仕組み化, 経営コラム

健康経営が勝敗を分ける時代?健康経営を成功させ、会社を成長させる極意とは

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昨今、健康経営話題に取り上げられてきています。なぜなら従業員の個人健康が企業の健全な運営と直結する時代だと考えられているからです。

糖尿病予備軍の多い会社と、健康の人が多い会社どちらが活力があるのでしょうか。また、メンタル不調者が多い会社と、精神的に健康な社員が多い企業、どちらが活力があるのでしょうか。そこで、今回は健康経営についてお伝えします。

健康経営とは

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「健康経営」とは従業員の健康に配慮した安全な職場環境を整えることで、従業員一人一人の業務効率を高め、企業全体の労働生産性を上げる経営戦略のことです。つまり、「健康経営」とは、従業員が健康でいること自体、企業の収益向上に貢献するという考え方です。

歴史的には、1992年に出版された「The Healthy Company」の著者でアメリカの経営学と心理学の専門家ロバート・ローゼン(Robert H. Rosen)氏によって提唱されました。

「社員が健康でいることこそが収益性に優れた企業を作る」を意味する「ヘルシー・カンパニー」という思想が、日本においては「企業経営と従業員の健康管理の両立を目指す」という目的のもとに広がり、「健康経営」と呼ばれるようになったのです。

NPO法人健康経営研究会では「健康経営」を商標登録し、以下のように定義しています。「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを指します。

現在行政でも、また大手企業でも強力に推進している考え方です。2015年度から始まった「健康経営銘柄」は、従業員への健康保持・増進活動を推進する企業を、経済産業省と東京証券取引所が共同で認定したりしています。2015年度は22社、2016年度には25社が認定されています。

【2015年「健康経営銘柄」22社】

アサヒグループホールディングス:食料品
東レ:繊維製品
花王:化学
ロート製薬」医薬品
東燃ゼネラル石油:石油・石炭製品
ブリヂストン:ゴム製品
TOTO:ガラス・土石製品
神戸製鋼所:鉄鋼
コニカミノルタ:電気機器
川崎重工業:輸送用機器
テルモ:精密機器
アシックス:その他製品
広島ガス:電気・ガス業
東京急行電鉄:陸運業
日本航空:空運業
SCSK:情報・通信業
丸紅:卸売業
ローソン:小売業
三菱UFJフィナンシャル・グループ:銀行業
大和証券グループ本社:証券・商品先物取引業
第一生命保険:保険業
リンクアンドモチベーション:サービス業

【2016年「健康経営銘柄」25社】

住友林業:建設業
ネクスト:サービス業
サヒグループホールディングス:食料品
ローソン:小売業
ワコールホールディングス:繊維製品
花王:化学
塩野義製薬:医薬品
テルモ:精密機器
コニカミノルタ:電気機器
東燃ゼネラル石油:石油・石炭製品
ブリヂストン:ゴム製品
TOTO:ガラス・土石製品
神戸製鋼所:鉄鋼
リンナイ:金属製品
川崎重工業:輸送用機器
IHI:機械
トッパン・フォームズ:その他製品
伊藤忠商事:卸売業
リコーリース:その他金融業
大和証券グループ本社:証券・商品先物取引業
東京海上ホールディングス:保険業
フジ住宅:不動産業
東京急行電鉄:陸運業
日本航空:空運業
SCSK:情報・通信業

以上、経済産業省と東京証券取引所が共同で認定した企業です。このように経済産業省と東京証券取引所が認定することで、株価にも影響を及ぼすことも考えられ、非常に社会的影響力にも関係してくるのが、この「健康経営」です。

また、日本政策投資銀行は「DBJ健康経営各付け」を融資制度として運営し、優れた健康経営を行っている企業に優遇金利を適用するなどの取り組みもあります。今、この健康経営という考え方が中小企業にも広がりつつあります。

健康経営の7つのメリットについて

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このように現在、中小企業やベンチャー企業にまで広がっている健康経営。どのようなメリットがあるのでしょうか。以下、健康経営のメリットです。

・従業員一人一人が、より心身ともに健康であることによる労働生産性の高まりと、それによる企業全体の生産性向上
・従業員の心身不調による休職や退職などによる労働力低下回避
・従業員の医療費などの経費削減(健康保険料の負担軽減)
・うつなどの労働災害による損害賠償や企業イメージ低下へのリスクマネジメント
・職場環境整備による従業員満足度の向上及び、それに伴う退職者の減少
・職場環境整備による企業イメージの向上、企業ブランドや株価などの強化
・企業イメージ向上による優秀な人材採用の促進
などです。

もちろん、対策費用がかかる、効果が見えにくいなどのデメリットも挙げられてはいます。しかしながら、医療費削減にもつながり、労働力確保など具体的な企業メリットは明確なものもあります。

さらには、昨今社会的にも取り上げられている重大な労働災害においても大きな影響があります。労働災害が大きく取り上げられた場合、最悪、企業の存続にも影響しかねません。

