜」「寿司」「ケーキ」と、それぞれの要素は
どこにでもある、ありきたりなもの。
しかし、それらを「あたりまえを崩して」
組み合わせると、ユニークさが生まれます。
ここまでは「食べ物」の例を、2つ続けてご紹介しました。
ところで、この方法は「食べ物以外」にも使えるのでしょうか?
食べ物だからこそなのでは?
いえいえ、もちろん他の業界でも使うことができます。
今度は「モノ」について考えてみましょう。
ブランド物バッグの「あたりまえ」…?
たとえば、私たちが普段から持ち歩いている
「バッグ」について考えてみましょう。
それでは、ここで質問です。
***
「ブランド物の手提げバック」を
思い浮かべてみてください。
***
世の中には様々なブランドがありますから、
様々なバッグを思い浮かべた方がいると思います。
ただ、おそらくですが、あなたが思い浮かべたのは
「立体のバッグ」だったのではないでしょうか?
「どういうこと? バッグは立体でしょ?」
「3次元の空間」に生きている私たちは、
リアルな空間で使うものを普通、「3次元」で考えます。
それが、モノに対する「あたりまえ」。
しかし、実際に使用できるバッグで、
「平面に描かれたイラストにしか見えない」デザインの
バッグが存在します。
きちんと厚みもあって、物も収納できるバッグなのですが、
見た目が、どう見てもイラストなのです。
僕も初めて見た時は、ついつい二度見してしまいました。
私たちは知らないうちに、次のように考えてしまいます。
◯ 3次元では …→ 立体のデザイン
◯ 2次元では …→ 平面のデザイン
2次元のもので
「立体のデザイン」を目指す(高次元を目指す)ことはあれど、
3次元のもので
「平面のデザイン」を目指す(次元を下げる)ことは、多くありません。
人はどうしても、与えられた「制限」を
フルに活用しようとするからです。
(この場合は「3次元」という制限ですね。)
だから、時にはその「あたりまえ」を崩してみる。
「立体なのに、平面に見える」という
「違和感」が、ユニークさをつくるのです。
「モノ」には
見た目・使い方・使う場面・使わない時間、などなど…
様々な観点の「あたりまえ」が存在します。
普段、意識を向けることのない、それらに意識を向けることが
「あたりまえ」を発見するための一番の近道です。
ぜひ、今日から「あたりまえ」の発見に向けて、
様々なところに意識のアンテナを伸ばしてみてください。
ここまでは「食べ物」と「モノ」の事例を見てきました。
最後は、「イベント」の事例をご紹介します。
「日本ではありえない」フルマラソン…?
イベントの中でも、
たとえば、スポーツイベントについて考えてみましょう。
スポーツイベントと言えば、
最近では「東京マラソン」のようなマラソンイベントが人気ですね。
それでは、ここで質問です。
***
フルマラソンをしながら、飲むものといえば?
***
普通は「水」や「スポーツ飲料」ですよね。
しかし、世界にはそんな「あたりまえ」を
大きく崩すイベントがあります。
それが「メドックマラソン」というイベント。
フランスで開催されるこのマラソン大会では、
なんと「ワインを飲みながら」フルマラソンを走ります!
ただでさえ、走り切るのが難しいフルマラソンを、
お酒を飲みながら走るなんて、ちょっと想像ができない世界です。
一見すると、近年の「ノリ」で始まったように思えるイベントですが、
実は今年で30週年を迎える、由緒あるもの。
今では世界中から参加者が集まる
フランスの秋の祭典となっています。
ちなみに、変わり種のマラソン大会としては他に、
「スイーツマラソン」というものもあります。
「給水所」ならぬ「給スイーツ所」で、
水分とともにスイーツを食べることができるという
このマラソンイベント。
こちらは、日本でも全国で開催されており、
延べ7万人が参加する人気イベントに成長しています。
「マラソン」と聞くと辛そうに思えるのですが、
そこに「スイーツ」が加わると途端に魅力的になる。
マラソン初参加率30%、女性の参加率50%を誇り、
その「意外な組み合わせ」に魅了される人が続出しています。
「あたりまえ」を崩した、「新しい組み合わせ」は
それまでの「組み合わせ」では届けることの出来なかった人にまで、
価値を届けることができます。
競合企業と同じものを扱いながら、
新しい市場を開拓できる可能性があるのです。
***
僕達の周りにある、ごく普通のものでも、
「あたりまえを崩した」組み合わせをするだけで、
ユニークになるものが、たくさんあります。
「アイデアとは既存の要素の
新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
商品やサービスの独自性を探求する際には、ひとつの方法として
「あたりまえの組み合わせを崩す」ことを、ぜひ実践してみてください。
~
ユニークな商品やサービスに触れたとき、
僕たちの反応は大きく「2つ」に分かれるように思います。
「オモシロイ!!!」
「オモシロイ! けど、うーん…」
天と地ほどの差があるように見える
この2つの反応に共通していることは
「ユニークさに惹かれて試してみた」ということ。
組み合わせで得られる「独自性」は、
ポジショニングとしての価値(相対価値)と、
お客さんが頭の中で認識する価値(認知価値)の2つです。
この2つの価値が高い場合、
「購入」に結びつく確率は高いのですが、
「リピート」に結びつくかどうかは、また別の話。
商品やサービス自体が、顧客に受け入れられなければ
お客さんは二度と使ってくれません。
僕が訪ねた「日本酒×和菓子」のお店も、
一見、奇抜に見えるその組み合わせが
「体験として素晴らしい」からこそ、
人気店となっているのです。
事業を永続するためには、
相対価値と認知価値だけではなく、
商品そのものの価値である「絶対価値」も
高めていく必要があります。
僕たち「人間」と同じく、
商品も「外見」と「内面」の両面を
磨き続けなければならないのですね。
※この記事は、「Entre Magazine」のバックナンバーから抜粋しています。Entere Magazineの登録はこちらからどうぞ。
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