経営者インタビュー

「スタートアップの採用成功はトップが握っている」―スローガンアドバイザリー志村 麻美&川野 真太郎

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ベンチャー企業の採用成否を分けるのはなにか? 10年以上ベンチャー企業の採用を支援し続け、業界ではトップランナーとの呼び声も多いスローガン社。昨年、キャリア支援に特化したスローガンアドバイザリーを設立。数多くの採用活動を支援してきた同社にスタートアップベンチャーの採用要諦をお伺いすべく代表の志村麻美氏と取締役の川野真太郎氏のお二人に取材を申し込んだ。

志村 麻美 氏(写真左)

スローガンアドバイザリー 代表取締役

2001年早稲田大学法学部卒業。同年株式会社インテリジェンス入社。人材紹介事業部においてキャリアアドバイザーとして転職支援に携わる。2006年に株式会社I&Gパートナーズ(現株式会社アトラエ)に参画。Greenの立ち上げに携わるとともに、同社人材紹介事業部を牽引。2011年にこれまでの経験を活かし、独立。株式会社シンクセレクトを設立。クライアントは主にIT、ネット系ベンチャー企業。これまで15年以上にわたり人材紹介事業に携わってきた結果として、転職相談者数は累計5000名を超える。2016年10月、長くパートナーとして外部から一緒に仕事をする中で、その考えに共感をしたスローガングループへの参画を決め、スローガンアドバイザリー株式会社代表取締役に就任。

川野 真太郎 氏(写真右)

スローガンアドバイザリー 取締役

明治大学法学部に入学後、司法試験の準備を進め、法律を中心に勉学に励む。その後、スローガンに参画し、営業活動に従事。ベンチャー企業を中心に、数多くの企業のリサーチとヒアリングによって、優良ベンチャー企業の発掘と経営者とのリレーション構築に貢献する。数多くのベンチャー経営者と会ってきた経験から、ベンチャーの成長にいかに貢献するかを考えた商品企画・マーケティングについても知見を深める。入社以来、営業部門のマネジャーポジションを歴任し2012年4月より執行役員に最年少で就任。新規事業(キャリア採用支援サービス)の事業責任者を経て、2016年よりスローガンアドバイザリー株式会社取締役に就任。広島市立基町高校出身。

1.スローガンアドバイザリーとは

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―まずは、お二人のご経歴について教えてください。志村さんからお願いします。

志村― 2001年に大学を卒業してから、一貫してキャリア支援に携わってきました。インテリジェンス、I&Gパートナーズ(現アトラエ)を経て、独立。シンクセレクトの設立からスローガンアドバイザリーの代表就任に至るまで、16年以上に亘り、HRの領域で人と企業のマッチングを行ってまいりました。

 スローガングループとは、独立してから5年間ずっと外部パートナーとしてお付き合いをしていました。パートナーとして一緒にお仕事をさせていただく中で、スローガンであれば、私の考える「あるべきHRビジネスの姿」を一緒に実現できると感じるようになり、また「才能の最適配置」というコンセプトにも強く共感し、2016年にグループへのジョインを決めました。

―ありがとうございます。では次に川野さんお願いします。

川野― 2008年の春頃、スローガン代表の伊藤がまだ1人で経営していた時代にインターンとして参画して今日に至ります。ですから、社内ではかなり古参メンバーですね(笑)

 私は創業事業の「新卒採用支援事業」で営業組織の立ち上げからマネージャーまでずっと経験してきました。新卒採用支援事業の拡大と並行して、スローガンとしてよりクライアントの課題に広く深く応えていくため「中途採用支援事業」に本腰を入れることになり、志村と共にスローガンアドバイザリーを設立し、現在は取締役を務めています。

―スローガンアドバイザリーの事業コンセプトを教えて頂けますか?