従業員全員が心身ともに健康で、従業員全体が創造力や集中力を十分発揮し生産性を高め、休職者や退職者の少ない企業は必ず収益に還元されることでしょう。

「健康経営」の8つの評価指標について

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なかなか健康経営がどのように改善しているのか、見えにくい部分があるのは実状です。実際に「健康経営」を推進するにあたり、大手企業は以下の指標を重視しています。経団連が2015年に発表した「健康経営への取り組み状況」からの抜粋です。

①定期健康診断の受診率 91.3%
②総労働時間数・残業時間数 72.4%
③定期健康診断の有所見率 68.5%
④従業員の健康状態の改善率(BMI、血圧、脂質代謝などの各種数値) 55.1%
⑤病気休暇等の取得日数 52.0%
⑥健康保持・増進プログラムの参加率 44.1%
⑦医療給付費の推移(1人当たり、年齢・階層別) 38.6%
⑧従業員の生活習慣・意識調査結果(取り組み意欲、エンゲージメントなど) 33.9%
⑨その他 22.8%

1位が定期健康診断の受診率です。そして2位が総労働時間数、残業時間数となっています。健康診断を受診する、残業を削減するといったスタンダードな取り組みはさることながら、特筆するべきポイントは⑤病気休暇等の取得日数、そして⑦医療給付費の推移ではないでしょうか。

病気休暇がどのように改善できているのか、また医療費は実際増えているのか、減っているのか、その推移は企業の収益にも直結する部分ではないでしょうか。

「健康経営施策」の9つの取り組み方法

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それでは実際に企業としてどのような取り組み方法があるのでしょうか。前項と同じく、経団連が2015年に発表した「健康経営への取り組み状況」からの抜粋です。

①専門職(産業医・産業保健スタッフなど)との連携体制を整備 90.3%
②健保組合などの保健事業への協力(従業員への保健事業周知、保健指導の勤務時間内の実施など) 80.6%
③健康保持・増進に資する情報を従業員に提供(研修教育など) 76.2%
④就労環境の改善(相談窓口の充実、社員食堂の刷新など) 75.2%
⑤従業員の健康保持・増進に向けた課題を把握・分析 68.9%
⑥従業員の健康保持・増進にかかわる施策の 評価指標の設定・効果検証 61.7%
⑦経営方針などに「従業員の健康保持・増進」を明示し、社内に提示 51.9%
⑧担当執行役員や専門部署(職員)を配置 49.0%
⑨従業員の健康意識を高めるインセンティブ施策の実施 (福利厚生プログラムのポイント付与など) 32.0%
⑩その他 13.1%

専門家配置やセミナー、窓口設置などの対策が多くなっています。しかし、ポイントは⑦経営方針などに「従業員の健康保持・増進」を明示し社内に提示、及び、⑧担当執行役員や専門部署(職員)を配置ではないでしょうか。

つまり、専門職員による丸投げ式ではなく、経営陣全員がコミットし、全社として推進するかどうかだと言えそうです。
成功事例として、実際に大手企業では、CHO(Chief Health Officer)という役員を設置し施策に本格的に取り組む製薬メーカーがあったりもします。今、健康経営は企業運営における非常に重要な課題として認識されています。

健康経営における6つの取り組み事例

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健康経営を推進する方法としては、様々な企業が様々な取り組みを始めています。残業削減、有給休暇取得推進などの一般的な取り組みでは時代遅れとなってしまいかねません。他社のオリジナルな事例をご紹介いたします。

○従業員向けのセミナー、講座開催
従業員向けのセミナーや講座を開設する取り組みです。具体的には「家庭でも作れる薬膳の作り方講座」「疲労回復セミナー」などです。

○職場環境改善
職場環境を改善する方法です。具体的には「心身をケアするアロマリラクゼーション」を実施し、職場改善を推進する方法です。中には社内に健康器具を設置し、健康増進を進める企業もあります。

○大会や啓蒙活動を推進
具体的には社内スポーツ大会開催やサッカー大会開催などです。中にはウォーキング推進活動などの取り組みを開始するケースもあります。

○社内食堂においてヘルシーメニューの提供
食事面からの健康増進を推進する方法です。社内食堂において栄養士によるヘルシーメニューの提供を推進することも実施されています。

○健康に対するアメとムチ
変わった制度としては「定期健康診断」未受診者に対する「賞与減額制度」などがあります。年度内に受診しなかった社員には賞与の15%減額及び直属上司にも10%減額なる制度です。なお、再検査未受診者にも賞与減額がなされます。

また、逆に「ヘルスケアポイント」なる制度を設けた企業もあります。ゲーム感覚に楽しみながら健康を維持する方法で、健保組合のポータルサイトからスマホでも参加できる仕組み。

