経営コラム

名刺を新調しました「“物”が“語れ”ば売れていく」

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良い商品にはストーリーがある

「物語」とはよく言ったもので、
大切にされた“物”、大切につくられた“物”には、
心惹かれるストーリーがあるものです。

そして、語るだけのストーリーを持つ“物”は、
どれも、とっても魅力的!

「特に気にも留めていなかったものが
裏側のストーリーを知ってから、気になり始めた。」

あなたにも、そんな経験があるのではないでしょうか?

今回は、僕が出会った“とある名刺入れ”のストーリーから、
“人はどんな時に物を買うのか”ということを考えてみます。

“物”が“語れ”ば売れていく

「名刺入れ、新しくしよう」

ふいに思いついた僕は、
インターネットで検索を始めました。

「どうせなら、人と違うものが良いな」

ぼんやりと、そんなことを考えながら、
様々な名刺入れを見ていきます。

革製、木製、漆塗りのものから
布製、紙でできたものなどなど…

“名刺入れ”という狭いジャンルでも、
そこには、たくさんの種類があります。

◯ 見た目の気に入ったもの
◯ 使いやすそう!と思うもの
◯ これなら“人とは違うなぁ”

と思うものも、たくさんありました。

でも、最終的に僕の心を動かしたのは、
「見た目」でも「機能」でもなく、
ひとつの「ストーリー」だったのです。

桐で出来た名刺入れ

その名刺入れは、京都の木工職人さんが
ひとつひとつ、丁寧に手づくりしています。

材料は、名刺入れには珍しい「桐(きり)」。

昔から、大事なものや高級なものをしまっておく
「桐箱」に使われるのと同じ木材です。

ここで、皆さんにひとつ質問です。

「なぜ、昔から高級なものは桐箱に収めると思いますか?」

ただの慣習ではないんです。
実は、そこにはきちんとした理由があるのです。

桐が持つ能力

まず、桐という木材は軽く、丈夫で
変形しにくいため、箱やタンスをつくるのに適している。

という「前提」があります。
ただ、それだけではありません。

桐の最大の特徴は「燃えにくい」ということ。

家が火事になったとしても、桐箱や桐箪笥(たんす)などは
表面が真黒に焼け焦げるだけで、中身は無事なのだそう。

昔は「火事」が最も恐ろしいものとされていたため、
火から大事なものを守ってくれる“桐”が重宝されました。

だから“大事なもの”は桐でできた入れ物に収めたのですね。
では、現代の僕たちにとって“大事なもの”って何でしょうか?

アイデンティティを守る

個人にとって最も大事なもののひとつに、
僕は“アイデンティティ”があると思います。

では、現代のビジネスマンにとって、
“アイデンティティを象徴するもの”とは何でしょうか?

それは、日本のビジネスマンならば、
誰もが持っている“名刺”ではないかと思います。

そんな“大切なもの”だから、大切に持ち運んで欲しい。

だから、京都の木工芸職人さんは、
桐を使って”名刺入れ”をつくりました。

この名刺入れを使うと、自分のことも、相手のことも、
ひとりの“個人”として大切に想うことができます。

「大切なアイデンティティを、桐箱に収める」

このストーリーに心打たれて、
僕はこの名刺入れを購入しました。

よくある話だと思いますか?

実は、ここからが
人間の心理として「オモシロイ」んです。

ストーリーは機能性を超える

僕が購入したこの名刺入れには、
ひとつ問題があります。

僕は「2つ折り名刺」という、
通常よりも分厚い名刺を使っているため、
この名刺入れにはなんと

たった[5枚]しか名刺が入りません。

そう、(僕にとっては)機能性が低いのです(笑)
(※注:普通の名刺なら15枚ほど入ると思います)

それでも、僕はこの名刺入れを気に入っていますし、
購入したことを全く後悔していません。

名刺交換をする度に、
この「物語」を伝えられることが嬉しいですし、
その物語の内容にとても共感しているからです。

人は何によって購入を決定するのか

心理学の世界では、こんな風に言われています。

「人は感情によって購入を決定し、理性で納得をする」

これは、どんな商品の購入場面においても
言えることだと思います。

そして、ストーリーという手法は、
とても人の心を動かしやすい。

今回“桐の名刺入れ”の物語を読んで、
「ちょっと欲しいかも!」と思った方も
いらっしゃるのではないでしょうか^^

なぜ、ストーリーが人の心を動かすかというと、
“説得”とは違い、“読み手の中”で
物語が進んでいくためです。

だから、物語が進むごとに、
商品との距離が近づいていくのです。

まとめ

もし、あなたの商品にストーリーがあるならば、
それをお客さんに伝えてみましょう。

そのストーリーが、お客さんの心を動かす、
協力な武器になるかもしれません。

「自分の商品には、どんなストーリーがあるだろう?」

本日はぜひ、そんなことを考えてみてください。

 

※この記事は、「Entre Magazine」のバックナンバーから抜粋しています。Entere Magazineの登録はこちらからどうぞ。

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