志村― スローガングループは「優れた才能・人的資本を最適に配置する」をミッションに、新興成長企業と意欲ある若い世代をつなげる土壌を10年以上つくってきました。

 スローガンアドバイザリーも、今後5年、10年と大きく成長していくであろうポテンシャルを秘めた産業領域にフォーカスして、その中でも魅力ある企業を厳選してご紹介しています。クライアントの企業フェーズは、シード・アーリーステージが中心であり、設立間もないスタートアップも多い点が特徴です。具体的なサービスとしては「Goodfind Carrerを運営しています。「Goodfind Carrer」では私たちが実際にお会いする中で「これぞ」と思う企業だけを掲載し、ベンチャー企業で新たなチャレンジを志す意欲的な個人の方にキャリア面談を通じてご紹介していますが、クライアントのビジネスモデルや今のフェーズを深く理解し、次のステージにおいて必要な人材をいち早く把握するように努めていることから、一般的な転職サイトには掲載されていないようなご紹介が可能であり、結果として弊社ならではのマッチングの実現につながり、個人の方やクライアントから信頼頂けているのではないかと思っています。

―キャリア相談に来られる方の特徴は?

川野― 相談に来ていただく方は、学生時代「Goodfind」をユーザーとして活用されていた方も多いのですが、一度は大手企業に行ってみたものの、働き方に違和感を感じたり、ベンチャーであっても思いのほか仕事が物足りなかったり、理由は様々ですが「本当にエキサイティングなベンチャーを見つけたい」と思った方が相談に来られます。「ベンチャー企業への転職・就職はスローガンに来れば、間違いのない選択ができる」と多くの方に期待していただけていると思うので、今後もその期待に応えられるように信頼を積み重ねていきたいと思いますね。

2.スタートアップは「最初の10人」で成否が決まる?

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―さて、早速スタートアップの採用についてお話をお聞きしたいと思います。スタートアップが成功するかどうかは「最初の10人」で決まる、という言葉がありますが、お二人のご経験と照らし合わせていかがでしょうか?

志村― 正しいと思います。創業フェーズにおいては、チームワークが重要ですし、一人ひとりの与えるインパクトが大きいため、慎重に判断をするべきだと思います。たとえば、人材戦略で世界的に成功しているGoogleを例に出すと、応募者によってはおひとりの方と20回以上もの面接を行い、今一緒に始めることが本当に双方にとって良いことなのかを徹底的に見ていたそうです。

川野― 「最初の10人」の話で重要なのは「誰を採用するべきなのか」というだけでなく「誰を採用してはいけないのか」という議論も予めセットで真剣に考えておくべきということですね。

 私はスキルフィット以上にカルチャーフィットを重視することが特にアーリーステージまでのベンチャーにおける採用の成否を決めると思っています。

 スキルは優れているが、人格的に自社に合わない人を創業期に採用してしまい、創業チームが崩壊してしまう例なども実際多く見かけます。ただでさえ忙しい創業期では人に関するストレスはできる限り排除すべきだと思っていて、根本的な価値観が近いメンバーで構成された組織であれば事業を推進されること以外の余計なコミュニケーションは減るし、組織の意思決定もスピーディーになります。

 スキルは、クラウドソーシングなどの発達で、以前より簡単に外部から調達できる時代ですし、拡大・組織化を本格的に開始するまでは、スキルよりも近い価値観を持ったメンバーを中心に採用すべきだと思います。

志村― スキル偏重で中途採用を加速させたものの、結果として成果につながらず、定着に至らなかったという例はよく聞きます。だからこそカルチャーフィットが大切ということですね。

そこで、カルチャーフィットはなにかということを立ち止まって考えてみると「ベンチャーでの働き方にフィットするか」と「組織にフィットするか」の2つがあると思っています。ここは分けて考えるべきだと思っています。

前者からお話すると、ベンチャーでは、決まりきった仕事を任されるということは少なく、事業の変化の中で全体を考え、自らの強みを生かしつつも、それに固執することなく、互いを支えあうことが求められます。

 よく言われる話ですが、「ポテンヒットを誰が拾うのか?」。成長が著しく、変化の過程にあるときには、多くのポテンヒットが生まれます。その時にこれは自分の仕事ではない」とお互いが相手に任せきってしまって、お見合いをしてしまうようでは困ってしまいます

 そんな時に、事業、サービス、さらにはその先にあるクライアント、ユーザーのことを想い、今できることを考えられる人、さらにそこにチャンスがあると一歩前に出ることができる人がいるチームは強いです。「Aしかやりたくない!」というのではなく、「Aを大切にしつつも、いろいろなことに携わっていきたい」という発想を持てる人を採用をすること、そう思える組織を創ることがとても大切だと思います。

