経営を仕組み化することは、より安全に会社を経営するために必要不可欠な活動です。前回の記事では、仕組み化で意識すべきゴールについてお伝えしました。
それでは、経営者はどのように仕組み化に取り組めばいいのでしょうか?
今回の記事では、仕組み化するための具体的なステップをお教えします。
仕組み化の3ステップ
仕組み化には①仕分け→②仕組み化→③メンテナンスの3つのステップを踏む必要があります。
順番に詳しく説明していきます。
ステップ1 「仕分け」
仕組み化するためにまずやらなければならないことは、仕事の「仕分け」です。仕組み化すべき仕事を探して、明確にしましょう。
ここで重要なのは、「社長の仕事」の「仕分け」から取り組むということです。なぜなら仕組み化は、スタート時点では「社長が取り組まないと進まない」ことが多いからです。まず最初に、社長が仕組み化に取り組む時間を作りましょう。
それでは、どのように仕事の仕分けを行えばいいのでしょうか?私たちがおすすめするのは、仕事の「重要度」「頻度」「緊急性」の三要素から仕事の優先順位を割り出すことです。
最も仕組み化しやすく効果的なのは、「重要度が低くて頻度が多い仕事」「緊急性が低くて頻度が多い仕事」「重要度が低くて緊急性も低い仕事」です。
まずは、自分の仕事を分析し、上記3つの仕事に多くの時間を奪われていないかチェックしてみましょう。自分の仕事を分析することは厳しいことかもしれませんが、将来「ラク」をするために、キッチリ確認しておきましょう。
ステップ2 「仕組み化」
仕事の仕分けが終わったら、実際に仕組みを構築していきましょう。仕組み化というと難しく考えてしまいがちですが、最初は5つの簡単な要素を決めるだけで大丈夫です。
【仕組みの5つの要素】
① 「何を」
② 「だれが」
③ 「いつ」
④ 「どうやって」
⑤ 「チェックの方法」
この5つの要素を決めるだけで、経営は飛躍的に安定します。
ここでのポイントは、入り口と出口を強制力のあるものにすることです。多くの場合、④の「どうやって」ばかりを考えてしまって、実際にそのアクションを「やりはじめるキッカケ」と「終了時のチェック」を明確に設定できず、「仕組みは作ったけど実行されていない」という状態に陥ってしまいます。
仕組みを実践し続けるためにも、やりはじめるキッカケ(入り口)と終了時のチェック(出口)を明確に設定しましょう。
例えば、ある仕事を始めないといけない1日前にリマインダーのメールが来て、それに返信しないと上司に報告がいくような仕組みにすると、やらないといけない状況を作りだすことができます。
ステップ3 「メンテナンス」
仕組みの効果は実践してみないと分かりません。まずは運用してみて、改良点が出てきたらメンテナンスを行い、改善してきましょう。
徹底したマニュアル化など、「仕組み化」によって経営赤字から脱却したことで知られる無印良品では、仕組みのメンテナンスに特に力を入れています。
例えば、店頭のディスプレイの仕方や商品名のつけ方、さらには出店の可否判断の仕方まで、全ての仕事のノウハウが詰まったマニュアルMUJIGRAM(ムジグラム)。このMUJIGRAMの特徴は、現場で働くスタッフが「こうだったら、いいのに」と思ったことを吸い上げ、毎月改善点が盛り込まれる、「進化し続けるマニュアル」であるということです。
仕組みを機能させるには、一度作った仕組みに固執することなく、改善し続けることが重要です。
仕組み化を加速させるためにやるべき2つのこと
社長が仕組み化に取り組んで、一定の流れができてきたら、次のステップに移行します。チーム全体で仕組み化に取り組む仕組みを作って、仕組み化を加速させましょう。仕組み化の「仕組み化」をするのです。
この仕組み化の「仕組み化」を進めるために、経営者がすべきことをお伝えします。
マニュアル(手順書)テンプレートの作成
社員が使う仕組みは、ボトムアップで作る必要があります。社員が仕組みを作れるように、5つの要素を明確にしたテンプレートを作成しましょう。それを社員に配り、仕組みを考えてもらいます。ここで大切なのは、仕組みを作った人を評価する仕組みです。
ユニークな経営で圧倒的な利益率を誇る未来工業では、改善案を提出した人には、それがどんなものでも参加費500円を出しています。ですから、社員からどんどん改善案が出てくるのです。
社員が自発的に仕組みを作れるような仕組みを作ることで、仕組み化を加速することができます。
社長不在の日を作る
仕事の仕組み化に取り組んだ経営者の方は、以前よりも効率よく仕事を進められるようになっているはずです。これまでの記事でもお伝えしている通り、仕組み化のゴールは「社長がいなくても日常業務が回る体制を作ること」。未来のことを考える時間を確保するためにも、社長は成長段階のどこかの時点で日常業務から離れなければなりません。
それでも「社長が不在でも日常業務が回る体制をつくってから不在にする」と考える方は多いかと思います。しかし、それだといつまで経っても実現しないということが起こりえます。ですから、最初に不在にすることを決めてしまうのをおすすめします。
最初に社長不在日を決めてしまい、そこから逆算して何を仕組み化するべきなのかを考えて実践するのです。そうすると、仕組み化発想が生まれやすくなります。
まとめ
以上、仕組み化するための3ステップと、仕組み化の「仕組み化」をするために必要な2つのことをご紹介しました。経営を安全にするために、明日からにでも仕組み化に取り組んで頂きたいと思います。
最後に、良い仕組みをつくるための最大のコツをお伝えします。それは、「人を信じない」ということです。人の不安定性を補うために仕組みは存在するので、人の安定性を前提にしては意味がありません。寂しく聞こえるかもしれませんが、人を信じて作った仕組みは機能しないのです。
「これくらいできるだろう」という期待は持たず、冷静に仕組み化に取り組むことが、仕組み作りのポイントです。ぜひ、取り組んでみてください。
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