「毎日10000歩以上歩く」「毎日体重を測り、記録する」などの目標を設定し、達成することでポイントがもらえる仕組みです。このポイントはグループ企業のサイトポイントと交換できるなど、従業員の実益と直結することでモチベーション維持を図っています。

○宿泊型の「保健指導」
「精密検査」以上のリスクがある社員に対して、1泊2日の宿泊研修による「保健指導」を実施しています。異論反論はありますが、企業が本気となって従業員のために実施することで意味ある制度となるかもしれません。

健康経営を推進する上で重要な2つの考え方

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健康経営を推進する上で様々な方法をお伝えしてきました。しかしながら、この健康経営を推進する上で最も重要な考え方があります。それは以下2点です。

①「可視化」が必要な「健康経営」

健康経営を実施するためには、コストもかかるわけですし、漠然と進めるわけにはいきません。実際、経営課題として組み込む必要がありますし、担当者や責任者へのタスクとして組み込む必要があります。

つまり、改革ビジョンに基づいて、課題を可視化して推進する必要があります。例えばですが、定期健診受診率なども可視化する必要があります。従業員一人一人のスケジュールにも反映する必要がありますし、その状況を上司も含めて確認する必要があります。

②経営者自ら健康経営にコミットし、発信する

健康経営は将来的に企業収益にも大きく影響を及ぼすものです。漠然と担当者に丸投げするのではなく、経営者自ら掲げた指標を理解し、次なる施策を打てるようにしなければなりません。

そのためには「可視化」した指標を担当者とリアルタイムで共有しながら、組織全体へメッセージを発信することも重要です。

健康経営を推進する上でお勧めのクラウド業務システム

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大手企業は非常に高価な業務システム内に、健康経営に関するあらゆるタスクが組み込まれ始めています。プロジェクト型に設定している企業もあれば、管理部門の中核的課題として経営目標に掲げている企業もあります。

しかし、中小企業として推進するには高価過ぎてしまいます。昨今はクラウド型の業務システムは非常に安価に、かつ非常に活用しやすいように開発されてきています。

以前では数千万円以上するような業務システムの内容が、クラウド型システムを月額数万円で活用できる時代と変化してきました。その中でお勧めなのがクラウド業務システム「ALL-IN」です。

ALL-IN」は給与・会計・顧客管理・人事・販売管理など、経営に必要な全てが含まれていて、その全てが連動します。健康経営が着実に進められ、業務生産性は向上しているのか、適時可視化した数値を把握することもできます。

例えば、労働分配率。「労働分配率」は、利益(付加価値)に占める人件費の割合ですが、一つの生産性を把握する数値となります。「労働分配率」=「人件費」÷「粗利」で計算されます。つまり、人件費を抑制したり、生産性向上による粗利の向上があれば、労働分配率は下がります。

この「労働分配率」も企業全体の生産性を確認する一つの指標となります。クラウド業務システム「ALL-IN」はこのような「労働分配率」もリアルタイムで把握できる優れものです。

また、ALL-IN」は健康経営に不可欠な効率化にも役立ちます。《ALL-INー人事・給与》では、《ALL-INー販売/仕入/在庫》と連動して見積書の作成、受注、売上請求までスムーズに行えます。銀行に入金があった場合はそのデータが取り込まれ、自動的に仕訳を行う機能もあります。

さらに各従業員が付けた勤怠管理情報から、勤務時間や残業時間が自動集計され、残業代や給与を自動計算します。売上伝票が会計と自動連動するため、帳票が不要となります。ペーパーレス化を推進し、内勤社員の業務が大幅に改善されることは間違いありません。

また、この「ALL-IN」内には《ALL-INーグループウェア》があり、メールの送受信、管理、添付ファイル、投稿のメール通知、掲示板機能(全社or グループ可)などもあるのですが、スケジュール共有もシステム上で確認できます。従業員全員の定期健康診断日を設定し、本人や上司のみならず、経営陣も確認でき、全社を挙げてタスク管理が可能となります。

このように健康経営含めて業務上あらゆる可視化を実現し、経営全般的に効率化を推進することができる、“これさえあれば何もいらない”ほどのクラウド型業務システムで、中小企業経営者の右腕となる経営支援システムです。

おわりに

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いかがでしたでしょうか。大手企業は既に多くの企業が推進しつつあり、この流れが中小企業にも浸透しつつあります。アメリカ発の健康経営という考え方は、そもそも日本の終身雇用や社員満足といった概念にもつながる日本の強みの部分なのかもしれません。

しかしながら、企業を取り巻く環境は変化しています。日本の糖尿病予備軍は4,000万人以上と言われ、日本の人口の約3分の1にまでリスクは及んでいます。一方、うつやメンタル不調者も急増しています。メンタル不調者は300人以上の企業の約8割に存在し、実質従業員の2人に1人はケアが必要だと言われる時代となっています。

今、健康経営を導入し始める企業と、しない企業では、数年後大きな活力の違いとなって現れてくるのではないでしょうか。

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