川野― 大手企業などの整っている環境と違って、泥臭い仕事もしなければいけないのがベンチャーですからね。特に創業フェーズであれば尚のことでしょう。たとえCFOといった肩書でも創業フェーズで経理担当も十分にいない中で「領収書の糊付けとか自分の仕事ではない」と言われると笑えません。

 スローガンでは「不確実耐性」と表現していますが、スタートアップはうまくいかないことが多いし、赤字だったり、結果がはっきり出ていない状況が続きます。もし不確実耐性が低い人が組織にいると、うまくいかない隙をついて「自分の経験からこれは違う」とスキルや経験を盾に、今まで地道に積み上げてきたことを否定したり、周囲をネガティブに巻き込んだりしてしまうことがあります。ですから「不確実耐性」がある方なのかどうかは必ず見極めた方が良いですね。入社した後もベンチャーで働くことの価値観については定期的にすり合わせておいた方が良いでしょう。

―組織うんぬんの前に「ベンチャーの働き方にフィットしているか」を見極める必要があるということですね。では次に「組織へのフィット」を見るポイントを教えてください。

川野― 組織カルチャーは、言うなれば組織内の「暗黙の了解」から始まります。最初は「この人は合いそうだな」と感覚的な判断も外れないことも実際多いですが、人数が増えていくに伴って、きちんと「言語化」して可視化しないと、組織へのフィットをはかる尺度がそもそも社内に無い、ということに。それだと問題なので「暗黙の了解」を「文章化」していく作業をします。具体的には「ミッション」「ビジョン」「バリュー」や「クレド」をつくっていくことになります。

―「ミッション」や「クレド」で組織カルチャーのフィットを見ると。どのタイミングでつくるべきでしょうか。

川野― 個人的には初期から時間を割いて取り組んだ方が良いと思います。スローガンの例ですが、創業当社から代表の伊藤が明確なミッション・ビジョンを掲げており、創業メンバーも縁故だからといった理由ではなく会社の方向性に共感して入社を決めています。結果としてすごくミッションやクレドを大切にする社風になっていますし、採用でも共感度に比重を置いて判断するようにしているので、スクリーニングの一つとして機能しています。

志村― 私たちもそれに倣い、会社設立にあたってスローガンアドバイザリーとしてミッションを考える機会を持ちましたが、その過程で相互理解が進み、「暗黙の了解」が共通言語化されることで、今すべきことがクリアになりましたし、スムーズに物事の判断がなされるようになったと感じています。

― 組織に投資をしないとどうなるのでしょうか

志村― よく言われているのは「30人の壁」問題ですね。20人~30名弱までは、努力することでトップが1人で全メンバーの状況を把握したマネジメントが可能ですが、やはり30人を超えてくるとそれも難しくなります。マネジメントのやり方自体を変えざるを得なくなってきます。

 事業を成長させるためにもより多くの人の力が必要となり、組織を拡大するのであれば、組織の柱となる人材を信じ、彼らに裁量を任せ、「自走できる組織」を育てていく必要があります。目指すべきものを示しつつも、メンバーが自ら考え、行動できるような組織を創らなくては、すべてがトップの判断なくしては、動かないという状況になってしまいます。

川野― 組織に投資をしている企業・していない企業は、うまくいっている時は大きな差は見えづらいかもしれませんが「成長の踊り場」に来た時にまったく違う結果になると感じています。

 残念ながら、うまくいかなくなった途端に社員が離反してしまう会社は、経営者が事業成長にフォーカスするあまり、組織づくりへの関心が低く、カルチャー形成に投資できていないケースや、組織と採用に一貫性が無くいい加減に採用してしまっていたケースによく見られますね。ベンチャーではよく起こりがちな失敗です。

志村― ただ一度うまくいかなかったからといってそれで終わりではないですし、そうした壁にぶつかった時に経営者自らが謙虚に現状を受け止め、変革を恐れない強さを持って取り組むことで組織は変わります。改めてどういう組織を創るべきなのかを見つめなおすタイミングでもあるので、微力かもしれませんが、短期的な採用の有無に関わらず、そうした時に組織作りからご相談にいただける存在でありたいと思っています。

3.採用したい人を魅了する方法

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―これまで数多くの採用活動のお手伝いをされていると思いますが、採用に強いベンチャーの特徴を教えてください。

志村― 欲しい人を採用できる会社は「魅了することが上手」なのだと思います。では、魅了するためのポイントは何かといえば2つあります。「事業の意義」「具体的な未来を話すこと」の2つです。

