手付かずの大自然で気づいたこと
皆さん、お盆休みは何をして過ごしましたか?
僕は”世界自然遺産”に行って来ました。
一面に広がる、手付かずの大自然。
それは”一見”、平和そのもの。
でも実は、そこには
「生物同士の厳しい生存競争」があったのです。
そして、知ってみると、
これがまたおもしろい!
「生物界の生存競争」には
「企業の生存競争」にも通じる学びがたくさんあるんです!
今回は大自然で学んだ「生物界の秘密」から、
企業の”生き残り戦略”について考えてみます。
生物界に学ぶ、企業の”生き残り戦略”
日本には「世界自然遺産」が4つあります。
8月の半ば、その中のひとつを訪ねました。
東北にあるその場所は、「白神山地」と言います。
見渡す限り、手つかずの大自然。
沢の流れはどこまでも透明で、川底が透けて見えます。
流れに手を浸すと、夏なのに驚くほど冷たい。
そのまま、すくって飲むこともできます。
そんな場所を”マタギ”と呼ばれる方に案内していただきました。
マタギとは毎日山に入り、
”自然から頂いた恵みだけ”で暮らす人々。
毎日、生死をかけて自然と関わりあう
彼らはまさに”自然の専門家”です。
”マタギ”の方々のお話は、
また次回に詳しくお話しますね^^
マタギの方と共に歩くと、ビックリすることがあります。
自然が雄弁に、物語を語り始めるんです。
そこで思い知らされたのは
私たちは「本当の自然を知らない」ということ。
今回はそんな、知られざる「自然の姿」を
少しだけ、ご紹介します。
私たちの知らない、自然界の秘密
一見「平和そのもの」に見える生物の世界。
でも実は、そこには厳しい生存競争があります。
今回はその中から
「植物」の生き残り戦略を「3つ」ご紹介します。
お読みいただだければわかると思いますが、
それぞれの戦略は千差万別。
生き残りのために凝らされた工夫からは、
ビジネスの世界にも応用できる学びがたくさんあります。
果たして、その工夫とは…?
植物の生き残り戦略
全ての”生物”の目標は「子孫を残し、種族を繁栄させること」。
それは”植物”の世界でも同じです。
植物の場合、子孫とは「種子」のこと。
種子を「いかに遠くまで運び」、
また「大きく育てるか」を目標として戦略を立てています。
植物の戦略は「種子を残すために利用するもの」
によって大きく2つに分かれます。
A. 動物を利用する
B. 自然現象を利用する
それでは、それぞれの戦略を見ていきましょう。
1. ブナの場合
動物を利用した戦略をとる植物です。
ブナは毎年「おいしい実」を「たくさん」つくります。
この実はあらゆる動物に大人気!
すぐにすべて食べられてしまいます。
巣に持ち帰る動物もたくさん居ます。
でも、巣に蓄えた中では「おいしいもの」から食べられるので
おいしいブナの実は、やはりほとんどが食べ尽くされてしまいます。
「え、それは戦略ミスなのでは…?」
そう思いましたか?
実は、ここからがブナの賢いところなんです。
ブナは数年の周期で
「豊作の年」と「不作の年」を「意図的に」作ります。
多くの動物にとって「生命線」とも言える食物です。
不作の年には多くの動物が命を落とし、総数が激減します。
そして、次の年に「豊作」を持ってくる。
この年には、生物の数が減っているので、
巣に貯蓄された多くの実が「余り」ます。
そこで一気に、勢力を拡大するのです。
企業の戦略で考えると、
商品のリリース戦略などに応用できるでしょうか。
例えば海外のホビー業界に、興味深い事例があります。
クリスマス商戦などの繁忙期に
”わざと”目玉商品の供給量を制限し、別の商品を買ってもらいます。
海外ではクリスマス商戦が終わると、通常は閑散期に入るのですが、
ここで再び、目玉商品のプロモーションをかけるのです。
そうすると「クリスマスに”目玉商品”を買ってあげる」
と約束された子どもたちが、再び商品をせがみます。
一度約束した手前、親も買い与えざるを得ません。
結果として、閑散期に商品を買ってもらうことができます。
供給量に緩急をつける点が、ブナの戦略とそっくりですね。
2. トチの場合
こちらも、動物を利用した戦略をとっています。
そして、ブナよりも「ニッチ」を狙った戦略です。
トチは、ブナとは反対で「意図的」に実の数を「減らし」ます。
出来の良くない実を自ら落としていき、
「優秀な実」に養分を集中させる。
そして最終的に、
養分をたっぷり含んだ大きな実を数個だけ実らせます。
実は、この実はあまり美味しくありません。
だから、動物にも人気がありません。
でも、食べられないことは無いんです。
だから食べ物に困った動物や、
非常食としての用途で、動物たちが持って行きます。
あまり美味しくはないので、
他の食べ物がある間は食べられません。
つまり「食べられないまま残る」確率が高い。
そのとき、トチの実はその真価を発揮します。
トチの実は「たくさんの養分」を含んでいます。
その分、芽を出すと一気に成長できるのです。
「おいしいものをつくる」という
正攻法の戦略をとる「ブナ」に対して、
「おいしくない」という真逆のポジショニングを
とっているところが興味深い。
企業においても「大手競合の逆のポジショニングをとれないか?」と
考えてみると、活路が開かれるかもしれません。
3. サワグルミの場合
こちらは自然現象を利用した戦略を取っています。
サワグルミは「川辺を選んで育つ」植物。
名前の通り「クルミ科」の植物なのですが、
実はとても小さくて食べられる部分はほとんどありません。
食べてみても、おいしくありません。
当然、動物たちは全く興味を示さない。
では、どうするのでしょうか?
じつは、サワグルミの実は「形」に秘密があるのです。
小さな実を包む外皮には
薄く、大きな、羽状のものが付いています。
川辺を選んで育つサワグルミの実は
川に落ちる可能性が高い。
そのとき、この「羽」が沈むのを防ぎ、
より遠くまで身を運ぶことができるのです。
他の多くの植物が「どうやって動物に運んでもらうか」を
考えているのに対して、「河川」という「インフラ」を
利用しているのがおもしろい。
自然現象を味方につけているのです。
私たちの社会で考えると、「インフラ」は政界が司るもの。
どうにか「政界を味方にできないか?」
そういった視点も、新しい思考の切り口を与えてくれます。
企業の生き残り戦略
3つの植物を比べただけでもこれだけ、
戦略に違いがあります。
植物にとっての「動物」「自然現象」はそれぞれ、
企業にとっては「お客さん・協力会社」「インフラ」に当たります。
植物は「動物」と「自然現象」と関わりながら
どうやって「子孫を残すか」を考えています。
企業は「お客さん・協力会社」や「インフラ」と
関わりながら、「どう生き残るか」を考えています。
植物の戦略を”企業目線”で見ると様々な”知恵”が見えてくる。
人間よりもずっとずっと昔から
生存競争を生き抜いて来た植物たちです。
そんな「植物の戦略」から「経営戦略」を考える。
それもまた、ひとつの”戦略”かもしれません。
※この記事は、「Entre Magazine」のバックナンバーから抜粋しています。Entere Magazineの登録はこちらからどうぞ。
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