昨今、日本が直面する労働人口の減少は、今後拍車をかけていくことでしょう。つまり人口減少社会で企業が生き残っていくために、生産性向上、業務効率化は至上命題なのです。
今回は、前回ご紹介した業務効率化の効果を最大化するために使用するフレームワークであるECRS(イクルス)のEの部分を、日本を代表するトヨタの事例を交え、具体的に見ていこうと思います。
ECRS(イクルス)とは何?
マーケティング戦略を考える時に、3C分析や4P分析を用い、論理的かつ確実な戦略を構築するように、業務効率化においてもフレームワークが存在します。そのフレームワークがECRSです。それぞれの頭文字が意味することは以下の通りです。
- Eliminate(取り除く):業務をなくせないか?
- Combine(繋げる):業務を一つにまとめられないか?
- Rearrange(組み替える):業務実施の順序、方法を変更できないか?
- Simplify(簡素にする):業務をもっと単純にできないか?
下記の記事では、ECRSの原則が詳しく説明されているので、こちらもご参照してみてください。
今回は、Eの部分である業務の削減について、トヨタの事例から学んでいきましょう。
トヨタ流!業務をなくすための7つの視点
トヨタの業務効率化をECRSの図にしてみると上記のようになります。
トヨタでは、業務におけるムダをあぶり出すため、7つのカテゴリーに分け、業務を分類し、ムダを発見しています。
作りすぎのムダ
作りすぎのムダというのは、必要以上のものを作ってしまい、非効率になってしまうことや、適切なタイミングで業務を行わないことにより、ものが余ってしまうことを指します。
例えば、ECRSのEの部分だけを議論するミーティングがあるとして、そのミーティングのための資料作るとします。その時、ECRSすべてに関する資料は必要ありません。今回のミーティングではEの部分だけの資料があれば良いのです。
また、セミナーなどを開催する際、具体的な集客人数を確定する前から資料を印刷してしまい、大幅に資料が余ってしまうケースもこの作りすぎのムダにあたります。しっかり適切な量の業務を見極めましょう。
手待ちのムダ
手待ちのムダというのは、ある業務を行っている際、何かしらの原因で次の仕事に進めず、一時的に何もやることが状態を指し、時間をムダにしてしまっている状態を指します。
例えば、上司に資料の確認をしてもらいたいのだが、上司の予定を確認しなかったため、上司の外回りが終わるまで2時間近く待つはめになってしまう。
このような手待ちのムダを解消するには、自分が着手したい業務の進捗をしっかりと逆算し、上司の予定も把握することで、時間のムダなく、資料を確認してもらう時間をあらかじめ把握しておくことが重要です。
運搬のムダ
運搬のムダとは、付加価値を生まない歩行やモノの運搬、情報の流れを指します。
例えば、あなたの会社のオフィスにおいて、コピー機はどこに配置されているでしょうか。コピー機は毎日多くの社員が使うものだと思います。
そのコピー機が、社員のデスクからとんでもなく離れていたら効率が悪く、ムダになります。小さなことかもしれませんが、塵も積もれば山となるのです。オフィスのレイアウトも、今一度見つめ直してみましょう。
加工のムダ
加工のムダとは、主要業務の完成度、質の高さとは全く関係のない不要な作業を指します。
例えば、プレゼンテーションのためのスライドや資料を作る際、ムダにデザインに時間をかけ、質ではなく、見た目に凝るといったケースが考えられます。確かに、ある程度のデザイン性は必要かもしれませんが、質がいまいちにも関わらず、デザインに時間を多く割くのは非常に効率が悪いです。
担当している業務において、何が一番重要なのかの優先順位をつけることが重要です。
在庫のムダ
在庫のムダとは、必要のない書類や用具がオフィスの棚にぎっしり詰められていたり、デスクの上に散乱している状態を指します。
特に、デスク周りは、もう使わなくなった書類がそのままといったケースが多いのではないでしょうか。働く環境をしっかりと整えることで生産性は飛躍的に上がります。まず、身の回りの必要のない書類を整理しましょう。
動作のムダ
動作のムダとは、付加価値を生まない身体的な動きを指します。
例えば、営業での外回りの際、3社の企業に訪問するとします。その時、3社とも遠い場所に位置していたら移動の時間、動きが全くのムダになります。
動作のムダをなくすためには、同じエリアにある3社を選ぶことで移動のムダが省けます。こうした少しの工夫が積み重なり、大きな成果へと繋がるのです。
不良・手直しのムダ
最後に不良・手直しのムダについてです。不良・手直しのムダとは、修正ややり直しが必要な仕事のことです。
一度発生したミス、失敗を繰り返すことは非常に効率が悪いです。ですので、一度発生したミスの原因をしっかりと究明すること、そして今後同じ失敗が起きないようにマニュアル化や仕組み化をすることが重要です。
マニュアル化や仕組み化をする際、システムでの管理をすることをお勧めします。紙媒体でマニュアルを管理することも可能ですが、マニュアルはアップデートしていくことが望ましいので、そうするとクラウド上でマニュアルを管理できるシステムの導入が理想的です。
中小企業にとって朗報なのが、2016年度の補正予算でできた、生産性向上投資に対し、国からの支援を受けられる制度の発足です。この制度により、IT投資コストの3分の2まで100万円を上限に国が補助してくれます。さらに、中小企業のIT投資をサポートするための補助金、助成金制度もあります。
これらの国からのサポートを最大限活用し、IT投資に回す資金を確保しましょう。
おわりに
2060年には、今の労働人口の6500万人から4000万人にまで減るという驚くべきデータがあります。これは、日本が直面するもっとも大きな社会問題の1つでしょう。企業にとって人材を確保することがより厳しくなっていきます。
そこで今回取り上げた業務効率化のフレームワークであるECRSの法則を用いて、業務の無駄を明確化し、生産性を高めていくことが企業にとっては最重要事項なのです。今日から業務効率化に取り組みましょう。
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