 採用に強いベンチャーに共通して言えることは、「自分たちの事業をわかりやすく伝えることができる」こと、「自分たちの事業の成長による未来を語ることができる」ことだと思っています。

 1つめの「自分たちの事業をわかりやすく伝えることができる」ですが、当たり前のことのように思われるかもしれませんが、新しい産業領域において、これまでにないビジネスモデルを展開する企業は、社外の方から見るとイメージが付きにくいこともあります。またマネタイズという意味のビジネスモデルだけではなく、その事業が誰に何を提供するためのものなのか、その意義をストーリーを持って伝えられることも重要です。実は想いある、気概ある優秀な方ほど自らの関わる事業の意義を大切にされるからです。また川野が話したように組織へのロイヤリティはこの点であることも多く、おのずとカルチャーフィットする方にリーチすることにもつながります。

 また、これからの事業において今この瞬間を輪切りにしてしまうと、まだ何者でもないこともあります。その時に「自分たちの事業の成長による未来を語ることができる」かどうかは採用の成否を分けるといっても過言ではありません。その事業が伸びることで世の中はどう変わるのか、大きなことでなくともかまいません、そのサービスを導入した企業が、そのサービスを利用するユーザーが今よりもより良い何かを得られる姿をイメージできるかどうかは入社を考える方が一歩足を踏み出す上でとても大切なことです。

 なかなか難しいことかもしれませんが、これらをできうる限り数値を交えてお伝えすることも必要です。どんなによい未来でもそれが絵空事と思われてしまっては意味がありません。やはり組織の中心となる方を採用する際には、市場動向を踏まえ、上記実現のための具体的なロードマップがあること、それを地に足を付け実現するための考えがあることは重要だからです。

 ただ、入社をする方はそれで安心をするのではなく、その未来が実現できるかどうかは自分にかかっているというスタンスで飛び込むべきだとも思います。初期の採用では、これぞと思える方にお会いできることは少なく、お話をした結果として採用に至らない、もしくはお断りを頂いてしまうこともあるかもしれませんが、こうした地道な、真摯な採用活動は、結果として社外にファンを創ることにもなると思っています。

川野― 応募者に数値で説明できる会社は、社内でも経営の情報がオープンになっている会社が多いように思います自社の「透明性」が高い会社なのかどうかをセルフチェックした方がいいですね。というのも、経営指標が透明化されていない組織にありがちなのが「決める側」と「動く側」で完全に分断されていること。そうなると、従業員にとって、会社が自分ごとでなくなってしまい、ベンチャーで働く醍醐味がなくなってしまうからです。

―エージェントから見て「紹介しやすい会社・しにくい会社」を教えてください

志村― 紹介しやすい企業という表現が適切かはわかりませんが、事業自体、組織自体のお話からできるところでしょうか。ただ単に自社で作成した求人票に記載されているような定型的な情報だけでは、本当に必要な人材像がイメージできないことも多く、今の事業、組織の状況からなぜその採用を考えているのかという背景がわかることで、ミスマッチが少なくなると思っています。

 また冒頭でお伝えをした弊社の特徴でもありますが、上記のような情報がわかることで、まだ求人票になっていないようなポジションでも、その企業のフェーズから必要と想像される場合には、こちらから「こういうご経験の方はどうでしょうか?」とご提案することもできます。特にベンチャー企業においては、今、短期的に必要な人材に目が行きがちですが、未来をつくるために採用をしておくべき人材もあると思っていて、そのあたりも含めてご提案できることがエージェントの価値でもありますので、この辺りをざっくばらんにお話できる会社はお話が進みやすいというのはあると思います。

 また、選考プロセスで「どういう観点で人をみているか」を面接後に、言語化して共有いただけると、その情報はありがたいです。特にカルチャーフィットが重要なフェーズではそうしたコミュニケーションの中でよりフィットした人材のご提案ができると思っています。

 信頼の証としては嬉しいのですが、経営者の方から「スローガンアドバイザリーの良いと思う人であれば会いますよ」とおっしゃっていただけることもあるのですが、それに甘えてはいけないと思っていますので、厳しいフィルターを通してしっかり見極めてフィードバックしてほしいとお願いをしています。

