中小企業が快適な経営を行うために重要なのがキャッシュフローの管理です。万が一、売上がゼロになったとしても、現預金があれば売上が回復するまで継続して経営できます。
今回は、そんな現預金と固定費について紹介。常に経営の動きを予測して備えておけば不測の事態にも対応可能です。
通常の経営にかかる固定費と現預金の関係について知って、未来の経営をより良いものへと変えていきましょう。
現預金固定費カバー月数とは何か?
我々の社会は絶えず変化を続けています。常に社会に合わせた動きが求められる経営において、どれだけ手元に現金を残すキャッシュフロー経営ができるかというのは今後の重要な課題です。
収益の安定性を上げるためには、固定収益を意識する必要性があります。収益の中には、「固定収益」「変動収益」が存在します。
「固定収益」は、毎月または毎年安定して計上される売上高のこと。顧客や軸となる商品の売上高によってもたらされます。この他にも、家賃収入なども安定して得られるため固定収入と呼ばれます。収益は経営に欠かせない要素で、固定収益のウエイトを高めることで企業として安定することが可能です。
「変動収益」はその名の通り、一定の間隔ではなくスポット的な売上高です。金額や時期などが安定していないため、基本的に変動収益を軸にして経営を進めることは難しいです。ただ、変動収益を固定収益に変える努力は怠らないようにしましょう。
経営の安定を図るためには固定収益をどれだけ高められるか?という点が重要です。そして、毎月の経営で発生するさまざまな固定費を固定収益でカバーできるようになると経営がスムーズに進みます。これを「固定費カバー率」と呼びます。
自社の経営の状態を見える化するためにも、現段階での固定費カバー率を求めておくことをおすすめします。固定費カバー率の求め方は以下の通りです。
【固定収益÷固定費=固定カバー率】
基本的に固定費を固定収益が上回っている状態なら、赤字ではないので経営が安定している証拠。そして、未来を見越して、常に固定費カバー率を引き上げていく必要があります。固定費カバー率が上がればそれだけ安定した経営を実現していることになります。
ここでもう一つ考えておきたいのが固定費が固定収益を上回った場合、つまり赤字状態になった時です。本来は赤字にならないように経営すべきなのですが、不測の事態が起きた際には避けられない課題となります。
その際には、どれだけ固定費を削減できるか?どの固定収益を上げればカバー率が上がるか?など対応策を考えておく必要があります。なかでも、「現預金固定費カバー月数」を把握することは安定した経営につながります。
「現預金固定費カバー月数」とは、簡単に言うと保有している現預金だけで何か月分の固定費をカバーできるかという指標です。企業の売上がゼロになった際に、どれだけ経営を継続できるか理解できます。特に、中小企業の場合はこのキャッシュフローの管理が重要です。
「現預金固定費カバー月数」が多ければ、一時的な経営の悪化があっても耐えることができます。企業としての体力を高めておくことで、問題なく経営を進めていくことができるのが「現預金固定費カバー月数」の利点です。常に、推移グラフでカバー月数を上げていくことで、安定したキャッシュフロー管理と経営が実現できるということです。
業態によって異なりますが、少なくとも月商の一か月分、安定したいなら半年分程度の現預金を持っていれば安心できます。キャッシュフロー管理を意識して安定した経営を実現しましょう。
現預金固定費カバー月数を視覚化するメリット
未来を考えた経営を行うなら、現預金の固定費カバー率は重要です。そこで、現預金固定費カバー月数を視覚化することによるメリットをご紹介。3つのメリットを知って視覚化を検討してみてください。
キャッシュフロー経営が実現できる
現預金固定費カバー月数を視覚化することで、キャッシュフロー経営が実現できます。例えば、現預金と固定費カバー率が分かりやすく示されたグラフがあれば、すぐに割合が把握できるのでより長期的な安定を望めます。
中小企業にとってキャッシュフローの管理は重要です。現預金で固定費をカバーできるように意識して経営すれば、自然とキャッシュフロー経営を実現可能です。万が一の際に対応できるように現預金固定費カバー月数を把握して、将来につなげていきましょう。
視覚化することで長期的な安定を実感できる
現預金で固定費をカバーする場合、少なくとも月商の1か月分、長期的には6か月分の現預金を保有するのが理想とされています。現預金固定費カバー月数を視覚化できれば、現預金と固定費の割合を常に把握可能です。
現預金の割合が多くなれば、自然とキャッシュフロー経営が実現できます。月商の半年分の現預金があれば、将来的にも安心できる数字です。
中小企業の大きなリスクヘッジになり得る
中小企業が安定した経営を実現するためには、利益よりも資金が重要になります。売上が安定してくれば資金繰りにも困りませんが、売掛金の回収に時間がかかってしまうことも多いです。そもそも、売上を安定させるには、固定収入を増やさなければいけません。
不透明な未来を予測しながら経営していくためにも、現預金は心強い味方になってくれます。万が一、売上高がゼロになっても現預金で固定費をカバーできるという事実はリスクを極限まで減らしてくれます。
中小企業こそ現預金の固定費カバー月数を知って、会社全体を意識した経営が必要となります。
まとめ:現預金固定費カバー月数は中小企業の味方
現預金固定費カバー月数について紹介しました。安定した経営の背景には、万全な備えがあることが多いです。現預金をしっかりと蓄えておき、万が一の際に固定費にあてがうことで、一時的な要因での売上高減少に対応できます。
現預金で固定費をカバーしている最中に、新たな対応策を考えることでショートを逃れることができます。中小企業こそ、キャッシュフロー経営を導入して、これからの経営を有利に進めていきましょう。
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