経営コラム, 見える化

【事例から学ぶ】競争のない世界を創る“ブルー・オーシャン戦略”とは?【中編】

 

はじめに

pexels-photo-117509 (1)競合他社との毎日の争いに苦労していませんか?利益がなかなか上がらず困っていませんか?それはもしかしたら自社の製品が他社の製品と同様のものを販売していたり、はたまた他社に自社の製品を真似されていたりするからかもしれません。そこで、競合他社とは何か違うものを作ろうと考えたことは幾度となくあるでしょう。しかし、実際にはどういう風に考えればいいのかが分からなかったり、考えることができたとしても製品レベルは向上していなかったりと悩まされてきたことでしょう。

そこで、今回は経営戦略の中でもブルー・オーシャン戦略を扱い、なぜ今ブルー・オーシャン戦略を取り入れるべきなのか、またどのように競争のない世界を創り上げるのかについて3回に分けて分かりやすく解説していきます。今回はその2回目です。前回の記事は下のリンクから見ることができます。

前回の復習

cellular-education-classroom-159844前回は主に、ブルー・オーシャンがどういうものかについて詳しく説明していきました。今回の記事を読んでいただくうえで、特に注目するポイントは2つです。

  • ブルー・オーシャン戦略は競争のない市場空間であり、顧客の新たな需要を掘り起こすものであるということ。
  • 低コストと買い手にとっての価値の差別化により「バリュー・イノベーション」が生まれるということ の2つです。

この2つを意識しながら記事を読み進めると、分かりやすいかと思います。

戦略キャンバスとは?

model-planes-airplanes-miniatur-wunderland-hamburg-163792戦略キャンバスとは、バリュー・イノベーションを成し遂げ、ブルー・オーシャンを創造するのに欠かせない分析フレームワークです。戦略キャンバスを描くことの目的は2つあり、

  • 既存の市場空間について現状を把握すること
  • 競合他社が何に投資しているか、各社が製品、サービス、配送などの何を売りにしているのか、さらには顧客はどのようなメリットを享受しているのかなどが理解できる

と「ブルー・オーシャン戦略」では定義されています。つまり戦略キャンバスでは既存の市場空間において企業のパフォーマンスが明確になるということです。

サウスウエスト_戦略キャンバス

では実際に、戦略キャンバスをサウスウエスト航空の事例を用いて見ていきましょう。サウスウエスト航空はアメリカの航空会社であり、LCC(ローコストキャリアの略。格安航空会社のこと)の先駆けとなった企業です。

サウスウエスト航空は、今までアメリカの移動手段としての飛行機の概念を覆しました。それは、1970年代のアメリカでは、

飛行機=長距離、短時間、高価格

高速バス=短距離、長時間、低価格

という状態で各航空会社が競争していたのですが、サウスウエスト航空は、

サウスウエスト航空=短距離短時間低価格

という短距離を短い時間でしかも安く行きたいと思っている顧客、つまり、高速バスの顧客に移動時間の短さという価値を武器に他社と差別化しました。

このグラフを見ると、サウスウェストが既存の航空会社と全く異なる曲線を描いていることが分かります。この曲線のことを「価値曲線」といいます。グラフの下に書かれたそれぞれの要素に対して価値曲線が上がったり下がったりしているのが分かると思います。ではこの価値曲線は何を基準に決められているのでしょうか。

4つのアクションとは?

amusement-park-europa-park-boot-park戦略キャンバスを描くうえで、新たなバリュー・イノベーションを生み出す基準として4つのアクションというものがあります。4つのアクションとは減らす、取り除く、増やす、付け加える、の4つがあり、

  • 減らす=業界標準と比べて思い切り減らすべき要素は何か
  • 取り除く=業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべき要素は何か
  • 増やす=業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か
  • 付け加える=業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素は何か

と「ブルー・オーシャン戦略」では定義されています。減らす要素と取り除く要素が何か考えることで、競合他社よりもコスト面で優位に立つためのアイデアが浮かんでくると思います。また、増やす要素と付け加える要素が何か考えることで、買い手にとっての価値を高め、新たな需要を生み出すためのアイデアが浮かんでくると思います。

では、先程のサウスウェスト航空の例を用いて、4つのアクションから派生した「アクション・マトリクス」として見てみましょう。取り除く→減らす→増やす→付け加えるの順に見ていきます。

サウスウエスト航空は、紙のチケットを廃止して座席を選択できなくしたり、この頃には少なかった地方空港を直行便でつなぐ(ポイント・トゥ・ポイント)ことにより、大胆にコスト構造を見直し、削減しました。また、思い切って低価格に設定したり、機内食を水とピーナッツだけにしたりといらないところは完全に削減しました。

また、低価格に抑えたとはいえ、顧客の満足度が高かったり、移動時間を短くすることによって価値を増やしてみたり、ほとんどなかった地方空港同士の直行便を付け加えたことで大幅に顧客価値を上昇させました。

サウスウエスト_アクションマトリクスサウスウエスト_戦略キャンバス

もう一度戦略キャンバスの図を見ていただくと、サウスウェスト航空の戦略キャンバスは、この4つのアクションから派生したアクション・マトリクスによって決定づけられていたことが分かります。このことからサウスウェストは航空業界の常識であった要素を減らす、取り除くことによって低コストを実現し、また航空業界にはなかった、できなかった要素を増やす、付け加えることによって他社との差別化に成功したのです。

まとめ

ここでバリュー・イノベーションのチャートを再掲して4つのアクションとバリュー・イノベーションを対応させてみたいと思います。サウスウエスト航空は業界の常識、標準から大胆に取り除く、減らすというアクションを行うことによりコストを押し下げることに成功しました。また、業界の標準や今までなかったものを増やす、付け加えるというアクションを行うことにより、顧客にとっての価値を押し上げることに成功しました。このように、バリュー・イノベーションを起こすことでブルー・オーシャンを創り出すことに成功したのです。

サウスウエスト_バリューイノベーション

<参考:ダイヤモンド社「ブルー・オーシャン戦略」W・チャンキム、レネ・モボルニュ>

おわりに

pexels-photo-94610今回の記事では、ブルー・オーシャン戦略の中でも有名な事例であるサウスウエスト航空の成功事例を見ていただきました。前回の説明の記事と、今回の事例に照らし合わせた記事をよく見比べてみてください。そうすると、ブルー・オーシャン戦略の本質が見えてくると思います。次回の記事では、よりブルーオーシャン戦略を理解していただくために、日本の事例も交えながら3つ紹介していきます。下に次回の記事のリンクを貼っておきます。

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