川野― 「落とすための活動をしている会社」はジャッジの要素が先行していて、そもそも候補者への十分な訴求ができていないため、有望な方であっても辞退されてしまうケースが多いです。優秀な人を採用しようと思うほど、採用ターゲットに対する自社の魅力を選考プロセスにおいても高める努力は欠かせません。あまりその人を判断する上で意味の無い形式的なハードルを設けるなど、機会損失が起きていないか、ぜひ見直して頂けると良いと思います。

―採用広報の意義について教えてください

川野― 重要だと思いますね。伊賀泰代さんの「生産性」にも書かれていますが、最も生産性の高い採用活動は、母集団1名に対してその1名が自社にとってベストな人材という採用活動です。そういった意味で、入社前にどんな人が中で働いているのかを見せることは有効だと思いますし、具体的に仲間になる人の顔が見えたほうが応募もしやすくなります。自分たちが採用したいターゲットに対して、自分たちの手で正しく訴求していくことが、結果として自社にフィットした応募者をスクリーニングすることにも機能していますね。

志村― やはり会社が知られていなければ応募してもらうことはできませんので、自分たちがどんなことを考え、どんなことをしているのかを発信していくことは大切ですね。弊社も企業の方に代わってその企業の魅力をお伝えをしておりますが、やはり皆さんコーポレートサイトはご覧になられますので、創業期はついつい後回しにしてしまいがちですが、せめても会社の玄関としてコーポレートサイトだけでも初めて見た方に伝わりやすい、自社のイメージが伝わるようなものにしておくことをお勧めします。

4. 本気な会社はトップが自ら採用にフルコミットしている

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―トップは採用にどのくらい時間を使うべきでしょうか

志村― 採用は創業期において経営者にとって非常に大事な仕事だと思います。本当に優秀な人を採用したいのであれば、経営者自ら時間を使うべきだと思います。

川野― トップ自らはすごく重要ですね。創業期から人事スタッフに任せきりで経営者があまり採用の場に出てこられない企業では本当に優秀な方は採用しにくいと思います。中には5割以上の時間を採用に投じている経営者もいらっしゃいますが、結果的に事業の多くの部分を任せられる優秀な人が採用できれば十分にペイします。

志村― 一例ですが、本当に採用したい人を採用するためには、どこにでもいくという経営者の方もおられます。遠方にお住いの応募者の方を採用するために赴くことも厭わず、土日の予定を融通してお話をされる機会を設けたことで、その熱意と誠意に惹かれてご入社をを決めた例もありました。あくまで特別な例ですが、ベンチャー企業に飛び込むということは個人の方にとって勇気のいることです。応募者の方がいろいろとお話を聞いて、頭ではわかりつつも最後の一歩を踏み出すべきか悩んでいた場合、本当に採用したいと思うのであれば、強く手を引っ張ることも必要です。

川野― トップ自らを体現した、素晴らしいケースだったと思いますね。場所もそうですし、スケジュールの融通も極力フレキシブルにすることをお勧めします。大企業だと土日に面接を入れないので、土日、深夜、早朝など融通をきかせるといった所からスタートアップは差をつけていくべきです。

―最後に「採用」に悩む経営者に一言お願いします!

志村― 採用活動は、決して楽ではありませんが、誰を採用するかで会社の未来は変わります。また採用に至らなかった人との出会いの中で気づかされることもあれば、またお会いした方が結果として自社のファンとなり、将来的なビジネスパートナーとなることもありますので、できうる限り経営者の方には採用に深く関わって頂きたいと思っています。また我々エージェントは短期的な採用はもちろん、その事業の成功に向けて組織を創る上でのパートナーでありたいと思っています。組織の成長の過程で採用も変化していきますが、そのタイミングを見極めることもまた難しいと思います。いろいろな企業の様々な変化をみてきたからこそお伝えできることもあるかもしれませんので、どんどん巻き込んで頂きたいです。

川野― 忘れてはならないのが、採用活動は経営戦略に紐付いているということ。過去から未来につながる自社のストーリーにおいて、その時々で必要な人を採用できたかどうかが大切です。東大出身者が採用できた!と喜ばれる企業もいらっしゃるのですが、本当にその人が「採るべき人」なんだっけ?ということが棚に上げられているケースが結構あります。採れる人より「採るべき人」を意識しようということですね。

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― ありがとうございました!

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