投資家が企業を判断する際に用いられるROA(総資本利益率)。この指標は会社経営の効率性を判断できるため、投資家だけでなく経営者目線からも役に立つ指標のひとつです。
そんな、ROA(総資本利益率)が経営にどのような意味をもたらしているのか?今回は、ROA(総資本利益率)を見える化するメリットを紹介します。
会社経営に欠かせないROA(総資本利益率)についての理解を深めて、グローバル展開できる会社を目指していきましょう。
ROA(総資本利益率)とは?
ROA(総資本利益率)とは、総資産利益率または総資本利益率といいます。英語では、Return On Assetsといい「ROA」は頭文字をとった略称です。
総資本に対する利益率を表した指標のひとつで、収益性分析をする際に役立てられます。総資本でどれだけ効率良く稼げたのか理解することが可能です。ROA(総資本利益率)のパーセンテージは以下の計算式で導けます。
【ROA(総資本利益率)=当期純利益÷総資本×100】
基本的に1~2%が普通。5%前後で良い状態。10%を越えると優良な会社といえます。ただし、業界によってROA(総資本利益率)の水準は大きく異なります。そのため、業界水準を加味しながら理想の水準に近づけることが重要です。
さて、ROA(総資本利益率)が高い状態の場合、一般的に効率の良い経営が出来ているとみなされます。少ない資産でたくさんの利益を上げているため、内外的に評価の高い状態です。
しかし、ここで注意したいのがROA(総資本利益率)が高いからといって良い状態とは限らないということです。
ROA(総資本利益率)は、自己資本と他人資本関係なく、会社全体の資本に対する利益率の割合です。つまり、自己資本が少なく多数の負債を背負った状態でもROA(総資本利益率)は高くなってしまいます。そこで、ROA(総資本利益率)の高低のみならず、流動比率や当座比率などで安全性を分析することが重要とされています。
負債を背負った会社かどうか見極めるためには、ROA(総資本利益率)とともにROE(株主資本利益率)を見比べることが大切です。
ROE(株主資本利益率)は、株主資本を使ってどれだけの利益を生み出しているかを示す指標です。この2つの指標を見比べることで会社の全貌が見えてきます。
基本的には自己資本のみで経営効率が良い会社が理想的ですが、多くの会社は株主からの投資を受けながら、効率の良い経営を行っています。ただし、一部以下のような例外パターンもあるので覚えておくといいでしょう。
例えば、ROA(総資本利益率)が”5%”のA社とB社が存在します。この指標だけ見れば良い状態の2社だといえますよね。しかし、A社のROE(株主資本利益率)が5%。B社のROE(株主資本利益率)が10%だとすると見え方が変わってきます。
A社は自己資本を中心に利益を生み出していたのに対し、B社は株主からの投資を受けている状態ですが少ない自己資本で利益を生み出していました。この場合、B社の方が効率の良い経営が出来ているといえます。
ROA(総資本利益率)が高い状態にあっても、それよりもROE(株主資本利益率)が高い場合は、株主からの投資によって利益を生み出している会社の可能性が高いです。同じROA(総資本利益率)でもROE(株主資本利益率)と見比べることでどのような構造が理解できます。
どうすればROAを高めることができるのか。
ROA(総資本利益率)を高めるためには収益性と効率性を高める必要があります。実は、ROA(総資本利益率)は以下の計算式からも導き出せます。
【ROA(総資本利益率)=売上高利益率×総資本回転率×100】
日本の会社はROA(総資本利益率)が低い会社が多いです。その理由として薄利多売の経営戦略をとっている背景が考えられます。薄利多売の戦略を続けていると売上高利益率が下がり、収益性が低くなります。その結果、ROA(総資本利益率)も低くなります。
世界市場で生き残っていくためには、ROA(総資本利益率)が高い会社が理想的です。会社の強度を高めていくなら純粋にROA(総資本利益率)を上げる必要が出てきます。そのためには、ROA(総資本利益率)を見える化し、常に把握することが大切です。
そして、ROA(総資本利益率)を上げることでROE(株主資本利益率)も上がっていきます。有益な相乗効果を生み出し、より良い会社を築くことが重要です。
ROA(総資本利益率)を視覚化するメリットとは?
さっそく、ROA(総資本利益率)を見える化するメリットを確認していきましょう。今回は3つの重要なメリットを挙げてみました。
理想のROA(総資本利益率)に近づくことができる
自社のROA(総資本利益率)が分からないと、投資家目線でも経営目線でも不利益なことが多いです。まだ、自社のROA(総資本利益率)を把握できていない場合は、本記事の計算式をもとにパーセンテージを求めてください。
そして、基本的な指標であるROA(総資本利益率)のパーセンテージとともに業界水準のROA(総資本利益率)を把握することが重要です。
ROA(総資本利益率)を視覚化し推移グラフ等で確認できれば、いつでも数値を把握できます。理想の水準に近づけるためにどのような施策をとれば良いのか考えられるため、会社にとって有益なことが多いです。
会社の収益性や効率性を高められる
ROA(総資本利益率)は会社の収益性や効率性に左右される指標です。そのため、どちらか一方の数値が低いだけでもROA(総資本利益率)の数値に響いてきます。常に、自己資本を中心に収益性や効率性を高めることで高い水準でROA(総資本利益率)を保てます。
ROA(総資本利益率)を視覚化することで、会社の欠点を把握することが可能です。これまで、見て見ぬ振りをしてきた自社の実態を数値で把握することは問題の早期解決につながります。
長期的な経営戦略を見直せる
日本ではROA(総資本利益率)が低い会社が多いということは本記事中でも紹介しました。その理由が薄利多売による売上高利益率、つまり収益性が低いことにあります。ですが、実はROA(総資本利益率)が低くてもROE(株主資本利益率)が高ければ投資家の注目を集められます。
そのため、株主からの投資を受けていても対外的問題のない企業に見えることが多いです。しかし、安直な経営戦略に身を任せていると、長期的に会社が衰退する恐れがあります。ROA(総資本利益率)を高めることはROE(株主資本利益率)を高めることにつながります。
これからグローバルな会社として活躍するためには自己資本を中心として経営が求められます。少しずつでもROA(総資本利益率)を高めることで会社としての強度が上がります。
長期的に活躍したいならROA(総資本利益率)を見える化して常にモニタリングするように心がけましょう。
おわりに
ROA(総資本利益率)の重要性について紹介しました。投資家だけでなく経営者目線でも意識するべき指標がROA(総資本利益率)です。これから訪れるグローバル社会に対応するためにも、現段階からROA(総資本利益率)を意識した経営を行いましょう。
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自社をさらに成長させたいならいますぐにもROA(総資本利益率)を見える化しましょう。
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